パリのおいしい日々４ Paris Gourmand 4

Ballet de l’Opera de Paris, Mayerling.

Bonne interpretation de visage de Mathieu.

パリ国立オペラ座バレエ、マクミラン「マイヤーリンク」。

月がきれい。もうすぐ満月かな。

面白いほど第一キャストと違う、第二キャスト。

マチューのロドルフ、表情演技はお見事。彼はちゃんとルドルフになってた。悲しみ、絶望、厭世、報われぬ愛、もがき、悲壮、、、。顔がちゃんと史実であるストーリーを語ってる。ユゴはあくまで”ユゴ”だっただけに、そっか、こういう人物だったんだよね、としみじみ。

ただ、技術、とりわけポルテが、ユゴに比べるとかなり惜しい。踊りっぱなしで難しいポルテ多いから、そもそも、マチュー大丈夫！？って、みんな心配してた。去年の「赤と黒」での怪我もあったし。今回も、いつ降板になっちゃうか、とみんなヒヤヒヤ。「赤と黒」見逃して以来、一年以上マチュー見てなかった。

ポルテがぐらついたり一生懸命感が出ちゃうので、その度に物語から現実に引き戻されるのが惜しいけれど、ユゴよりもずっと感情がロドルフに入り込んでいて好き。「初日よりもずっといいよ、マチュー」と友人。「技術はそもそも期待してない、演技を見て。ユゴは、なんで死にたい＆死ぬのか、全然見えてこなかったでしょう」と。どちらにも、うなづく。

リュドミラのマリーも、ドロテと全くタイプが違う。ドロテが存在感たっぷりだったのに比べ、リュドミラはもっと控えめで、あくまでロドルフが主人公としてふるまってる。悪くない、全然。

ローラのラリッシュ、よい～。表情を含めた細かな演技が抜群。そっかそうだよね、こういう役だよね！

エロイーズのシシィも雰囲気あってよし。

今夜のステファニーは、最悪。一幕のパドドゥ、マチューのポルテも微妙というのもあるけど、見てられない。第一配役のシルヴィアが本当によかったんだ、と改めて思う。

ブリュエンヌのミッツィ、ヴァランティヌみたいな迫力と華はないけどお上手なのは確かなので、よし。

今夜のヒットは、パブロのベイ・ミドルトン。セクシーな演技、いいね～。撫でつけた髪もチャーミング。ただ、役としてはハンガリー将校の方が見応えあった。

アントラクト中、別の友達とおしゃべり。テーマは、”パリオペラ座は、なぜこんなにも演技ができなくなったのか？”。

昔はもう少しみんな演技力というか表現力あったと思うのだけど、今はみんな、ぎこちなく同じような表現しかできなくなってる。でなければ、ただのやりすぎか。

「基礎がちゃんとしているからこそ、自由な表現が生きる。基礎なしで自由演技したところで、なんの感動もない」と友人。本当だよね、、。

その他雑感。

双頭の鷲や歴代君主の肖像画、ハプスブルクの威光にワクワクしつつ、ルドルフが引き金となった巨大帝国の終焉を思って、じ～んとする。

ルドルフの髭の量、幕ごとにどんどん少なくなってくのね。なぜ？史実なのかな？

レヴェランス、ソリストしか出ないのね。なぜ？写真見ると、初日はコールもレヴェランス出てる。

金管、そんなひどい音出せるのは、なぜ？リストに失礼だ。

初体験「マイヤーリンク」はこれで終了。いつか、ロイヤルで見られる日が来るといいな。