病院実習中コロナになって、クリニックに行ったら知ってる先生に尋問された話(前編) - アラサー女子医学生の徒然草

アラサー女子医学生の徒然草

アメリカの四年制大学を卒業(学士号取得)し、帰国。その後、国立大学医学部に学士編入学しました!雑記などを書いていますのでどうぞよろしくお願いします!

病院実習中コロナになって、クリニックに行ったら知ってる先生に尋問された話(前編)

今週のお題「睡眠」

 

数週間前のお話。

毎日マスクは欠かさず生活をしているが、

季節の変わり目で気温もぐっと下がったからか喉がイガイガ。

 

「風邪か…」

イソジンのうがいは毎日していたが今日は少し濃いめのイソジンうがいをしよう

早めに寝よう。

10時には床についていた。

 

まだ日も登っていない暗闇の中、私はとてつもない悪寒

そして倦怠感、頭痛、吐き気で目が覚めた。

時計を見ると、3時25分。

 

普段使わないが、有事のための温度計を棚からガサゴソと探し、

脇に刺そうとすると、

先端のヒヤっとした感触で、より一層気分が悪くなった。

 

『39度5分って・・・。まじか。』

 

これは風邪じゃない。今流行りのインフルだ。

私は直感した。

 

最近、インフルが流行しているとテレビの中でいろいろな人が言っている。

この症状、授業でならった通りだ。

この流行、やはり避けられなかったか。

 

もちろん、今日の実習は休まなければならない。

なぜなら病院には、免疫の落ちた患者さんがたくさんいる。

私のような人間がインフルになっても致命的ではないことが多いが、彼らは違う。

どこかの医師が、「ウイルスは、人を間違えれば殺人毒になる」と言っていたのを思い出した。

 

ただし、家から出ず、限られた薬の中で生きるのは難しいので、病院とドラッグストアには行かないとならない。

 

数年前に胃腸炎でお世話になった、近くの内科医院のホームページを検索すると、

やっているじゃないか。発熱外来。

9時から。

 

遅い。今は3時30分。

5時間半も、この悪寒と戦い続けたら、この健常な私の体もこたえてしまう。

アセトアミノフェンを飲んで寝るしかない。

2錠飲んで寝よう。

 

次目が覚めたときは、いつものアラームが鳴る7時だった。

この状態で、実習など行けるわけがない。先生に連絡しようと思ったが、

連絡用のピッチは実習生用に与えられたロッカーの中。

 

「クソゥ・・・」

 

連絡手段を考えた。

友人にLINEで連絡して、先生に言伝してもらう方法。

いや、これは、友人も実習で忙しい、かつ、こんな朝早くに頼むなんて迷惑すぎる。

朝イチの大学に行って、一番最初に来た先生に直接休むと伝える方法。

これは、論外だった。身体的にも、公衆衛生的にも。

 

『無断欠席・・・・。』

だめだ、だめだ。

私たちの学年からは実習への出席は全日出席が義務となっており、無断欠席すると補講やら課題やらでめんどいことになるらしい。

私たちの代から出席が厳しくなったのは、全部一個上やその上の代が、実習を無断で休みまくったせいなのだ。

 

『おのれ、学務課。』

 

学務課・・・・。

そうだ。

学務課に言えばいいんだ。

 

 

8時半になれば、学務課も始業だ。

そうすれば、先生にも伝えてもらえる。

 

それまで、まだ1時間以上ある。

少し気持ちが悪いが、薬のおかげか頭痛は良くなってきた。

私は、ほんのり明るくなってきた部屋の中で、スマホを開いていた。

 

気づくと8時30分を3分ほど過ぎていた。

実習の集合時間は8時45分。

その時間までに、私の欠席の連絡を先生に伝えてもらわないと、

私は無断欠席者とみなされてしまう。

 

関節痛、頭痛、吐き気、悪寒、39℃の発熱をしているけれど、無断欠席者に。

 

出席を厳しくしたことは恨んでいるものの、

この早朝の電話をすぐに取ってくれたことにはとても感謝している。

 

「わかりました。では、先生に伝えておきますね。」

優しそうな女性の声で良かった。

そして何か事務的な面倒くさい文言も言ってこなかったところも良かった。

この学務課の女性によれば、私は、この後に病院に行って診察を受けたという書類さえあれば、今日分は公欠扱いとなるそうだ。

また、インフル陽性となれば5日間?1週間?ほども公欠になるそうだ。

正直、身体的な辛さで、電話口で簡単に説明されている内容さえも処理できなかった。

何せ、病院で診察してもらい、その証明を後日出せば良いとのことであった。

 

電話を切る際、「お大事に。」と小さな優しい声の言葉が、少し痛みを和らげてくれたようだった。

 

病院は9時半からだ。8時40分をまわったところだが、

私はだめもとで電話をかけてみた。

 

「◯◯クリニックの受付の山田です。」

 

でた。

 

でてくれたではないか。

 

正直、でないと思っていたが、私の体は限界を超えており、

人の迷惑を十分に考えられるほどの認知能力の余裕など残っていないかった。

 

「すみません。発熱外来を受診したいのですが。

今朝から熱が39度あって、インフルの検査をしたいのですが。」

 

正直、呼吸も少し苦しくなっていて、この5秒で言える内容さえ、

息が上がるほどだった。

 

「わかりました。もう受付は開いているので、今からきてもらって大丈夫です。

まだ予約の方はいらっしゃってない時間なので、到着したら受付に来てください。」

 

「ぁりがぁとぉぉ…ごぉ  ざぁぃ まぁすぅ。」

 

もう声を出せなかった。

でも、病院が開いている。この嬉しさには涙が出そうだった。

 

この後、地獄が待っているとも知らず。

後編に続く。