1988(昭和63)年から松坂城跡で薪能を開いてきたが、2014(平成26)年に松阪開府の祖・蒲生氏郷を顕彰する「氏郷まつり」に合わせて、「松阪市民能」と改称し屋内開催に変更し、今回11回目。
同連盟では現在、舞では観世流と喜多流、はやしでは大倉流と幸清流の小鼓を学んでいる。「松阪子ども能楽教室」では小中学生が学ぶ。
この日は、第1部が市民による能楽発表会として、面や装束を着けずに能の一部を舞う「仕舞」(しまい)が小中学生や一般により披露された。
第2部では和泉流の狂言「雷」と、喜多流の半能「源氏供養」を上演。
狂言「雷」は、雷(雷神)と薬師(医者)が登場。薬師の前に突然雷が落ち、腰を打ち付け苦しむ雷に薬師は針療法を施す。両者の掛け合いが観客を楽しませ、会場からは笑い声が上がった。
「源氏供養」は、主に後半を取り上げる半能で上演。法印が石山寺を訪れると紫式部の霊が現れ、源氏物語を書いたが主人公の光源氏を供養しなかったので成仏できずにいるといい、供養を依頼。紫式部はお礼に舞を舞うが、光源氏を弔うことで自分も極楽に行けるだろうかと、短くはかないこの世の無常を嘆く。
観客らは優雅に舞う姿や笛、小鼓が奏でる音に魅せられていた。
宮本八重さん(72)=津市=は「狂言は分かりやすくて面白かった。能はちょっと難しかったですが、音楽が良かったです」と話した。