2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧 - Arantium Maestum

Arantium Maestum

プログラミング、囲碁、読書の話題

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

論文メモ:Abstract machines for programming language implementation

Abstract machines for programming language implementationを読んだのでメモ。 どのようなAbstract Machineがどのようなプログラミング言語の実装に使われてきたのか、というサーベイ。2000年に書かれており筆頭著者はHaskell界隈ではそれなりに知られてい…

Algorithm W実装のためにPrincipal Type Schemes for Functional Programsを読む(前編)

型推論のためのAlgorithm Wを実装するため、DamasとMilnerのPrincipal Type Schemes for Functional Programsを読んでいる。 重要そうな概念としては expression type/type-scheme substitution instance/generic instance assumption assertion closure typ…

1byte = 8bitsにしたのは「人月の神話」のフレッド・ブルックス?

少し前にTwitterで「面接で『なんで1byteって8bitsになっているのか?』と聞くといい」というツイートが話題になっていた。 それを見た時は「まあ8bitsだとは限らないよね、現在主流のアーキテクチャがそうなってるだけで」と思っただけで終わったのだが。 …

A正規化されたIRをCPSに変換する

A正規化について非常に参考にさせてもらっているMatt Mightのブログ記事で A later transformation to continuation-passing style (like that in Appel's book) is also simplified if transforming from A-Normal Form. とあるので、これまでのA正規化され…

C++のiostreamの<<を導入したのはストラウストラップ

C++

最近@karino2さんのポッドキャスト「プログラム雑談」のバックナンバーをいろいろ聴いている: anchor.fm 二週間ほど前に書いた聴いてるポッドキャストの記事ではまだ「気になっている」という分類だったのだけど、聴き始めたらいい感じにゆるいのと技術的な…

CEK抽象機械をCESK抽象機械に拡張する

前回のCEK抽象機械を拡張して、ミュータブルな状態のある言語も自然に実行できるようにする。 CESK抽象機械 CEK抽象機械はControl(実行する式)、Environment(変数環境)、Kontinuation(継続)の三つの要素を持つ。 CESK抽象機械はそこにStore(格納)を…

A正規化されたIRをCEK抽象機械で実行

前回で定義した言語とそのA正規化されたIRをインタプリタで実行したい。 というわけでまたしてもMatt Mightのブログを参考にする: matt.might.net こちらのブログはCESKマシンの話だが、今のところ破壊的変更を言語機能として実装してないので、まずはCESK…

関数のある言語のA正規化

前回の言語に関数定義・適用を追加する。 単一引数の関数 まずは変更を簡単にするために「単一引数の関数」を実装する。 関数自体の式であるFnと関数適用のCallをASTに追加: type t = ... | Fn of string * t | Call of t * t α変換は関数式に関しては(仮…

条件分岐のある言語のA正規化

前回に続いてA正規化の話。前回のミニマルな言語にブール型とifによる条件分岐を加える。実は条件分岐の正しいA正規化に関しては曖昧性があるようなので、後半はその話。 言語拡張 ASTに以下を追加: type t = ... | Bool of bool ... | Lt of t * t ... | I…

ミニマルなA正規化コードサンプル解説

言語処理系の実装の手法として「A正規化」というものがある。 元のソースプログラムを変換して最適化や機械語へのコンパイルなどがやりやすい形にする、処理系IRの選択肢一つである。CPS(継続渡しスタイル)のIRと非常に似ている。 The Essence of Compilin…

最近聴いている技術ポッドキャスト

去年何回か別々のところでAeropex Aftershokzという骨伝導ヘッドセットを勧める話が出ていた: honeshabri.hatenablog.com I have a decision! Thanks to recos from @teohmato @theinedibleholk @tranchedeviee @bviswana I got the Aeropex Aftershokz (bo…

OCamlでmliいつ書くの問題

mliとは? OCamlのプログラムは基本的にいくつものモジュールに分割されて書かれる。そして「あるファイルに記述されたOCamlコード」は独立した一つのモジュールとなる(中に複数のサブモジュールが定義されていることはあり得る)。 ただし、Cの.hと.cファ…

論文メモ: Towards a Theory of Type Structureを読もうとして挫折した話

プログラミング言語理論に関係する論文を結構読み散らかしているのだが、あまりしっかりアウトプットする機会もないので読み込みも甘いし記憶も曖昧になる。 というわけで面白そうなやつは、内容・背景・感想などをブログにメモとして残していこうと考えた。…

なぜプログラミングでは掛け算をアステリスクで表すのか、などの文字コードの話

現代のプログラミング言語で「整数を掛け合わせる」という処理を書く場合、掛け算を意味する記号としてはアステリスク*を使う場合がほとんどである。例えば比較的最近の言語で整数の割り算には÷が使えるJuliaでも、掛け算は*で統一されている。 Wikipediaのm…

パラメトリック多相と型コンストラクタ

前回の記事で これを書いていて「あれ、多相って関数だけじゃなくて型に対しても使う?型コンストラクタってそれ自体が多相?」とふと疑問を抱いた。この点に関しても別の記事で書きたいが、現在の自分のスタンスとしては、特殊な例を除いて「パラメトリック…

高カインド型・高階多相についてのメモ

前回に続いてカインドについてのメモ。 TaPLとともに、"Functional Programming with Overloading and Higher-Order Polymorphism"という資料をかなり参考にしている。 高カインド型 高カインド型(Higher Kinded Types)については以下のStack Overflowの返…