大型原油タンカー「富士山丸」による インド洋上での温室効果ガスの観測実施について|2024年度|国立環境研究所
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2024年7月31日

国環研のロゴ
大型原油タンカー「富士山丸」による
インド洋上での温室効果ガスの観測実施について

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2024年7月31日(水)
国立研究開発法人国立環境研究所
出光タンカー株式会社
飯野海運株式会社

 国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国環研」という。)、出光タンカー株式会社、飯野海運株式会社の3社は、国環研が代表で実施している環境研究総合推進費課題“課題番号:S-22-1(2)”「マルチプラットフォーム観測による大気中のGHG(*1)とSLCF(*2)動態の把握」(以下「推進費課題」という。)の一環として、大型原油タンカー(VLCC:Very Large Crude Oil Carrier)「富士山丸(以下「本船」という。)」によるインド洋上での温室効果ガス(GHG)の観測を実施することを決定しました。

大気観測装置を設置するVLCC「富士山丸」(2020年竣工)の画像
大気観測装置を設置するVLCC「富士山丸」(2020年竣工)

 国環研は、地球環境変動の長期観測(地球環境モニタリング)を様々な分野において推進し、中でも、地球温暖化の原因となるGHGの地球規模での大気中濃度分布とその増加を監視するために、地上ステーション、民間船舶、航空機など様々なプラットフォームを用いて高精度のGHG濃度観測を実施しています。国環研による船舶観測は太平洋で長年実施してきましたが、これまで観測の空白地帯となっていたインド洋上における観測を実施することで、GHGの排出・吸収量解析精度向上が期待されることから、推進費課題で観測網の拡充を計画していました。

 飯野海運株式会社が所有し、出光タンカー株式会社が傭船する本船は、中東から日本を主要航路としており、国環研が計画するインド洋上における観測に適していることから、本船に大気観測装置を設置し、2024年度末頃より観測を実施する予定です。

 広域を航行する船舶を活用したGHGの観測を通して、地球規模でのGHG分布や炭素循環メカニズムの解明に貢献し、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。

CO2の排出・吸収量解析モデル(NISMON-CO2)に使われている大気中CO2濃度観測地点の図
CO2の排出・吸収量解析モデル(NISMON-CO2)に使われている大気中CO2濃度観測地点。
インド洋上にはほとんど観測データが無い。(出展:Niwa et al., Prog Earth Planet Sci, 2022)

*1 GHG

温室効果ガス(Greenhouse Gas)のこと。地表から放出された赤外線の一部を吸収・放出することにより、地表面近くの大気をあたためる効果がある物質のこと。二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボンなど。

*2 SLCF

短寿命気候強制因子(Short-lived Climate Forcer)のこと。温室効果ガスと比べて大気中での寿命は短いが、大気質やエアロゾル形成を通じて気候に影響を及ぼす物質のこと。窒素酸化物やブラックカーボンなど。

各社概要

<国立研究開発法人国立環境研究所>
所在地:茨城県つくば市
代表者:理事長 木本 昌秀
ウェブサイト: https://www.nies.go.jp/index.html

<出光タンカー株式会社>
所在地:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 稲垣 富生
ウェブサイト:https://www.idemitsu.com/jp/tanker/index.html(外部サイトに接続します)

<飯野海運株式会社>
所在地:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 大谷 祐介
ウェブサイト:https://www.iino.co.jp(外部サイトに接続します)

問合せ先

【研究に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 地球システム領域
寺尾有希夫・中岡慎一郎

【報道に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

飯野海運株式会社 油槽船部 油槽船課
URL:https://www.iino.co.jp/kaiun/contact/form.php(外部サイトに接続します)

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