yoccatta TOKYOの役割とデザイン
安全に対する技術者たちの想い、
そして、
人知れず廃棄~焼却されていくエアバッグ素材‥‥
プロダクト(製品)において、
“想い”があるデザインが重要と考えています。
ファッションの知恵や技術、経験を駆使し、
廃材をアップサイクルする。
これが、yoccatta の役割です。
yoccattaのプロダクトは、
使う人の心の片隅が、温かい気持ちになるような
デザインをしていきたいと思っています。
リサイクルが難しいエアバッグの現実
米国、中国に次いで、世界第3位の自動車保有国、日本。
国内の約7,800万台(2019年)の自動車のうちエアバッグが作動するのは、10%に満たないと言います。
自動車部品が厳格に分別され、90%以上がリサイクルされるにもかかわらず、 エアバッグやシートベルトに関しては、 再生されずシュレッダーダストとして廃棄処分されているのが現実です。
Yoccatta TOKYOでは、
シュレッダーダストの軽減・廃棄物の再資源化を目指している企業『株式会社エコアール』の協力により、
エアバッグとシートベルトを再資源として回収していただいております。
毎年スクラップになっている自動車台数は、年間280万台。
そのうち、エアバッグ(装置)を取り外し回収している割合は、20%ほど。
廃棄自動車からエアバッグとシートベルトを回収することは、時間と手間のかかる作業です。
株式会社エコアールの皆さんには、電流によってエアバッグを作動させ、
手仕事でエアバッグとシートベルトをひとつひとつ切り取っていただいています。
*シュレッダー‐ダスト(破砕屑)とは...
廃棄された自動車や家電などは工業用シュレッダーで粉砕し、鉄・金属などの再利用資源を回収した後に残る、
産廃として捨てられる混合物。廃棄自動車シュレッダーダストは、車重量の約20%の割合で発生しています。
旅する車の“エアバッグ”が、旅する“BAG”に
エアバッグは、軽量で耐熱性や強度に優れた基布「66ナイロン」が使用されています。衝撃吸収の為、風船やクッションの様な立体型に縫製されていて、ハンドルやダッシュボードの内側に小さく折り畳まれて収納されています。安全順守装置は再利用できないので、強制的に爆破させて取り出す事になります。その際に汚れや火薬臭が付いてしまいます。ファッション素材として用いるためには、それらを洗い落とす作業が必須となります。
また、小さく折り畳まれていた為にシワが多く、車種の違いもあり、形や色、大きさもまちまちで同じ物は容易に集まりません。その個体差のあるエアバッグを手作業で解体し、平面パーツににして、そこからまた手作業で裁断していきます。
染色も、表面に破裂防止の為のコーティング剤が塗られている為、思うようにいきません。ファッションアイテム製造としては、困難と非効率のオンパレードです。
私たちの快適な移動と安全を支え、人目に触れることなく消えてきたエアバッグ‥‥。
それ故に、「廃棄エアバッグ」のセカンドストーリーには、大きな意義がある、また、
この試みは、ファッション業界においても未来に向けた一つの“実験”だと思っています。
ファッションの「デザインと技術」で、“アップサイクル”
廃棄エアバッグを魅力ある商品へ…
ヨカッタトーキョー
エアバッグを爆発させ強制的に取り出す
↓
爆発時の火薬臭や汚れを落とす(一部染色)
↓
立体に縫製されたものをフラットにもどす
↓
使用できる箇所を選び裁断〜縫製
↓
BAGとなり、新たな役割を担う
“Made in JAPAN” 地産地消の実現
yoccatta TOKYOは、創業時より海外の協力工場にて生産を行ってきましたが、“ファッションの地産地消” を掲げ、全ての工程を国内で行うことを実現しました。
これにより、日本の廃材を国外に持ち出さず、売り切れる分だけを作る適量生産、輸送距離や移動回数の減少により、環境への負担をこれまで以上に軽減することが出来ました。洗浄や裁断、縫製を含むひとつひとつの工程を国内のパートナーファクトリーと綿密に打ち合わせたクオリティの向上はもちろん、デザインや機能面もアップデートしました。
手にとって、確かな品質を感じ取っていただけたらと思います。
日本で走っていた車の廃棄エアバッグを
日本でデザインして
日本の技術で縫製し製品にする
そして、日本で使ってもらう!
