5月から10月に入っていた現場に、新卒2年目のジュニアエンジニアAさんがいました。
しかし、PJTの終わりごろ、Aさんがその現場を最後に退職することを知りました。
彼にはたくさん質問に答えてもらいましたし、助けてもらった恩がありました。
だから、私はAさんに餞別として1本のドキュメントを作成しました。
この記事は、その内容を公開できる形へ改変したものです。
一万文字ぐらいありますが、若手のエンジニアの人に読んでもらえたら、とても嬉しく思います。
- はじめに
- 本書の構成
- 1. 仕事を通じて感じたAさんの強み・弱み
- 2. 本を読め!いいからコレを読め!仕事なんかせず読め!
- 3. 人間が自然界という制約に拘束されていることを忘れるな!
- 4. 相手の視点で考え・相手の言葉で話せると仕事はもっと面白くなる!
- 終わりに
はじめに
Aさん、C社様案件およびこれまでのB社でのお仕事、お疲れ様でした。もう半年も経ったんですね、あっという間でした。このプロジェクトで、Aさんにはたくさん助けていただき、計り知れないほどの恩義を感じています。
無知な私の浅学な質問に対しても、レスポンス早く返してくださって、本当に助かりました。あなたがいなければ、私は今ごろ、一人暮らしの狭い部屋で野垂れ死んでいた事でしょう。
そんなAさんが、この度B社を退職して新しい旅路へ向かわれるということで、餞別として一本のドキュメントを送りたいと思います。私は、おせっかいで世話好きなので、時々うざくて暑苦しいとも感じられることもありますが、ハートの熱さだけは取り柄だと思っています。
ですから、Aさんが求めているか否かに関わらず、人生の先輩・エンジニアの先輩・そして共に同じ現場を戦い抜いた同志として、一筆したためようと思います。
正直、この文章は、長いと思います(約1万文字)。でも、Aさんの顔を頭に浮かべながら(ほとんど会ってないので、アイコンの写真しか思い出せませんが)、書き殴って添削して整えました。なので、じっくり時間をかけて、休憩しながら読んでください。
あなたも、そして私も、これからの日本の未来を背負って立っていく存在だと勝手に思っているので、私はできることは全てやりたいのです。
本書の構成
はじめに
1. 仕事を通じて感じたAさんの強み・弱み
2. 本を読め!いいからコレを読め!仕事なんかせず読め!
3. 人間が自然界という制約に拘束されていることを忘れるな!
4. 相手の視点で考え・相手の言葉で話せると仕事はもっと面白くなる!
終わりに
1. 仕事を通じて感じたAさんの強み・弱み
いきなりですが、僕はこれまでの人生経験を通じて、人間の「言動」なんか全く信じないことにしました。
その代わりに「行動」をめちゃくちゃ見るようになりました。
結果というのは行動の積み重ねです。だから、人の行動と結果を観察していると、その人のことがよくわかります。(本当はわかった感じがする、程度ですが。)
そして、一緒に仕事なんかしちゃった日には、一生懸命仕事に取り組めば取り組むほど、相手のことも自分のことも、丸裸になっていくのです。
案の定、Aさんも丸裸です。フルリモートだからといって、侮ってはいけません。毎日1回デイリーで声聞きながら、なおかつアウトプットとか報告を見ていたら、丸見えなのです。
その過程で感じた、Aさんの強み・弱みを、書き記しておきます。
本節より後の2・3・4節は、Aさんの強みをさらに強化し、弱みをカバーしていく、僕からの処方箋だと思ってください。
今更ですが、これらは全部僕の主観ですので、全面的に信用はしないでください。ただ、私のフィルターを通したらそんなふうに見えてるぜ、っていう一意見として受け止めてもらえればいいと思います。
それを採用して使うも使わないも、Aさん次第ですが、使ったときの効果は私が保証します。使ってみて効果がなかったらごめんなさい。でも返品・返金は受け付けてません。つまりこれは、単なるおせっかいなのです。
Aさんの強み
知的好奇心が強い
Aさんは、APIの調査一つとっても、「これってどうなってるんだろう?」「あのやり方はうまくいくんだろうか?」「なぜうまくいくんだろう?」「なぜうまくいかないんだろう?」と、自分の気になるところを納得いくまで調べていました。これは能力というより才能です。気になって仕方がない、というのは性分みたいなもので、誰もが持てる感情ではないです。誇ってください。そして、その「何事にも興味を持つ」という姿勢を、ずっと続けてください。必ずやAさん自身を助ける武器になります。
