2024年 11月 21日
ゼラニウムの冬越し |
順子さんちの内玄関を飾るゼラニウムは35歳と聞いてびっくりした。
わたしは春になるとゼラニウムを買う。
玄関先のいくつもの大きな鉢に寄せ植えする。
根付くまではしょんぼりしていて、茎も太く逞しくなって花を咲かせるようになると、夏本番になって灼熱の太陽にいじめられてばてている。
朝晩の涼しいうちに二度水をやっても昼間には土が白っぽく乾くのだ。
少し涼しくなると、アスペンの葉が落ち始めるころまで、もうひと頑張りして花を咲かせてくれる。
でもそのあとは、そのまま冬枯れさせていた。
リタ叔母も、わたしたちが訪れたときにはゼラニウムの鉢を玄関先のサンルームに移していた。
庭仕事の道具やら、なにやら正体のわからないものが雑然と置かれているサンルームで、整頓下手な母の家のようで、そんななかにゼラニウムが冬の間避難されている姿をじろじろと眺めたのは、懐かしいような思いがしたからだ。
”鉢からゼラニウムを抜いてしまって捨てられているのを見ると、拾いに行きたくなっちゃう”
夏が終わって、お隣のゴミ箱を見てしまって、順子さんはそう言った。
順子さんがわけた根っこを水につけておいたアフリカンヴァイオレット。
もらったのを鉢に移して何か月になるか。
蕾がついた!
小さな鈴のようなのがいくつも頭を垂れている。
ゼラニウムは鉢ごと1週間雪に埋もれたけれど、まだ茎は青々しているから、まだ間に合うかと、掘り上げてありったけの鉢に移して家の中に入れた。
外に出している鉢はコンクリート製なのと、巨大なものだから、そのままでは移せない。
外の鉢をそっくり中に入れれば小さな虫も孵化するのが常だから、外の鉢植えを家のなかに入れたくないと言うこともある。
できるだけ新しい土を使ったけれど、どうなるだろう。
花も終わったし、枯れた部分を刈ってしまって今はほとんど裸のさびしい姿だが、回復してくれるのではないか。
陽当たりがよくて、ミルキーとココがいたずらしないところというと、場所が限られるけれど、わたしが昼間のほとんどの時間をすごす台所まわりに置いた。
ドイさんは、毎日植物には話しかけたり歌ってあげなきゃだめよ、と言っていた。
寒さを凌いでやれば死なずにすんだものを、半年きりで冬枯れさせていたのはわたしの怠惰のせいだ。
シーズンきりで安物のシャツを着捨てるひとを軽蔑しながら、わたしは草花に似たようなのような扱いをしてきたのか。
かわいそうなことをしてきたのだ。
by ymomen
| 2024-11-21 02:04
| ガーデニング
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Comments(2)
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵さま
そんなことがおありでしたか。
たいへんなときに入院なさいましたね。
そんなときに目にしたゼラニウムの赤を忘れられないお気持ちがわかるような気がします。
ゼラニウムの薫り、わたしには匂えないのですよ。
どういうことなのでしょうね。
鼻は効く、とほとんど自慢しているのに、匂えない薫りがあるようなのです。
ゼラニウムの赤は、オレンジがかっていて野暮ったい色だと永年思っていました。
30代に初めてヨーロッパへ行き、窓辺に飾られたゼラニウムが可憐で改心しました。
ピンクや白のゼラニウムも出回っていて、色んなのを買ってみましたが、やっぱり赤が好きです。
そんなことがおありでしたか。
たいへんなときに入院なさいましたね。
そんなときに目にしたゼラニウムの赤を忘れられないお気持ちがわかるような気がします。
ゼラニウムの薫り、わたしには匂えないのですよ。
どういうことなのでしょうね。
鼻は効く、とほとんど自慢しているのに、匂えない薫りがあるようなのです。
ゼラニウムの赤は、オレンジがかっていて野暮ったい色だと永年思っていました。
30代に初めてヨーロッパへ行き、窓辺に飾られたゼラニウムが可憐で改心しました。
ピンクや白のゼラニウムも出回っていて、色んなのを買ってみましたが、やっぱり赤が好きです。
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