やっとピクサーの新作アニメ、現在ヒット中の「ラタトゥィ」観てきました。第一印象は、"Babette' Feast." 料理、食事が如何に全身全霊に関わる事なのか、の確認でした。料理を作るのは嗅覚が特に鋭敏な「グルメ」なネズミ、レミーとその手足となる天涯孤独になってしまったヒョロヒョロの若者、リングイニ。 伏線が色々ありますが、それは観てのお楽しみ、です。 簡単に感じた事柄を書いてみます:
ネズミをペットに飼っている人もたくさんいる世の中、ディズニーのミッキーマウスの影響で、また住居が近い(?)事もあり、人間に取っては比較的身近に感じられる動物です。 パリのスターシェフ、オーガスト・グストーの5つ星レストラン、「グストー」で客をうならせる料理を作る存在になるとは。。。台所にネズミ、という考えに最初抵抗を覚えるかもしれません。ネズミの世界と人間の世界の隔たりもレミーの一族の観点から現実的に描かれ、この辺りは人種問題に置き換えると解り易いな、と感じました。
子供の映画、とは簡単に言えない深さで、棺桶型の部屋に住み、料理人から恐れられているレストラン批評家、アントン・イーゴ(何と、この声がピーター・オトゥ-ルでした!)が人生の終章で幸せな大転換を成し遂げるのは、一皿の料理の御陰なのです。 すぐにバベットが脳裏に浮かびました。
圧巻はこの食事の場面でした。香りが、ワインが、味が過去の記憶を鮮明によみがえらすのです。パリで食事をした事のある姉妹の知り合いの将校の言葉で、バベットの素性が浮かび上がってきます。毎日体に入れる食物、単なるエネルギー源ではないということがよく判ります。 ネズミのレミーが父親も含めた他のネズミと違うのは、これを解っているからなのでしょう。 映画の最初の頃にもう一つ大切なメッセージが出てきます: 過去に囚われていては、前途が見えない、先に進めない。そして人間には創造する力がある。 そして料理は誰にでもできる、というグストーの言葉。
レミーはある事件の後、一族で住んでいた家を離れなければならなくなるのですが、異動の途中、グストーの料理本に気を取られていたために一人になってしまいます。イーゴの辛辣な批評のために星を一つ落としたグストーは間もなく死亡。 迷ってしまったレミーの前にグストーの霊(?)が現れ、レミーを良い方向へと導く、そしてレミーはパリのグストーのレストランでリングイニと出会う事から、物語が展開して行きます。
大人も子供も楽しめる、そして食べ物の重要性がよくわかる映画です。料理の時間がもったいないという人たちもいますが、食べる物は我々の存在を支え、我々の体になってくれている訳ですから、おろそかに出来ません。 さらに何をどのように調理し食べるかで環境への影響も変わってきます。 映画の中では、CGで作成した料理はおいしく見えないので(命のエネルギーが無い?)、実際に料理を作り写真を撮って活用したそうです。
ぜひ楽しんで下さい。
Babette's Feast (1988) Trailer
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