今回は11月富士見ファンタジア文庫・オーバーラップ文庫・TOブックス新文芸の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫の新作2点、続巻1点、オーバーラップ文庫の続巻4点、TOブックス新文芸の続巻1点の計8点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
俺ん家が女子の溜まり場になっている件 (富士見ファンタジア文庫)
幼馴染・花園環奈との十年ぶりの再会で、一瞬で儚く崩れ去った五木陣平の平穏な一人暮らし。孤高な才女たちの悩みを聞いていたら、なぜか家に居座られてしまう青春ラブコメ。劇的な再会から陣平の家に入り浸るようになってしまった女子高生ながらに社長を務める幼馴染・環奈。さらに密かに抱える違和感を指摘された日本陸上の星・浅桜や、存在感皆無な国民的女優・笹月の存在に気づいたことから彼女たちにも懐かれて、彼女たちが同盟を結んで陣平の家に入り浸り始める展開で、何気にハイスペックな陣平は困った人を放っておけないタイプということもあって、隙あらばと繰り広げられるラブコメ模様だけでなく、共に過ごす時間が増えて絆めいたものも育まれてきた4人のこれからがとても楽しみです。
絶世の美少女騎士は俺のガチ恋オタクでした (富士見ファンタジア文庫)
騎士候補生クロノの前に突如現れた美少女シャーロット。彼が英雄となっている二百年後の未来からやってきたガチ恋オタクの彼女たちと繰り広げる愛されファンタジー。現段階ではまだ人類の敵《侵略種》に対抗するための騎士候補生でしかないクロノに出会い、熱烈なオタクっぷりを炸裂させて専属騎士に志願したシャーロット。天才の幼馴染オフィーリアや抜け目ない後輩アイなども絡めながら、クロノを巡る熱烈オタクバトルが繰り広げられて笑ってしまいましたが、一方で彼女たちが関わったこともあってか、本来の未来とは少しずつ変わっていく状況はなかなかシリアスで、別の未来人を見出してその思惑を打破するために協力して立ち向かう展開はなかなか良かったですね。
魔王2099 5.魔王降誕都市・渋谷 (富士見ファンタジア文庫)
旧家臣との合流を急ぐ魔王ベルトールが辿り着いた巨大な地下都市『渋谷市』。とある計画で人類に害を為すハズの悪魔が合法的に跋扈する街で天忌侯メイと再会する第6弾。極悪の治安を誇る暗黒都市で無事に天忌侯メイと再会を果たしたものの、彼女が記憶を失っていることを知るベルトール。メイの肉体を利用して新たに顕現した悪魔を次なる霊長せしめんと目論む魔王を称する最悪の存在に対峙する展開で、いきなり勇者がマッサージ店でTSベルに遭遇するシュールな光景には思わず笑ってしまいましたが、ベルトールが大好き過ぎてメイを溺愛するマキナも相変わらずで、メイを奪還するために悪魔と対峙して圧倒するベルトールの熱い戦いとその強さはなかなか圧巻でしたね。
アメリカ帰りのウザかわ幼なじみが今日も俺を踊らせてくる 2 (オーバーラップ文庫)
六海刻羽/こむぴ オーバーラップ 2024年11月22日
アメリカから帰ってきた幼馴染・星蘭に踊らされる日々を受け入れつつある流斗。今度は中学までダンスパートナーだった乃羽とお祭りイベントのステージに参加する第2弾。文化祭のステージ乱入が問題となり停学危機に陥り、それを回避するために担任の八桜先生の提案で社会奉仕の一環としてお祭りイベントに参加することになった流斗。イベントに向けた合宿でお互いに意識する存在となっていた星蘭と乃羽も思いを語り合う中で、少しずつ確かな絆が生まれてゆく一方で、八桜先生の意外な過去も明らかになりましたけど、思わぬトラブルに直面して演じることを諦めてもおかしくない中、それでも乃羽のために今自分にできることを最後までやりきってみせた流斗の頑張りが光っていました。