SDGsとして意義があることだと思います。
“ソレイユプロジェクト” 平等な就労の実現
yoccatta TOKYOのもうひとつの大切な取り組みは、障害者就業支援です。
ヴァージン素材と違い立体形である廃棄エアバッグは、手作業で解体し平面の生地にする必要があります。
とても厄介で、とても重要な工程です。
自動車メーカーさんからご紹介いただきこの作業を、知的障害者施設が運営する工場にお願いすることが出来ました。長年、自動車の部品組み立てを請け負っていたこの福祉工場は、様々な工夫が施され障害者の方々が安全に作業できるように整えられています。
国内生産への切り替えに伴い、私たちは、この取り組みを soleil project(ソレイユ-太陽- プロジェクト)と名付け、活動に加えました。商品を通じて、丁寧な手作業の温かみが伝わったら嬉しいです。
“エゾプロダクト”命をムダにしたくない
近年、日本全国で急増している野生動物....
その中でニホンジカは、年間60万頭あまりが個体数管理計画のもと頭数が管理されています。趣味主体の狩猟と頭数を減らす為に行政から委託さた駆除(間引き)で構成され、猟後、肉食処理ができない場合は、焼却されています。
北海道の自然の中で暮らしているエゾジカは、天敵のエゾオオカミがいなくなったこと、それに加え、地球温暖化で越冬できるようになったことから、個体数が増え餌の不足が、森を荒らす原因とされています。また都市開発により、人里と森が近くなってしまい、街の中に迷い込むエゾシカが増えた事も問題になっています。
北海道の豊かな自然を守りたい。
そして、野生動物と人が共存していける社会でありたい。
個体数管理のために、やむを得ず狩猟されたエゾシカ
『命をムダにしたくない・・・』
『 イノチヲツナグ』
yoccattaは、エゾプロダクトの想いに共感し、
エアバッグとエゾシカレザーを使用した、
『 EZO PRODUCT 』コラボレーションモデルを つくりました。
“産学連携”の試み
未来の責任世代と....
資本主義を邁進してきた大人たちが
持続可能な開発スタイルへとアップデートするより、
未来を生きる世代が目覚める力を信じて
大人は支える側にまわる方が
よき変化が速く訪れるだろう!
実践女子短期大学部
日本語コミュニケーション学科との産学連携授業。
“yoccattaのトートバッグに載せるSDGsメッセージを考える”
ファッション業界が抱えているさまざまな問題を認識した上で、
生徒の皆さんに、響かせたいターゲットを想定し、SDGsのコピーを考えていただきました。
優秀作品は、実際に製品化が予定されており、
最終審査に残った生徒(チーム)には、審査員の前でプレゼンするという発表会のステージが用意されました。
HISTORY
yoccatta、これから
2014年 | エアバッグ技術者と出会い、「人知れず人命を守る仕事」がある事、 そして、そのエアバッグが廃棄されている事も知りました。 ファッションのスキルと技術を「廃棄エアバッグ」に活かせないか! |
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2015年 | エシカルブランドは、ファッションビジネスとしては成り立たない、難しいとみなされる中、ku:ya design と SD-WORKSの2社でブランド化しました。
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2021年 | その後、SDGsが注目されるようになり物作りやブランド運営方針の違いが生まれ、 現在、yoccattaは2社で運営し、それぞれのプロジェクトに取り組んでいます。 ファッションデザイナー伊藤卓哉が、率いるku:ya designは、 エアバッグのアップサイクルブランド「yoccatta ヨカッタ」の企画製造販売を担います。 『yoccatta PLUS ヨカッタ プラス』 ディレクター佐竹隆司氏が、率いるSD-WORKsは、 エアバッグ以外の廃材やリサイクル素材…例えば、工場に残る『残糸』や『再生ポリエステル生地』などを活用した商品を「yoccatt PLUS ヨカッタ プラス」としてプロデュース。企業と企業を繋げ、ビジネスにおいてエシカルな志を拡げる活動を行なっていきます。
また、理念をデザインに取り込むことができるのか! 『yoccatta ヨカッタ』 これからも、探究していきたいと思っています。 |