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scribo ergo sum もの書き・八少女 夕のブログ Since March 2012


Posted by 八少女 夕

マンドラゴラが生えている?

ちょっとびっくりしたことがあったので、ご報告を。

アルラウネ

この記事は2024年のエイプリルフール記事です。

借りている畑の片隅に、とても綺麗な紫の花が咲いていたので、持ち主の隣人に訊いてみたんです。「これはなんて花ですか?」って。

「ああ、ナスの仲間でAlraunenっていうのよ」とにこやかに教えてもらいました。

で、「ナス? いくらなんでも早いですよね」って訊いたら、びっくりされて、慌てて言われました。
「これ、野菜じゃないの。毒があるから氣をつけてね」と。

アルラウネって言葉に聞き覚えがあったので(昔のマンガ?)、氣になってどんな植物なのか、日本語の情報が無いか調べてみました。そしたら「マンドレイク、またはマンドラゴラ」って!

えー? あのマンドラゴラが、こんなに普通にその辺に生えるものなんだとびっくりしてしまいました。この下に人間の形をした根っこが埋まっているのかと思うと、ドキドキですよね。




この記事には追記があります。下のRead moreボタンで開閉します。

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なんてことがあるわけないでしょう。生えていませんよ、もちろん。今日は4月1日です。
ま、ジギタリスなどの毒草を庭に植えているご家庭はけっこう多いんですけれどね。

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Posted by 八少女 夕

【小説】瑶池蟠桃

「scriviamo!」は終わっていないのですが、今日の小説は、植物をテーマに小さなストーリーを散りばめていく『12か月の植物』の3月分です。4月になっちゃったのであわてて。

3月のテーマは『桃』です。

桃源郷という言葉もあるように中国の楽園は西にあって桃の花が咲き乱れているというイメージ。アンズや桃はヒマラヤ原産ともいわれていて、パキスタンにある標高2500mのフンザ地方は現代の桃源郷といわれるほどアンズの栽培が盛んだそうです。しかもここの人たちは長寿で有名で、アンズの種を常食することが健康で長寿の秘訣なのかもといわれています。中国で語り継がれた不老長寿の仙桃伝説はこうした事実と関係があるのかも。

ところで、もともとは黒歴史から借用したこの仙人ものも、もう4作目。そろそろカテゴリー作るべきかしら。


短編小説集『12か月の植物』をまとめて読む 短編小説集『12か月の植物』をまとめて読む



瑶池蟠桃

 河岸の向こうは、見渡す限り桃の花が咲いており、まるで薄紅色の雲のようだった。

 宋子墨は、丁氏にもらった呪符を確認した。この川にたどり着くまでに6枚を使い果たしており、残りの1枚で勅旨を為し遂げ長安に戻れるだろうかと思った。

 傾城傾国の美女と謳われた李夫人が病に倒れ、帰らぬ人となってから、皇帝は塞ぎ込むようになった。道士に妙薬を作らせ長寿を実現しようとしたが、それを燃やした煙の中に亡き夫人の姿を見てからは、病や死を怖れるようになった。

 西の果てに崑崙山あり。その高みに太妙天紫府化気西華金母元君、つまり西王母として知られる最高位の女仙の住む瑶池があると言われている。

 子墨は、李氏の遠い縁者として官位を得たが、李一族の栄華は心許ない状態にあった。早くに両親を亡くし、叔父の厄介になって育ったので居心地は悪く、一刻も早く出世したいと願っていた。

 共に育った叔父の娘、宋木蘭とは心を通わせていたが、もちろん同じ氏族での恋は許されるはずもなく、娘を皇帝の後宮に送り込もうとしている叔父の逆鱗に触れることがないように忍ぶしかなかった。

 生きて帰れるかもわからない西域崑崙山への旅、あるかどうかもわからぬ不老長寿の妙薬の探索を引き受けたのは、そうした事情があった。

 皇帝の重用する道士たちは、誰ひとりとしてこんな地の果てまで旅したことはなかったし、都中を駆け回って探した名のある道士たちも崑崙山のことは文献でしか見たことがないと言った。

 だが、勅旨を拝受してしまった以上、野獣に襲われようとも西の果てまで行かないわけにはいかなかった。手がかりもないまま、西へと向かったが、天水にたどり着いたとき、宿屋で知り合った不思議な道士がいた。

 まだその時は、立派な旅支度でたくさんの部下もいたので、静かで立派な宿屋に泊まることができていた。それゆえか、子墨の一行の他には、その若い道士しか泊まっておらず、夕食の時に話をする機会があったのだ。

「2月の末までに鄯善に入れば、普段はたどり着けぬ瑶池への道をみつけられるだろう。というのは、蟠桃会を目指してたくさんの神仙たちが集まってくるからだ。仙人たちを追い、満開の桃の花を見つけることができれば、王母娘娘のいる神泉苑は遠くないだろう」