気合と根性がある
あきらめずにやり切る力があります。もちろんプロジェクトには期日があるので、完璧にできないこともあると思います。でもそれは気にしなくていいことです。それよりも、その期限の中で「ベストを尽くそうとする」という姿勢が大事なんです。Aさんにはそれがあります。不器用ではありますが、思いや気持ちがあるのが、少なくとも僕には伝わってきました。それは単に、長時間労働をするという意味ではなく、なにか自分に与えられた仕事にたいして、ちゃんとやり切りたい、といったような執念を感じるのです。周りに迷惑をかけてまで、こだわる必要はないですが、己の仕事を全うしようとするその姿勢は、尊敬に値します。大事にしてください。
思ったことをちゃんと言える
エンジニアリーダーであるDさん相手に臆せず、「こうしたほうがよいのでは?」「それだとこれがネックになりませんか?」と言えるのが素晴らしいです。新卒は上の人の顔色に気を使ってなかなか言えないものです。ですが、ちゃんと自分が違和感を持っている点について、隠さずに発言できるというのは大したもんです。だいたいが思ってても口に出さずに、気づいたら全体が良くない方向に行ってて誰もどうにもできない、というのが関の山ですから。Aさんのように、ズバズバ言える人間がいるかいないかで、大違いです。そしてそれらを、言い方・伝え方の面でもっと気を使えるようになると100点満点です。言葉遣い、言葉選びですね。クッション言葉とか言いますが。そういうものを使って、マイルドに伝えられるようになると、多分給料上がると思います。
Aさんの弱み
他者と働くための素養が未熟
これは「社会人としての当たり前」みたいなところです。他人と一緒に仕事をうまくやっていくための技術のことです。テキストコミュニケーションの質、ミーティングでの発言、タスク配分・ペース配分、ヘルプの出し方・出すタイミングなど。おそらく、Aさん自身もまだまだできてないと感じつつ、眼の前の仕事をこなさないといけない中で、どうしたらいいんだろう、と悩んでいる箇所だと思いますが。大丈夫です。みんな若手の頃はそんなもんです。僕はもっと酷かったです。でも、こういう社会人的素養(世間では「当たり前」と呼ばれる内容のことですが)は、早急に身に着けたほうがいいです。詳しくは後の4節で処方箋を出します。
自分を飼い慣らせていない
上記に上げた強み3つを、おそらく自覚しておらず、であるがゆえに、コントロールできていないんだろうな、という感じがします。頭で思いつくことに対して、それを整理してアウトプットに移していくだけの、手がない。手というのは技術・能力のことです。簡単に言えば、手際のよさです。
調査の過程で、中間ファイルが溜まりまくって、タブも開きまくって、いざ目的のファイルを探すときに、必要なファイルがどこにあるかわからない、すぐに出せない、という状況が垣間見えました。それは、自分の強みに振り回されて、それ以外の部分が見えてないからです。逆に言えば、そういう手際を身につければ、強みが遠慮なく暴れられるということですね。
また、Aさんが、自分の強みである知的好奇心・責任感・集中力を飼い慣らせていないがゆえに、メンタル的な不調を抱えやすくなってしまっていると感じました。実際に眠りになかなかつけない夜が何度もあったのではないでしょうか?これについても、後の3節で処方箋を出します。
虫の目に偏っている
飼い慣らせていないという点に、少し関連しますが、自己客観視が弱いがゆえに、視野狭窄になりがちです。ミクロスケールで物事を見るクセがあります。虫の目と鳥の目といったりしますが、Aさんは虫の目です。Aさん自身にも自覚があると思います。これは、他者と働く素養がついてくると、だいぶ改善されます。鳥の目を持ちましょう。高い視点、高い視座から物事を考えることです。そのためには、1日中パソコンの前にかじりついていたらダメです。外に出ましょう、景色を見ましょう、誰かと喋って他の人の視点を取り入れましょう。これについても後の2節で処方箋を出します。
2. 本を読め!いいからコレを読め!仕事なんかせず読め!
