Doors of Curiosity

Doors of Curiosity

"We keep moving forward, opening up new doors and doing new things, because we're curious... and curiosity keeps leading us down new paths." ― Walt Disney

いつも留守にしている Cab Co. 職員の正体

みなさん、こんにちは。
好きなディズニー映画は『ロジャーラビット』、Yominimoverです。

 

今回は「ロジャーラビットのカートゥーンスピン」の「乗り場」に関するお話です。「カートゥーンスピンと言えばキューラインでは!?」という方もいらっしゃるかと思いますが、キューラインの話はまた次の機会で。

 

さて、ゲストがタクシーのレニーに乗り込んで最初に目にする物といえば……

そう、トゥーンタウンのタクシー会社である「Toontown Cab Company」の事務所(?)ですね。事務所のドアには、パーク内でも至る所に見られる「留守を知らせる看板」が掛けられています。この看板、よく見ると留守にしている人物の名前を知る事が出来ます。

どうやら留守にしているのは Don という職員みたいです。

 

プロップに名前が書かれていたら大抵イマジニアの名前である。
鉄則ですね。

 

鉄則に従ってカートゥーンスピンに携わった Don という名前のイマジニアを検索してみると、それらしき人物が検索結果に出てきます。

出典:http://www.doncarsoncreativehost.com/index.html

Don Carson
1989年から1995年までシニア・ショー・デザイナーとしてウォルト・ディズニーイマジニアリングに所属。「トゥーンタウン」のプロジェクトではリード・ショー・デザイナーとして「ダウンタウントゥーンタウン」エリアを担当されたそうです。

 

ベニーが壁を突き破っている印象的な入口のコンセプトアートを描いたのも、ドン・カールソンさんなんです。

出典:http://www.doncarsoncreativehost.com/theme.html

他にもトゥーンタウン内だとあの「ミッキーの家」やギャグが印象的な「グーフィーのガソリンスタンド」などのコンセプトアートを描かれています。

 

さて、これにて一件落着!
また新たにイマジニアを1人知る事が出来て為になったね~!

 

 

 

……では終わらないのがこの小ネタの面白い所。

 

少し脱線しますが、この発見をするに至った経緯を説明させてください。

  1. カートゥーンスピンのキューラインって滅茶苦茶凝ってるし、小ネタいっぱいありそうだよな~」と思いながらプロップをジロジロ眺める。
  2. レニーに乗り込んだ直後、イマジニアっぽい名前が看板にある事に気づき撮影を試みる。
  3. 帰宅後に写真を確認したらブレてて Dan なのか Don なのか分からないよ~!
  4. YouTube に投稿された動画を確認してみるも、写真ではなく動画なので解像度が悪く結局 Dan なのか Don なのか分からん!
  5. 次のインパで撮影成功し、イマジニアの特定にも無事成功。

ざっとこんな感じ。

 

そしてこれは「 4. 」の時に YouTube で看板の文字が読めるぐらい解像度の高い動画を探していた時の事です。最初は東京ディズニーランドカートゥーンスピンで撮影された動画を見ていたのですが、なかなか良い動画は見つからず……。

 

しかし、そこで僕は思いつきました。
カートゥーンスピンはカルフォルニアにもあるじゃないか!」と。

 

YouTube の検索ボックスに「Roger Rabbit's Car Toon Spin」と入力し、カルフォルニア版のカートゥーンスピンの動画を再生っと……

 

 

……ん?

 

 

おい!!!名前が違うじゃねーか!!!

 

という訳でなんと「東京とカルフォルニアで留守にしている職員の名前が異なっている」という衝撃の事実が発覚!ちなみに上の写真は今年(2024年)の4月にカルフォルニアを訪れた際に撮影してきました。

 

ではカルフォルニア版のカートゥーンスピンで事務所を留守にしているこの Joe は一体誰なのか。先に言ってしまうと、滅茶苦茶すごい人でした。

参照:https://www.lanziserocreative.com/

Joe Lanzisero
1979年から2015年までディズニーに在籍。数多くの才能を輩出してきた CalArtsカルフォルニア芸術大学)にアニメーション課の一期生として入学。ジョン・ラセタージョン・マスカーなどと共に学んだ後、アニメーターとしてディズニーに入社。入社後にアニメーション部門からイマジニアリングに移り、最終的にはイマジニアリングのクリエイティブ・シニア・ヴァイス・プレジデントに就任しました。

 

トゥーンタウン」のプロジェクトではリード・デザイナーを務め、その他にも様々なプロジェクトでリーダーを務めています。東京ディズニーリゾートとの関わりも深く、「クリッターカントリー」「マーメイドラグーン」「アラビアンコースト」などのデザインにも携わっています。

参照:https://www.lanziserocreative.com/

 

そしてどうやらダッフィーの誕生にも関わっているようで……

https://www.lanziserocreative.com/

決定的な情報は得られなかったものの、おそらく、ほぼ確実に、99%ぐらいの可能性で、ジョー・ランジセロさんが最初のダッフィーの絵本のイラストを描かれた本人だと思われます。*1

 

加えて、少しニッチな情報にはなりますが、セサミストリートマペットの生みの親であるジム・ヘンソンが亡くなった時にイマジニアによって描かれた下のイラストもジョー・ランジセロさんがティム・カークさんと共同で描かれたものだそうです。*2

参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Jim_Henson#cite_ref-73

ジョー・ランジセロさんが凄過ぎて話が脱線しかけたような気もしますが、カートゥーンスピンに話を戻しましょう。

 

