海洋資源開発分野では多くの船舶や海洋構造物が用いられることから、四面を海に囲まれた日本が培ってきた海運や造船のノウハウを活かすことができます。しかしながら、海洋から石油・天然ガスを採掘するフィールドが日本近海にはほとんど存在しないこともあり、海洋開発に関する技術・ノウハウを持つ技術者は不足しています。
このため、国土交通省海事局では、海洋開発に必要となる資源、造船、機械、電気など広範にわたる知識を体系的・包括的にカバーする専門カリキュラムや教材の作成などの取り組みを進めています。これらの取り組みを通じ、海洋資源開発の基盤となる人材の育成システムを構築することで、我が国海洋産業が必要とする人材の確保を図ることとしています。
拡大の見込まれる世界の海洋資源開発市場の需要を取り込み、我が国の経済成長につなげるための取組の一つとして、日本の造船業がこれまで培った技術を海洋資源開発分野に展開するための技術開発を支援しています。(海洋資源開発関連技術研究開発支援事業)
海洋産業の国際競争力強化のため、生産性向上や高付加価値化に資する海洋開発技術の研究や開発が進められています。しかしながら、新たな技術に関する安全・運用要件は定まっておらず、事故等のリスクがあることから、これらの技術活用に向けた環境整備が必要です。このため、国土交通省海事局では、国内外の調査や有識者による検討会におけるリスク低減策の検討等を行い、各種ガイドラインを策定しました。
AUVの安全運用ガイドライン (参考:令和3年6月15日報道発表資料)
※AUV(Autonomous Underwater Vehicle, 自律型無人潜水機):機器本体が自律的に状況を判断して水中を航行できる無人機
海洋資源開発といった新分野にチャレンジするためには、この分野がどのような市場構造となっているか等の情報を正しく入手し、適切に分析することが必要です。このため、国土交通省海事局では、海洋開発分野における海外の技術動向等を収集し、必要に応じて事業者等に提供するなどの取り組みも進めています。
平成28年4月25日には、経済産業省及び(一財)エンジニアリング協会と共同で「日本企業と海外の石油・ガス開発企業、エンジニアリング企業との協業等に向けたセミナー」を開催しましたが、100社近い企業に出席頂き、この分野への関心の高さが覗える結果となりました。