さて、上記で3つ弱みをあげました。これらを一気に解決する方法が一つあります。それは何でしょうか?
読書です。
インプットです。Aさんにはインプットが足りません。
移動手段で例えるなら、徒歩しか知らない状態だと思ってください。
しかし移動手段には、チャリも車もバスも電車も新幹線も飛行機もロケットもあります。
でもAさんは歩く以外の手段を知らないのです。
つまり、知ってるか知らないかだけで片がつく問題の多くで、つまづいているように見えます。
巨人の肩の上に乗りましょう。
車輪の再開発も時には必要ですが、先人の残していった便利な道具を踏み越えていかないと、車輪の再開発をしている間に、じじいになってしまいます。
インプットしてください。仕事の手を無理やり止めてインプットしてください。
中には一生インプットばかりしてアウトプットが終わらない人もいますが、Aさんはおそらくそういうタイプじゃないです。
なぜなら、Aさんの良いところは、まずやってみる、というところだからです。
こういう人は強いです。なぜならニーズが生まれるからです。ニーズがある状態で読むインプットは、漫然としたインプットに比べて遥かに効率が良いですし、何よりも、それを使うので身につきます。だから、Aさんこそ本を読むべきなのです。
また、プログラミングも研究も、知的生産という仕事です。
僕はこれを職人仕事だと位置づけています。
職人仕事であるなら、技術があるはずで、技術があるならそれを身につける方法論があるはずです。先人から学びましょう。多くの学者・エンジニア・その他ホワイトカラーのなんか偉い人が、問題解決の手法をたくさん書籍として残してくれています。
それらの技術を身に着けていくと、自分が本当に頭を使わないと行けない箇所に、頭を使えるようになります。
調査や開発の過程で出力された膨大な中間データから目的のものを見つけ出したり、報告のために手元のメモを整理し直したり、stashに避難させたコミットからapplyすべきものを探し出したり、rebaseのたびにコンフリクトを直したり。
これらは、Aさんの脳みそを本当に使わないといけない仕事ではないですよね?
そういう仕事にこそ、多くの先人が方法論を残してくれているので、インプットしてさっさと技術を身に着けて、ショートカットしていきましょう。とくに、情報の整理の方法論については、早めに着手するべきです。
エンジニア向け書籍が多いですが、下記は、知的生産について言及したものがほとんどなので、エンジニアの仕事以外にも使える内容です。下に行くほど具体性の高い内容です。買って読んでください。買う金が無かったら、僕が同じ本をあげるので連絡ください。
インプットするにあたって、効率的に知識・技術を取り入れるための「読み方」を知っておきましょう。読み方を身につければ、その後一生、インプット効率が上がります。 チャットでのやり取りで超使える「伝わるように書くための技術」を得るための本です。内容はシンプルです。わかりやすく、精度の高い箇条書きを書けるようになり、コミュニケーションコストが最小化されます。自分の考えをまとめるのも短時間でできるようになります。 速さは全てを解決します。読んで取り入れてください。
具体的には、Aさんのフォルダが散らかりにくくなったり、欲しい情報をすぐに持ってこれるようになったりします。 知的生産を生業とするプログラマーが、どういう心構えで仕事に望むべきかについて38個のエッセイが書かれています。コードなどはほとんど出てこない代わりに、仕事中にどんなことを考えるべきか、どういう態度で仕事に臨むべきかみたいな、マインド論や具体的にどういう風に動くべきかなどの行動指針が書かれているので、読みやすくてオススメです。 コードリーディングの初歩の初歩を教えてくれます。基礎です。読みやすいです。読んで身につけてください。コードを書く時間より、コードを読む時間のほうが仕事においては長いです。速く深く読めるようになると、自動的に速く良く書けるようになります。呪術廻戦の東堂葵曰く、目より先に手が肥えることはないです。 この本は、少しレベルが高めです。基本的なコーディングはできるようになっている前提で、いかにうまく書くか、いかに設計するか、いかに運用しやすくするか、的な、一段上のレベルのメソッドが書かれています。かなり抽象化された内容です。ただ、こういう本は早めに触れておいたほうがよいです。Dさんのようなリーダークラスのエンジニアが、どういう景色を見てるかがわかります。そして、そういう景色を見るのは、とてもおもしろいです。オススメです。 数学や物理をやるときに、四則演算、微分方程式の解き方、式変形、を自在に扱えないと、そもそもお話になりませんよね?それらは研究をやるための道具であり、身につけて使いこなせることで、研究の足腰・土台となります。
