こちらは2022年5月に読んだ新作おすすめ本 文庫・単行本編です。
ライト文芸6点、文庫10点、文芸単行本12点の計28点の紹介になります。
ライトノベル編はこちら↓
まずライト文芸では紅玉いづきさんのデビュー15周年記念で3ヶ月連続で刊行されている「ミミズクと夜の王 完全版」「毒吐姫と星の石 完全版」 (メディアワークス文庫) 、道草家守さんの母を亡くし職も失い絶望の淵にいた少女ローザが、美貌の貴公子アルヴィンに拾われる「青薔薇アンティークの小公女」(富士見L文庫) 、綾里けいしさんのダークな雰囲気で執事とお嬢様が繰り広げるコミカルな展開のギャップが楽しい「偏愛執事の悪魔ルポ」 (講談社タイガ)、 近江泉美さんのビブリオファンタジー「深夜0時の司書見習い」 (メディアワークス文庫) あたりは注目ですね。
また一般文庫では武田綾乃さんの映画ノベライズ「バブル」 (集英社文庫) 、櫛木理宇さんらしいクライムサスペンス「残酷依存症」 (幻冬舎文庫) 、青山美智子さんらしい連作短編集「ただいま神様当番」 (宝島社文庫) 、秋川滝美さんらしい店を訪れるワケありの客たちにこだわりの料理を提供する料理小説「湯けむり食事処 ヒソップ亭」 (講談社文庫)、谷瑞恵さんの恋人と別れて傷心の主人公の癒やしの物語「まよなかの青空」 (文春文庫) あたりはなかなか良かったです。
文芸単行本ではなんといっても安壇美緒さんの全日本音楽著作権連盟の職員が音楽教室に潜入するスパイ×音楽小説「ラブカは静かに弓を持つ 」がインパクトありましたが、今度は公正取引委員会職員を主人公とした新川帆立さんの「競争の番人」、大学の無料法律相談所・通称「無法律」を舞台とした五十嵐律人さんの連作短編ミステリ「六法推理」、いきなり冤罪事件に巻き込まれる辻堂ゆめさんの「二重らせんのスイッチ」と浅倉秋成さんの「俺ではない炎上」を挙げておきたいと思います。
※各作品タイトルのリンクはBookWalkerページに飛びます。
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ミミズクと夜の王 完全版 (メディアワークス文庫)
毒吐姫と星の石 完全版 (メディアワークス文庫)
青薔薇アンティークの小公女 (富士見L文庫)
偏愛執事の悪魔ルポ (講談社タイガ)
深夜0時の司書見習い (メディアワークス文庫)
幽世の薬剤師 (新潮文庫nex)
バブル (集英社文庫)
残酷依存症 (幻冬舎文庫)
ただいま神様当番 (宝島社文庫)
湯けむり食事処 ヒソップ亭 (講談社文庫)
まよなかの青空 (文春文庫)
ベンチウォーマーズ (光文社文庫)
晴明の事件帖 消えた帝と京の闇 (ハルキ文庫)
ドアを開けたら(祥伝社文庫)
ヴェネツィアの陰の末裔 (創元推理文庫)
法治の獣 (ハヤカワ文庫JA)
羊毛フェルトの比重
情熱の砂を踏む女
働く人々もお店の客もどこかおかしな東京都三鷹市のスーパーマーケット「ママズキッチン」。バックヤードで繰り広げられる言葉の応酬と傷つけ合いが描かれる群像劇。言葉を聞き入れてもらえない少女、自分の意見を捨てた女、完璧に見えるバイトリーダー、他人の人生を壊してしまう男、毎日この店を訪れ「お弁当をタダでくれ」を叫ぶ車椅子の女。あるものは感情をさらけ出し、あるものはひたすら耐える登場人物たちの心理描写が丁寧に綴られていて、読者もそのほとばしる感情の揺らぎに振り回され続けますが、とある転機から急展開を迎えるその結末はなかなか衝撃的でした…。