- 予算区分
- 住友財団 環境研究助成
- 研究課題コード
- 1821ZZ003
- 開始/終了年度
- 2018~2021年
- キーワード(日本語)
- 窒素汚染,浄水,東南アジア
- キーワード(英語)
- nitrogen contamination,water purification,southeast asia
研究概要
東南アジアの都市部においては、排水処理インフラの整備が遅れており、河川への生活排水等の流入による深刻な水質汚染が生じている。その結果、浄水設備において健康影響があるため濃度規制されている硝酸性窒素、アンモニア性窒素の濃度が、降雨量の減少する乾期にしばしば超過し、給水が停止することで、社会経済活動に支障をきたしている。そのため、途上国で運用可能な浄水プロセスの前処理としての窒素除去技術の開発が必要である。本研究では、東南アジア都市部での浄水プロセスで問題となっている河川水の窒素濃度の増加に対応可能な適切窒素除去技術の開発をマレーシア、タイの研究者との国際共同研究で行う。また、本研究では、提案する窒素除去技術の河川水への適用可能性評価に加え、現地の取水源河川の水質や性能要求レベルに応じた浄水設備構成の検討を行う。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
本研究では、汚染河川水の適切な窒素除去技術(好気性ろ床法、USB法等の組み合わせ)の開発と現地(クアラルンプールを想定)における性能評価、消費エネルギーや経済性の評価を東南アジアの研究者(マラヤ大:マレーシア、カセサート大:タイ)、関連企業、政府機関などと連携して行う。
汚染河川水の生物学的窒素除去では、窒素形態(NH4-N, NO3-N比)の季節変動、有機物濃度不足、多量処理(=短時間処理)への対応など、固有の課題が存在する。これらの課題を解決するため、ラボ試験を通じた基礎技術開発と、国際共同研究による性能実証を行い、乾期の河川水の処理においても水道水基準(1.5 mg NH4-N /L, 10 mg NO3-N /L未満)を満たし、現地で運用可能な維持管理性、コストを達成する窒素除去技術を確立する事を最終的な目標とする。目標達成のため、硝化工程の高速化、流入水質に応じた処理経路の選定手法の開発・適切な炭素源選択による脱窒工程の最適化に関する研究を実施する。
今年度の研究概要
国内でのラボ実験結果を踏まえマラヤ大学において現地河川水に適用可能なプロセスの開発をラボスケール装置の連続運転により行う。具体的には好気性ろ床法による低濃度アンモニア性窒素含有排水、およびUSB(Upflow Sludge Blanket)法による硝酸性窒素含有排水の連続処理試験を行い、その処理性能を評価すると共に、プロセス最適化のための知見を得る。
外部との連携
マラヤ大学(マレーシア)、カセサート大学(タイ)、豊橋技術科学大学