同じように、開発においても道具が存在します。その一つがVSCodeです。
建築職人が使う電動ドリルや金槌や鋸です。使いこなせるようになりましょう。launch.json/tasks.jsonについて色々レクチャーしましたが、それ以外にもたくさんの便利機能があります。電動ドリルの使い方を知らなければ、ネジを締めるときにドライバーしか使えません。でも工事現場でドライバーで100本のネジ締める人なんかいないですね。電動ドリルの使い方を、ちゃんと覚えましょう。
※これらの書籍のリンクは、すべてアマゾンアソシエイトですので、このリンク経由で書籍を買われた場合、私に二束三文のお小遣いが入ります。
3. 人間が自然界という制約に拘束されていることを忘れるな!
この節の内容は、メンタルのお話です。私自身も過去に色々ありましたし、現在もそれと付き合いながら働いています。Aさんにとっても大事な話だと思ったので伝えたくて書きます。
まずはじめに、私達の仕事について話しておきましょう。
人と直接対面したり、物理的実体に手を加えて何かを作ったりする仕事を「現場仕事」と呼ぶとしましょう。
この前提に立った時、僕は、IT系の仕事は現場仕事ではないという意味で「虚業」と呼ぶことにしています。(辞書的には違う意味ですが。)
この文脈での「虚業」は、究極なくなったとしても、直接的には誰も死なない仕事です。しかし経済発展においては重要ですし、ホワイトカラーの給料は良いです。なくても困らないものではありますが、人々の生活を便利にしていく仕事であるのは、間違いないです。
ただ、注意しなければならない点があります。
「虚業」の最大の欠点は、人間的尊厳を損ないやすい、ということです。
要するに、鬱になりやすいということです。ホワイトカラーの仕事は、生物学的に不自然な仕事です。本来人間の遺伝子は、外に出ていって獲物を追ったり木の実をとったりして生活するように組まれていますから。1日中オフィスや自宅に引き籠もってPCとにらめっこする生活なんて、わたしたちの肉体は想定していないわけです。
その点、現場仕事の人はたくさん身体や口を動かしますから、比較的病みにくいです。(人間関係の中で病んでいく人は一定数いますが。)
毎日PCとにらめっこして、飯を食ったり食わなかったりして、寝る直前まで頭フル回転させてると、もはや、意識の世界にいるのか、肉体の世界にいるのか、どっちが本当かわからなくなります。実際私たちに備わっている脳という臓器は、その違いをわかってはいないようです。
そういう感じで意識の世界ばっかりにいると、肉体がおかしくなっていきます。
要するに、寝れてない・食えてない・動けてない、になっていくわけです。でも、大前提として、脳も身体の一部なわけですから、意識を健康に保つには肉体が健康じゃないといけないわけです。
IT系の仕事をしてると、そういう大前提の人間の存在的な根っこの部分が、実感として薄れていってしまうわけです。これは自分がやっている仕事には、そういう傾向があるんだということを、ちゃんと知っておく必要があるわけなんです。
車と違って、PC触るのには免許なんかいりません。
だからこそ、PCを道具として仕事をし続ける上での危険性やリスクを、自己責任で、自ら学ばないといけないわけです。
それが自由に伴う責任というものです。
ちなみに30歳になると、一気にガクッと体力が落ちて、生活を見直す必要に駆られます(駆られました)。
というわけで、この本を読んで、セロトニンの分泌を増やし、人間らしい生活を取り戻す方法論を身に着けてください。
4. 相手の視点で考え・相手の言葉で話せると仕事はもっと面白くなる!
