掲載誌 : International Journal of Hydrogen Energy, 79(19):630-635 (2024)
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領域長あいさつ
資源循環領域長 南齋 規介
私たちの資源循環領域では、モノの上流から下流まで、つまり、資源を採り出すところから廃棄するところまでを扱います。資源は、私たちが生活していくための活動に使われ、私たちの様々な欲求に対して価値を提供しています。天然資源のほとんどは有限なので、私たちはできるだけ少ない資源でより豊かな生活を得ることが理想です。また、資源を採り出す時に生態系に影響を与えたり、廃棄するときに環境に影響を与えたり、その他様々な環境負荷が生じる可能性があります。3Rの取組みや廃棄物等の適正な処理によりできるだけ環境負荷を少なくして、私たちの生存基盤である環境が持続的に維持されるように資源を利用していくことが望ましいといえます。このような資源の持続可能な利用により価値を得て、同時に環境負荷を十分低減できる社会が循環型社会であり、私たちの領域は将来の理想像を明確に描くこと、そこに至る道筋と方法論を提示することが役割であると考えています。また、循環型社会の形成において、将来の脱炭素社会や自然共生社会、安全が確保された社会を統合的に実現していくこと、さらには、SDGsで示されているような様々な社会課題を同時に解決していくための道筋を示していきたいと考えています。
社会をシステムとしてマクロにみる視点だけなく、日本やアジア諸国等の様々な地域や自治体、事業者、NPO/NGO、一般市民等の各主体の活動など、現場の状況にも目を向けて、現場に密着したミクロな視点での研究も大事にしていきたいと考えています。各地域や様々な主体が抱えている課題、制約条件は異なります。人々が持っている情報やリテラシー、そして価値観も異なる中で、個別解を探していくこと自体とても難しいことです。廃棄物処理施設はいまだ迷惑施設として扱われ、ましてや福島第一原発事故に伴う放射能汚染で生じた廃棄物や土壌の処理の過程では、地域社会に大きな軋轢が生じています。このようなリアルな現場に身を置いて、自分たちの目で直接見て、コミュニケーションを図ることで多くの気づきが得られます。そして、研究を通して一般化を試み、現場の方々と協働して望ましい姿の実現を目指していく、そのような地道な社会実装の取組みにも力を入れていきたいと思います。
以上、第5期の中長期計画がスタートするにあたり、資源循環領域としての意気込みを示しました。私たちの強みである、社会をシステム的に思考する力、基盤となるハードウェア技術を開発する力、環境の状態を的確に計測する力を存分に活かして、持続可能な循環型社会の形成に貢献していく所存です。
研究概要
資源から廃棄物に至るライフサイクル全体を通じた物質のフロー・ストック、循環の実態把握・影響評価、将来予測、環境負荷の低減や資源効率の向上に資する管理方策の提案等を行う調査研究を行います。
また、物質の循環的利用、廃棄物の適正な処理・処分、環境の修復・再生のための技術・システムの開発と発展途上国等への適合化のための調査研究を行います。
詳しくは資源循環領域のホームページをご覧ください。
研究室
報道発表等
報道発表・お知らせ・更新情報
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2024年1月25日建築材料のカーボンニュートラル達成に必要な対策を解明 -木造化・国産材供給・再造林の同時推進が鍵に- 国立環境研究所の渡卓磨研究員、名古屋大学の山下奈穂助教、ケンブリッジ大学のAndré Serrenho助教による国際共同研究チームは、日本の温室効果ガス排出削減目標である2030年46%(2013年度比)削減、2050年カーボンニュートラルを踏まえ、日本全国の建築物を対象に建築材料のカーボンニュートラル達成方法を検討しました。
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2023年12月28日英文年報「NIES Annual Report 2023」の刊行について 国立環境研究所は、2022年度の活動内容や最近の研究成果を海外向けにとりまとめた「NIES Annual Report 2023」を刊行します。
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2023年12月11日カーボンニュートラル社会での材料供給は世界的に不足の可能性 〜資源効率性の向上が急務〜 国立環境研究所資源循環領域の渡卓磨研究員と英国ケンブリッジ大学の国際共同研究チームは、全世界における鉄鋼・セメント産業を対象に、カーボンニュートラル達成に向けた将来像を検討しました。
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2023年10月2日サーキュラーエコノミー(循環経済)の取り組みを事前評価する消費者行動シミュレーションモデルを開発 国立環境研究所 資源循環領域と東京大学 大学院工学系研究科の研究チームは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の取り組みを事前評価する消費者行動シミュレーションモデルを開発しました。
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2023年8月24日物質フロー指標の改善と温室効果ガス排出削減が両立しないサプライチェーンの要因を特定 国立環境研究所物質フロー革新研究プログラムの研究チームは、物質フロー指標とGHG排出量に作用する経済的要因と技術的要因に着目し、各要因が物質フロー指標とGHG排出量の変化に与えた影響を分析しました。
研究成果
刊行物
下記以外にも、ガイドラインや報告書、ポリシーブリーフなどの刊行物があります。こちらのサイトもご覧ください。
https://www-cycle.nies.go.jp/jp/report/list.html
環境儀
- 正しいごみ管理で都市を水害から守る 熱帯アジアの都市型水害の原因と解決策環境儀 No.78研究者:石垣 智基、多島 良、久保田 利恵子
- 使用済み電気製品の国際資源循環~日本とアジアで目指す E-wasteの適正管理~環境儀 NO.57研究者:寺園淳
- 有害廃棄物の処理 - アスベスト、PCB処理の一翼を担う分析研究環境儀 NO.31研究者:野馬 幸生/貴田 晶子
- 21世紀の廃棄物最終処分場 - 高規格最終処分システムの研究環境儀 NO.24研究者:井上 雄三