ここまで読んで「これだけ東京ディズニーリゾートと密接な関わりのあるジョー・ランジセロさんの名前がカルフォルニア版にあって東京版に無いなんて~!」と思われた方もいらっしゃると思います。そんなみなさんに朗報です。

 

実はカートゥーンスピンに乗る度に、毎回ジョー・ランジセロさんの顔を見ています。

 

その「顔」がこちら。

参照:https://www.instagram.com/tv/CZz2qI5hTPZ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

左の「J」と書かれたビックリ箱から飛び出ているピエロがジョー・ランジセロさんです!では右の「M」と書かれたビックリ箱から飛び出ているピエロは誰かと言うと、ジョー・ランジセロさんと共にカートゥーンスピンのコンセプトアートを描かれたマルセロ・ヴィグナリさんです。

 

こちらがマルセロ・ヴィグナリさんの顔写真:

参照:http://vignalistudio.com/resume/

二人とも特徴的な顔つきをしているので、とても分かりやすいですね!

 

2人がピエロの姿をしているのには実はちゃんと理由があります。

 

ジョー・ランジセロさんとマルセロ・ヴィグナリさんがアニメーション部門に在籍していた頃、同僚のジョン・タッカーと3人でピエロのグループを組んで活動していたそうです。活動は社内だけに留まらず、実際に病院を訪れて入院中の子供を楽しませた事もあったとか。*3

 

そういう経験もあってか、ピエロのビックリ箱を通過する時に聞こえてくる笑い声は、ジョー・ランジセロさんとマルセロ・ヴィグナリさんのお二人が演じているそうです!*4

 

アトラクションに携わったイマジニア本人の歴史が、小ネタとしてアトラクションに刻まれているのは素敵ですね!

 

 

 

という訳で以上が「Cab Co. 事務所のドアにかけられた看板」の小ネタ+α に関するお話でした!いかがでしたか?

 

今回紹介したイマジニアに興味が湧いた方は、是非今回の記事の参考にした以下の資料を読んでみてください!記事に載せたかったけど文章量が多くなり過ぎて載せられなかった情報が沢山あります。

ちなみに今この記事を書いている時点では、ジョー・ランジセロさんへのインタビューはまだ全文読めてないです。書き終えたらじっくり読もうと思います。

 

次に「ロジャーラビットのカートゥーンスピン」を訪れた際は是非、乗り場の看板と終盤に登場するピエロを見て、アトラクションを作ったイマジニア達の存在を感じてみてください!

 

 

 

あとがき

Doors of Curiosity 1本目の記事を書き終えた感想:

疲れた~~~!!!

 

最初は軽い内容にして、ブログ開設の報告ツイートをとっととしようと思ったんだけどな~。事実確認の為に参考資料を調べ直してたら前回調べた時は気づかなかった興味深い情報がいろいろと出て来て想定の倍以上のボリュームになってしまった。増えた分の事実確認もしないとで、最終的に12時間以上かかったな。まぁでも今回は事故みたいなものだし、次は大丈夫でしょう!(フラグ)

 

書きたい記事はいろいろあるけど、次の記事の内容は未定!一応今後の予定としては、流石にこういうパーク内での発見がホイホイ出てくる訳でもないので、ショパレや映画の感想とか「超個人的○○ランキング」みたいな気楽な記事も書きたいな~と思ってます。あとは去年のフロリダ旅行と今年のカルフォルニア旅行の振り返りとかもしたい。

 

シンプルに記事を読んだ感想が気になるので、ブログ更新のツイートにリプライとか引用RTとかしていただけるととても嬉しいです。反応は貰えれば貰えるほどハッピー!

 

あとみんなブルースカイに移住しようぜ。界隈の人達が全然移住してないから滅茶苦茶静かで寂しいんだよね。「このブログについて」の所にブルースカイのアカウント貼ってあるからさ。ちなみにマシュマロもしれっと始めてる。

 

最後に全然話変わるんだけど、映画だと「ロジャー・ラビット」なのにアトラクションだと「ロジャーラビット」で中黒があったりなかったりするの、滅茶苦茶モヤモヤしない?

 

それではまた!

*1:2021/11/19 のジョー・ランジセロさんの Instagram の投稿に「ダッフィーの絵本はスコット・ヘネシーとの共同制作」と書かれており、同様に共同制作した『The Cat's Baton Is Gone』という絵本の Amazon ページには「Scott Hennesy (Author), Joe Lanzisero (Illustrator) 」と書かれていました。( Instagram の投稿:https://www.instagram.com/p/CWdfm_eL5Fh/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA== ) ( The Cat's Baton Is Gone の Amazon ページ:https://a.co/d/97a6WWI )

*2:イマジニアリングの社内誌「WD Eye」の第6号に記載あり。( Muppet Wiki の記事に投稿された社内誌の画像から確認可能:https://muppet.fandom.com/wiki/WD_Eye ) ( 写真の引用元が Wikipedia なのは自分も嫌だけどどこのサイトも Wikipedia から引用してたのでお許しください……:https://en.wikipedia.org/wiki/Jim_Henson#cite_ref-73 )

*3:こちらのエピソードに関してはジョー・ランジセロさんが Instagram に投稿された動画でお話されています:https://www.instagram.com/tv/CZz2qI5hTPZ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

*4:ImNotBad.comによるマルセロ・ヴィグナリさんへのインタビューでお話されています:https://www.imnotbad.com/2012/04/exclusive-roger-rabbit-ride-designer.html