Dribs and Drabs

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ランダムな読書歴と音楽にまつわる備忘録

柴田南雄「印象派以降」,『柴田南雄著作集 1』国書刊行会

柴田南雄はもちろん最近『音楽史と音楽論』を(ようやく)読んで興味を持ったからなんだけど,なんで「印象派以降」を読もうと思ったんだっけな。とにもかくにも,こっちの方が圧倒的に面白い。文章量はやっぱり多い方が面白い。ドビュッシー以降の〈純音楽…

西尾幹二「ヨーロッパ像の転換」,『西尾幹二全集 第1巻 ヨーロッパの個人主義』国書刊行会

11月1日に西尾寛治が亡くなったということで,Twitterには西尾に関することがあれこれ流れてきたんだけど,そのうちのひとつがこれ。 このころの朝生はすばらしかったこんな覚悟ある発言をする言論人がいまいるだろうかこれはネトウヨがどうという話ではない…

柳田国男『地名の研究』中央公論新社(中公クラシックス)

地名の研究 (中公クラシックス)作者:柳田 国男中央公論新社Amazon 「過去への道標」を毀損してはならない 今尾恵介 自序 地名の話 申すまでもなく地名は人のつけたものである。日本の地名は日本人のつけたものである。前住民がつけたとしても少なくともわれ…

佐々木敦『ニッポンの音楽』講談社(講談社現代新書)

ニッポンの音楽 (講談社現代新書)作者:佐々木敦講談社Amazon はじめに 本書は、一九六〇年代の終わりから現在までに至る、この国のポピュラー・ミュージックの流れ、すなわち「ニッポンの音楽」の歴史を、出来るだけコンパクトに通覧してみようとするもので…

柴田南雄『音楽史と音楽論』岩波書店(岩波現代文庫)

柴田南雄のスケールの大きさ,視野の広さがよくわかる一冊。『若い読者のための音楽史』と似たような本でありながら,モノが違う。日本人が日本人に向けて書いている――放送大学での講義がベースになっている――ということもあって,日本の歴史を軸に据えなが…

シャーロット・マリンズ『若い読者のための美術史』すばる舎

意欲的な本だとは思うけど、そんなに入り込めなかったな。「知ってることと知らないこととのバランス」って話があるけど、本書に書かれていることは自分にとっては知らないことがほとんどなので、それが入り込めない理由のひとつだと思うけれど、でもリヒタ…

ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』CCCメディアハウス

アイデアのつくり方作者:ジェームス W.ヤングCCCメディアハウスAmazon 序――ウィリアム・バーンバック 手に入れたアイデアが価値あるものかどうかは保証の限りではない。このことを言ったのはヤング氏が初めてだったのではないか。アイデアの良し悪しは、遺伝…

磯部涼『ルポ 川崎』サイゾー

最近とある人とヒップホップの話になって,「アメリカでヒップホップに流れる層って日本じゃお笑いに流れてるんじゃね?」って言ってたんだけど,これ読んだらそれが違ってたのが分かったっていうか……。 ルポ 川崎作者:磯部 涼サイゾーAmazon Prologue “川崎…

J. D. ヴァンス『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人たち』光文社

2016年にトランプが勝ってヒラリーが負けたとき、「アメリカ人ってバカなのか?」って思ったのを覚えてるんだけど、アメリカ人(のすべて)がバカなわけではなく、単に自分がアメリカの内実を知らなかっただけだったという。 区の図書館と国会図書館とでつけ…

Chilly Gonzales《Gonzo》|ラップのこと,リチャード・クレイダーマンのこと

自分もまさにソロピアノのアルバムで Chilly Gonzales を知って,なもんだから「静謐で内向的で……」みたいな人物をイメージしていたんだけれど,ロンドンで10年ほど前に彼のライブを観にいったとき,その先入観とは裏腹に,声の大きなエンターテイナーである…