さて、長いドキュメントもそろそろ終わりです。この節は、かなり説教臭いですが、今のAさんにとって、割と大事なことだと思うので書きます。
本節の見出しで言っているのは、社会で他人と一緒に働くにあたって、必要最低限身につけておかなければならないことです。よく「社会人として」とか言われる内容ですね。全く具体性のない内容で何だそれって僕はいつも思うのですが。要するに、「当たり前のことを当たり前にできるようになる」ということです。
じゃあ当たり前ってなんだってことなんですが、人によって当たり前の基準って異なりますが、私は、本質的には、次の一言だと思います。
「相手の立場で考える」
これは、一朝一夕で身につけられるものではないと思っています。そして同時に、意識をして自ら改善していかないと、いつまでも身につかないものでもあります。社会人10年目なのに、未だに周囲へ配慮してコミュニケーションを取れない人もいれば、大学生なのに、どこへ放り込まれても周囲と上手くやり取りしてパフォーマンスを発揮してくれる人もいます。
Aさんはまだまだ新人なので、できなくて当たり前です。ですが、新人であるなら、むしろこういった「当たり前」を誰よりも早く身につけることが重要だと考えています。
エンジニアの本当の仕事はコーディングではなく問題解決です。プログラミングや設計の技術は、あくまでその道具でしかありません。「社会人としての当たり前」は、チームで問題解決をするための、大前提です。
なぜならば、自分一人では世の中を生きてはいけないからです。Aさんはもう知ってて、気づいているかもしれませんが、この世で生きていくには、必ず誰かと関わる必要が出てきます。直接的であれ間接的であれ、私達は他の誰かの助けなしでは生きてはいけないのです。
そして他者と関わっていく以上、相手を思いやる気持ちを持つ、そしてそれを行動や形として伝える、というところまでできておくことが、自立した人間としての最低条件だと思います。
Aさんがこの先どこで誰と働くかはまだわかりませんが、もし大学に戻って博士課程に進んだとしても、そこには、先生・同期・後輩・職員さん・学会で出会う人々、などなど、たくさんの人間関係があります。
そういうときに、社会人的な当たり前の作法を身に着けていると、Aさん自身がとても楽に研究を進められます。
C社案件でもそうだったと思いますが、自分一人で解決できる問題なんて、たかが知れています。それは、僕だって、リーダーのDさんだって、PMのEさんだって同じです。だから役職・役割がそれぞれにあるんです。一人で全部できるなら他人は不要です。でもそうじゃないからチームがあるんです。
一見簡単そうに見える問題でも取り組んで見ると難しかったり、取り組んでいるうちに視野狭窄になって、もっと簡単な方法があったことに後から気づくことだってあると思います。
Aさんは、一人で深く深く突き詰められる能力を、もう必要ないくらい持っているというのが、私のAさんに対する評価です。その力を最大化する鍵は、ズバリ他人との関わり方にあると思っています。
それは、小手先のテクニックで言えば、「結論ファーストで話す」とか「報告・連絡・相談をやる」とかなんですが、そういうことが言いたいのではありません。
そうではなく、もっと根本的に「相手の立場で考える」というトレーニングをしてくださいというお願いです。
研究をもしするなら、自分の研究意義・研究内容・問題点・アピールポイント・行き詰まっているときに解消したい問題点、などを、他の人に伝えたり、先生たちと議論する場面が必ず出てくるでしょう。結局のところ、博士課程を取ろうと思えば、そういった能力の開発は避けては通れないのです。
相手の視点で考える・相手の言葉で話す、という点を、誰かと一緒にいるときには、ずっと考えて行動してみてください。
例えばC社の現場では、
・Eさんは、PM、お客さんのケア・調整・B社の窓口、という立場
・Dさんは、開発責任者、SE・設計(兼一部実装担当)、という立場
二名とも案件を掛け持ちしており、C社案件に割ける工数は限られているという制約がありました。
そんな人々と一緒に仕事を進めるときに、何に気をつければいいでしょうか?