- マテリアルフロー分析 - モノの流れから循環型社会・経済を考える環境儀 NO.14研究者:森口 祐一
- バイオ・エコエンジニアリング - 開発途上国の水環境改善をめざして環境儀 NO.7研究者:稲森 悠平/水落 元之
国立環境研究所研究プロジェクト報告(旧特別研究報告)
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循環型社会研究プログラム(重点研究プログラム)
平成23~27年度SR-113-2016 -
汎用IT製品中金属類のライフサイクルに着目した環境排出・動態・影響に関する横断連携研究(分野横断型提案研究)
平成23~25年度SR-108-2014 -
資源作物由来液状廃棄物のコベネフィット型処理システムの開発(特別研究)
平成21~23年度SR-100-2012 -
循環型社会研究プログラム(終了報告)
平成18〜22年度SR-97-2011 -
中長期を対象とした持続可能な社会シナリオの構築に関する研究(特別研究)
平成18〜20年度SR-92-2009 -
残留性有機汚染物質の多次元分離分析法の開発に関する研究(特別研究)
平成18〜20年度SR-90-2009 -
循環型社会研究プログラム(中間報告)
平成18〜19年度SR-83-2008 -
循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究(終了報告)
平成13〜17年度SR-75-2006 -
有機フッ素化合物等POPs様汚染物質の発生源評価・対策並びに汚染実態解明のための基盤技術開発に関する研究(特別研究)
平成15〜17年度SR-67-2006 -
有害化学物質情報の生体内高次メモリー機能の解明とそれに基づくリスク評価手法の開発に関する研究(特別研究)
平成15〜17年度SR-66-2006 -
循環型社会形成推進・廃棄物管理に関する調査・研究(中間報告)
平成13〜14年度SR-60-2003 -
海域の油汚染に対する環境修復のためのバイオレメディエーション技術と生態系影響評価手法の開発
平成11〜14年度SR-53-2003 -
環境低負荷型・資源循環型の水環境改善システムに関する調査研究(特別研究)
平成12〜13年度SR-45-2002 -
廃棄物埋立処分における有害物質の挙動解明に関する研究(特別研究)
平成10〜12年度SR-40-2001 -
有害廃棄物のモニタリングに関する研究
平成2〜4年度SR-16-'94
データベース/ツール
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日本の一般廃棄物データベース1970年代からの一般廃棄物処理実態調査データや広域化情報を収録
- アジア・太平洋地域における都市廃棄物管理に係るデータベース(DaMSAR)アジア・太平洋地域の開発途上国で調査されたSDG指標11.6.1に関連する都市廃棄物データを収録したデータべース
- 製品使用年数データベース LiVES日本をはじめとする16の国において調査・推定された1,352の使用年数・寿命分布データを収録
- 災害廃棄物情報プラットフォーム災害廃棄物処理に係る情報を一括して収集することができるWebサイト
- 無機系産業廃棄物(燃えがら・汚泥・鉱さい・ばいじん)32元素組成データベース様々な産業廃棄物の性状データベースで、含有元素、試料写真、採取場所・業種、水分、溶出試験結果を190試料についてデータベース化したもの
- 物質管理方策のデータベース44の法律等から物質の取り扱いに関する829の条文を抽出し、各条文でどのような物質管理方策が適用・規定されているかを整理したデータベース
- プラスチックと容器包装のリサイクルデータ集廃プラスチック・リサイクルプロセスの関連情報を収集したデータ集
- 海外におけるデポジット・リファンド制度の調査結果海外におけるデポジット・リファンド制度の適用状況について、各種文献より存在状況を調査・整理した結果を紹介
- 固定発生源NOx, SOx, PM排出係数データベース(EF-JASS)-大気汚染物質に関するインベントリ分析のための基礎情報-わが国の固定発生源に関する窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)および粒子状物質(PM)の排出係数を収録したデータベース
- 持続可能な社会に向けた日本の状況SusBBヘッドライン指標ならびに持続可能性連環指標体系を用いて日本の状況をモニタリングした結果を掲載
- 産業連関表による環境負荷原単位データブック (3EID)おおよそ400に区分されたわが国の経済活動部門別に産業連関分析法の応用により、各部門における環境負荷原単位を算出したデータベース
- 国等が策定する持続可能な発展指標(SDI)のデータベース28の国および国際機関等が策定した持続可能な発展に関わる指標(SDI)1,848件を整理したデータベース
- 脱炭素型ライフスタイルの選択肢ライフスタイルがもたらす気候変動への影響(カーボンフットプリント)と衣食住に関する脱炭素型ライフスタイルの選択肢によるGHG削減効果を全国・52都市・10地方・4大都市圏別に紹介するデータベース
- NIES Global Trade of Materials世界各地域の金属資源の輸出入量、消費量、ストック量の可視化ツール
この組織の関連情報・記事
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2024年11月19日受賞のお知らせ~
中島 謙一 上級主幹研究員が日本LCA学会より国際連携賞(Excellent International Collaboration Award)を受賞 -
2024年11月18日受賞のお知らせ~
田崎 智宏 室長がThe Institute of Life Cycle Assessment, JapanよりExcellent International Collaboration Awardを受賞 -
2024年11月18日受賞のお知らせ~
大迫 政浩 フェローが環境省より令和6年度環境⼤⾂表彰を受賞 - 2024年10月16日動画「【9分で解説!リチウムイオン電池の捨て方】不燃ごみが燃えて大変!電気製品の捨て方に気をつけよう」を公開しました【国環研公式YouTubeチャンネル】
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2024年8月15日受賞のお知らせ~
寺園 淳 上級主席研究員と吉田 綾 主任研究員がFraunhofer IZMよりImpact Award Academia (Electronics Goes Green 2024+)を受賞