2016年9月29日
持続可能社会転換方策研究プログラム(先導研究プログラム)
平成23~27年度
国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-120-2016
環境と人間活動が調和した持続可能な将来の社会のあり方を明らかにするため、将来ビジョン・シナリオを構築する研究に継続的に取り組んできました。しかし、その実現の方策や個人の生活に与える影響といった観点での検討は十分ではありませんでした。そこで、本研究では、持続可能社会への転換に向け、魅力的な将来社会・生活像と転換の方策を明らかにすることを目指しました。
このような背景および超高齢化・人口減少社会の進行、東日本大震災、新しい豊かさや格差問題への注目といった社会・経済情勢の変化、さらには持続可能な社会に関する最新の動向を踏まえて、社会・経済活動全体とライフスタイルの両面から、持続可能な将来シナリオを構築しました。
その結果、持続可能な発展の系譜を整理し、主要なクライテリアの最新状況を明らかにするとともに、環境、経済、社会、個人の4つの目標に基づく「ゆたかな噴水型社会」と「虹色のシャワー型社会」の2つの社会経済の叙述シナリオを構築し、新たに開発した日本9地域の一般均衡モデルを用いた定量評価とあわせて提示しました。また、日本人の2030年にむけた持続可能なライフスタイル・シナリオの構築に向けて、今後直面するリスクとそれへの対応を踏まえて16種類の主要なライフスタイルの変化を記述し、4つの未来シナリオを作成するとともに、一般市民によるシナリオの評価を行いました。
本研究成果が、わが国が持続可能な社会へ転換するための基本的な知見として、研究および行政に役立つことを期待しております。
(社会環境システム研究センター 環境政策研究室 室長 松橋 啓介)
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