ワモンノメイガ.
同定できそうもない虫は本能的に避けてしまう.
美しく撮れれば種名なんて分からなくてもかまわないというのは理想論で,人情としては名前を知りたい.アダムは地上を支配する第一歩として,すべての生物の名付けから始めたという.地を統べるつもりはあまりないが,わたしとてアダムの末裔ではある.撮った虫の名前には関心がある.
名前を知ることは何か本質的なことであり,それゆえに神は自らの名を人々に禁じたのである.
どうでもいい枕は終わり.
これも過去ファイルから発掘.「*--蛾飢道談話室--*」を見ていて気がついたもの.よくこんな蛾を撮っていたなあ.
ワモンノメイガ.前翅長13mm.07年6月4日,昼の錦大沼公園.
「みんな蛾」では「光には集まらず、世界中にいる。」とある.なんだか悪の秘密結社みたいだ.実際は灯火にも来るらしい.
HP「北海道病害虫防除所」の「シロクローバのワモンノメイガ(新発生)」によれば
本種は、あぶらな科野菜、レタス、ほうれんそうなどに寄生することが知られているが、本道での発生は認められておらず、クローバ類での被害が初めてである。
本種は世界中に広く分布し、ヨーロッパでは長距離移動が確認されていることから、本年の発生についても長距離移動による飛来進入が推測される。
とのこと.
世界といえば「UK Moths」の出番である.「Rush Veneer」の記事によれば(この蛾の英名.ラッシュベニア? ベニアってあのベニア板なのだが),移動性があって成虫が海辺に集まってくるらしい.
講談社『蛾類大図鑑』では,
太平洋の島々に拡散しているのは,台風や季節風によって運ばれるからであろう. (p.352)
要するに草にしっかりつかまっていないからそんなことになるのである,というのはあれで,実際は積極的に気流に乗るのであろう.
学名は(ノリがHPになってきたなあ)Nomophila noctuella.属名は「草原nomos+友人phile(女性形?)」.小種名は「夜nox+接尾辞」.「夜の草原の恋人」だな.蚊に刺されそうだが,蛾だから平気である.