もし、自分がEさんやDさんの立場に立っていたとしたら、どういう風にメンバーの立場の人から、報告や相談や連絡をされると、やりやすいと感じるでしょうか?
残念ながら、数学のように、この問題に正解はありません。
しかし、考え続けてそれを行動に移すことはできます。人間関係の問題においては、常にベストエフォートしかないのです。その姿勢を忘れずに、それに基づいた行動を続けることです。
そういう姿勢は必ず伝わります。
手前味噌ですが、私はB社からお仕事をいただいてから、上記のようなことばかり考えて仕事をしていたため、ありがたいことに11月以降もお仕事いただけました。
私と過ごした半年間で、私からなにか一つでも盗んでくれていたら、これ以上の喜びはないです。
終わりに
ここまで長い長い長いドキュメントを読んでくださってありがとうございました。
つい熱が入ってしまい、やたらと長く書いてしまいました、今数えたら1万文字ぐらいです。読者負担重くてすみません。でも、Aさんに何かを届けられるチャンスは、もうここを除いて他にないと思ったので、ありったけ書きました。
ところで、facebookってやってますか?まぁ今どきの若い人は、やってないですよね・・・。じゃあXやってますか? あ、でも仕事で繋がってる人に匿名性の高いSNSなんか教えないですよね・・・。すみません、野暮なこと聞いて。
でもIT業界はそんなに広くないので、そう遠くない未来に、なんかどっかで再会するタイミングが来ると思うんですよね。そんな気がしています。
仮にそうじゃなかったとしても、目の前の仕事の人間関係以外の場所に避難所みたいな人間関係を持っておくのは、うまく生きるコツだったりします。未来ある若者の面倒を見たい、おせっかいなおじさんがいたなぁぐらいに覚えておいてもらいたいので、連絡先を記載しておきます。
逆に僕が未来において、頭脳明晰な人材を欲しているときに、Aさんを頼らせてもらうことになるかもしれないのです。結構人生において、そういうことってあるんですよ、これが。面白いですよね、縁って。
僕自身は、起業して経営とかやってみて、うまくいったりいかなかったりして、なんとか復帰して今はエンジニアやってる人生です。多分同じ年の他の人よりは、多様な視点から人生相談に乗れるのではないかと思ってるので、病みそうなとき、人生に迷っている時、シンプルに寂しい時や暇なとき、気が向いたら連絡ください。
人間は孤独な生き物です。おそらくこういうことを書いているのは、僕自身も潜在的に孤独を抱えているからでしょう。でも、Aさんたちと乗り越えたこの現場は、間違いなく僕にとってかけがえのない仕事経験ですし、それを一緒に乗り越えてきたAさんのことを、誇らしく思っています。
うまくできないこと・うまくいかないこと・くよくよすることだらけですが、みんなそんなもんです。どうか胸を張って、前を向いて、自分の才能を信じて、自分の魂が行きたいと叫ぶ方へ、後ろなんか振り返らずに突き進んでください。僕もそうします。
そして、疲れたときには、美味い飯でも食いに行きましょう。身体に気をつけて、お元気で過ごされることを祈っています。
では、またいつかどこかで会いましょう。
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