イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団 Budapest Festival Orchestra & Ivan Fischer @ Philharmonie de Paris : パリのおいしい日々5 Paris Gourmand 5
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パリのおいしい日々5 Paris Gourmand 5

イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団 Budapest Festival Orchestra & Ivan Fischer @ Philharmonie de Paris

21 mars 2023

Budapest Festival Orchestra & Ivan Fischer @ Philharmonie de Paris.

Enfin, ma premiere fois d’un concert de Fischer. Braaaaaaaavo! Un vrai et excellent travail du chef d’orchestre. Quelle expression. Les musiques sont vivantes et heureux avec lui.

Tres beau piano de Rudolph Buchbinder, egalement.

”オーケストラは指揮者の楽器。楽器の質はもちろんだけど、なんと言っても弾き手の良し悪しが一番大切”と、知人の音楽ライターが言っていた。まさしくその通り!と大きく頷く夜。

イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団@フィルハーモニー・ド・パリ。

フィッシャーがとてもよい指揮者というのは耳にしていた。聴く機会がなく、3年くらい前にようやくこの組み合わせを予約して楽しみにしていたら、直前、フィッシャーの体調不良で指揮者交代。オケはそれなりによかったけれど、残念だった。

今夜、舞台に出てきた姿に大きな拍手を送る。ようやくのフィッシャー初体験、嬉しいな♪

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ドホナーニ”交響的瞬間”。日本語だとこうなるらしい。フランス語から意訳すると、シンフォニックな分(数分)の連なり、というイメージかしら。いづれにしても”瞬間”ではない。シンフォニー的な美しい旋律が、数分ごとに入れ替わり立ち替わり現れるイメージ。ロマンティックできれいな曲~。

そして、振り、期待通り上手い!初体験曲なので、比較はできないのだけれど、ワクワクさせてくれるというかこちらの集中力を常に刺激してくれる、表情豊かで心地よい表現に、聞き惚れる。

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最初の曲の後、ピアノ蓋開け。


続いて、ベートヴェン”ピアノコンツェルト4番”。

ソリストは、ルドルフ・ブッフビンダー。ウィーンを代表する、ウィーン子が大好きな巨匠。数年前にヤンソンス&バイエルン放送響のベートーヴェンの何番かを聴いた時は全然ピンと来なくて、それっきりだった。今夜は、数年前の印象はなんだったんだろう?と首を傾げる演奏。

前回気になったミスタッチが今夜はほぼほぼない。正統かつ端正で品がいい。時々出てくるまったりというか鷹揚なテンポにウィーンを感じる。これがベートーヴェンのお手本です、的な、非常に優等生的かつ雰囲気ある演奏。お歳いくつ?70は余裕で超えてるよね?この年代のピアニストとして指の動きが速く、音もきれい。一楽章のカデンツァ、聴きごたえたっぷり。

ピアノを引き立てるフィッシャーの指揮が本当に上手。ピアノと弦の強弱コミュニケーションの妙、素晴らしい。弦の配置、このためなのかしら。コントラバスはウィーンフィル@楽友協会風に後ろ一列。面白いのは、ヴィオラとセロを混ぜ合わせたような配置。弦の聴こえ方がより融合的になる。

アンコールは、シューベルトの即興曲とバッハのパルティータ。知的でメリハリあるバッハ、いいね。

フィッシャーもファーストヴァイオリン後ろの空き席で嬉しそうに聴いてる。

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ここまででもう、一つの演奏会を満喫したような満足感。そして後半は、喜びと感動のオンパレード。

”ドン・ファン”、”サロメ”から7つのヴェール、そして”ティル・オイレンシュピーゲル”という、シュトラウス3曲。プログラム的に、最高~。

”バラの騎士”もそうだけど、”ドン・ジュアン”の冒頭の官能性というか悦楽感、大好き。これをフィッシャーがこれでもか!とばかりにロマンティックかつ朗らかにつやつやに響かせる。あまりに美しくて、口が空いて笑顔になっちゃう。オケを眺めていると、おや、私と同じように口開けて嬉しそうな顔しながらヴァイオリン弾いてる人がいる。そうだよね、こんなに素晴らしい旋律聴いてたら(弾いてたら)、嬉しくって顔がほころんじゃうよね。いいな、いつもフィッシャーのそばで心地よい音楽に浸れて。

3作品とも、フィッシャーのストーリーテラーぶりがすごい。描写がとても生き生きしていて、人間のあらゆる感情が3つの異なる作品の音楽表現の中に溢れ出ている。この人のオペラも聴いてみたい。そういえば、兄様アダムが振った“ドン・ジョヴァンニ”、とてもよかったっけ。血、なのかしら。ティルは、主役のホルンとクラリネットの一人を指揮者の目の前に据えて、この作品の表情により強いメリハリをつけていて、躍動感たっぷり。フィッシャーが生かすオケの魅力に脱帽。

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ティル〜の前に、ホルン4本、クラ1本が正面前列に移動。

アンコール、とても楽しい。最初の拍手が始まると、第一ヴァイオリンの一番後ろがいなくなった。気分悪くなったのかな?と思ったら、反対側から出てきて奥のドラムのそばに立ち、フィッシャーは第一ヴァイオリンの一番後ろに腰掛ける。そして、ヴァイオリン&ドラムによる、シナトラ(多分)のジャジーなナンバー。ライヴハウスにいる感覚。続いて、古そうなコントラやヴァイオリンを持ったトリオが中央に出てきて、ハンガリーの酒場で流れていそうなフォークロアな感じの音楽。手拍子打って踊りたくなるような感じで楽しい~。フィッシャーも嬉しそうに聴いている。

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アンコール、1。ファーストヴァイオリンがこちらに移り、ドラム(ハープの後ろ)と共にジャジーなセッション。

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アンコール、2。ハンガリーの酒場をイメージさせるトリオ。


たっぷり2時間半の、大充実演奏会。オーケストラのレベルもなかなかだけど、今夜は、指揮者のパフォーマンス満喫!この人、トップクラスのオケを振ったらどうなるのかしら?

”指揮者によっては気の抜いた演奏になるよ、ベルリンフィルだって(まだその経験はない)、ウィーンフィルだって(うん、こっちは気が抜けた演奏に何度か遭遇してる)。オーケストラはとにかく指揮者が肝心なんです”と、知人。サロネンとかフィッシャーとか聴くと、本当にそう!としみじみ思うね。

爺様たちの魅力満喫の夜☺️

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by yukino55555 | 2023-03-23 20:26 | アート | Comments(0)

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