断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く!2 (オーバーラップ文庫)
転生して立派な悪役令嬢を目指し空回りを続ける元聖女のルナ。帝国より転校してきたウェンディのメインヒロインっぷりに衝撃を受ける第2弾。思わぬライバル出現に焦りながら冒険者シルバーとなって脳筋思考で問題を解決していく一方、実家が両親が高圧的な徴税官に搾取される場面に遭遇して、それが思わぬところに繋がっていく展開でしたけど、訳アリのウェンディも親思いのいい子で、それを利用する皇帝の悪辣っぷりが極まっていましが、呪いに苦しむウェンディの母を普通に救うルナは悪役令嬢ムーブ忘れてますよね(苦笑)思わぬ場所でかつての仲間と再会を果たす中、そこから彼女もびっくりの斜め上の結末で続巻がますます面白くなりそうです。
無能と蔑まれた貴族の九男は最強へ至るも、その自覚がないまま無双する 2 (オーバーラップ文庫)
メグリくくる/コダマ オーバーラップ 2024年11月22日
この世界を歪めた大賢者を打倒するため西の方角へと進むラディたち。その途上で大賢者の意思を継ぐ魔神十二将の一人、酩酊スクッバに遭遇する第2弾。スクッバの奇襲を退けて先に進むものの、辿り着いたハイネルナ帝国最初の町は酔っ払いで溢れかえり、その原因と思われる国中に蔓延するワインの秘密を探るラディたち。彼に甘えるアエリアやエルマとの微笑ましい関係が描かれる一方で、たびたび襲撃してくる意外とお人好しなスクッバの部下シャーナや、父を探す少女ユリスの事情から明らかになってゆく、スクッバの悪辣っぷりがなかなか極まっているあたりは著者さんらしい展開でしたが、その因縁に決着をつけたことで新たな仲間も増えて、さらに賑やかになりそうなこれからの旅が楽しみです。
ありあまる魔力で異世界最強2 (オーバーラップ文庫)
十利ハレ/あゆま紗由 オーバーラップ 2024年11月22日
マイヒメを救出したヒグレたちは隠れ里へと移動を開始することになり、しかしその道中で魔獣に襲われ、崖下の川に落下した先で死靈種の美少女シスカと出会う第2弾。魔獣を一掃するヒグレの強さに「飼い主さん」と慕うシスカと、希少種を実験材料として残虐に利用する研究者ヘライーナとの遭遇。そこから「白眉の冠」への助力を仰ぐべく死靈種の里へと向かい、そこから里が抱えた秘密を巡る騒動に巻き込まれていくヒグレ。シスカも一方変わった個性が光るキャラで、タイプの違うヒロインたちから隙あらば注がれる溺愛されっぷりは相変わらずでしたけど、彼女たちと協力しながら難局を打開してみせた熱い戦もなかなか良かったですね。いろいろ因縁や伏線に繋がりそうな出来事もあった今後の展開が楽しみです。
ギルドの依頼をこなし、新しい呪文の書の購入資金を着々と貯め続けるアル。以前見つけた塔の主の墓所探索で、怪しげに活動している隣国の部隊を目撃する第2弾。ナレシュの従者として蛮族討伐に参加して機転を利かせたり、レインドロップ収集で思わぬものを発見したりする一方で、アルを慕うパトリシアに持ち上がる縁談の噂。以前見つけた塔の主の墓所探索で巨大ゴーレムを発見する一方、墓所周辺で怪しげに活動している隣国の部隊を目撃してしまう展開で、それに不穏な動きもあちこち垣間見える中、アルもまた無関係でいられない状況に追い込まれて、そんな中でも相変わらず呪文の書の誘惑に迷う姿には苦笑いでしたけど、立場を考えれば迷うのも分かる今回の決断で今後の展開が気になりますね…。