 3月3日は西王母の誕辰であり、この日には神仙が瑶池に集まり蟠桃会を開催するといわれている。

 その不思議な道士は丁と名乗った。そして、子墨が自分の役割を話すべきか迷っている間に、子墨の素性から、勅旨の詳細まですべて言いあてられてしまったのだ。それで、子墨はこの道士は、これまでに会った道士たちとは違い、おそらく神仙であろうと思った。

 丁氏は、子墨の顔を見ながら言った。
「勅旨を捨てて逃げ出せば、そなたを監視している部下らによって命を失うだろう。このまま進めば、そなたの命は助かるが、部下らを失うだろう。そなたがこの旅を終えることができるように、呪符を書いてやろう。部下には見せぬように」

 そして、その言葉通りとなった。武威、酒泉と西に行くに従い、部下たちが1人またひとりと減っていったのだ。ある者は食あたりで残り、ある者は強盗と闘い、またある者は同行者同士の喧嘩で共倒れとなった。そして、楼蘭とも呼ばれる鄯善に着いた時には、彼は身の回りの世話をする下男すらも失い文字通りひとりとなっていた。

 丁氏にもらった呪符は旅のあいだ、何度も彼の命を救った。強盗に襲われて副官が血の海の中で息絶えていたときも、子墨は切れた衣服の下で呪符がすっぱりと切られていただけで済んだし、渡し舟に穴が開いてが転覆しかけたときにも呪符がいつの間にか穴を塞いでいた。6枚の呪符はそのように役割を終えて使い物にならなくなった。

 いま彼は丁氏が話していた満開の桃花の土地に到達しようとしていた。2日ほど前から、彼は空を飛ぶ神仙を幾度も目にした。言われていなければ鳥と見間違えてしまっただろうが、西王母の住む瑶池を探して、常に空を見上げていたので、奇妙なほど同じ方角へと飛ぶ影を見逃さなかった。

 その方角は、まるで死の砂漠とそれに続く恐れの渓谷に向かっているようだったので、同じ方向に進もうとする旅人はいなかった。だが、丁氏の言葉を信じて1日進むと、突然水流豊かな川と、その向こうに桃の花が咲き乱れる不思議な土地が目に入ってきたのだ。

 渡し守は物言わぬ老人で、向こう岸に着くまで全く彼を見なかったし、彼が降りるとあっという間に岸を離れた。
「あ……。帰りの舟はいつ……」

 こちらを全く見ずに去って行く渡し守をしばらく見ていたが、あきらめて振り向くと、いつ近づいたのか至近距離に3人が立っていた。真ん中にいるのは赤い服を着て焰のような色の髪をした女で、右にはやたらと頭の長い老人、左の黒鉄の鎧で武装した男が雷のような大声を出した。
「お前は何者で、何の用だ」

 彼は、ひれ伏して勅旨を差し出した。
「長安の都から参りました宋子墨と申します。太妙天紫府化気西華金母元君にわが皇帝へ不老長寿の妙薬を御下賜くださるようお願いに伺いました」

 長旅と途中で起こったいくつもの不愉快な出来事により立派だった箱は壊れ、剥き出しになった勅旨は汚れボロボロになっていた。ごく普通の役人などに見せれば、間違いなく偽物としてうち捨てられてしまうだろう。

 武装した男は、勅旨を受け取ると頭の長い老人に渡した。老人は開いてから頷き、女に向かって恭しく訊いた。
「確かに皇帝劉徹からの書状でございます」

 武装した男が不満げに遮った。
「しかしながら、このような小者を使いに出すなど王母娘娘を軽んじているのではありませぬか」

 老人もそれには同意見らしく、女を顧みた。
「いかがなさいますか、紅榴元君」

 紅榴は、じっと子墨を見つめて言った。
「勅旨だけではないな。強力な呪符も持っている。それに、この者を取り巻いている守護の呪術は、翠玉がかけたものであろう」

 老人ははっとして頷き、子墨の周りをじろじろと見て回った。
「いかにも。翠玉真人ならではですな。最低限の細さと長さなのに、このように隙の無い呪詛返し、久しぶりにこの目で見ましたわい。これを知らずにこの者を襲ったら、さぞひどい目に遭うのでしょうな」

「おい。お前、翠玉真人の知り合いか!」
武装した男が大声を出した。

「わかりませぬ。天水の宿屋で知り合い、これらの呪符をくださった丁氏と名乗られた道士にここまでの道を教えていただきました」
ひれ伏しながら、子墨は考えていた。では、あの丁氏が、皇帝が必死に探していた神仙、翠玉真人だったのかと。

 紅榴はさっと袖を振った。
「通してやれ」

「よろしいのですか。他の日ならともかく、本日は蟠桃会だというのに」
武装した男がまた大きな声を出した。

「翠玉が手助けしたと奏上すれば、王母娘娘もお許しくださるだろう。なんせ翠玉に仙道の手解きをしたのは娘娘なのだから」
「なんと! そうでしたか」
2人はそれを知らなかったようで、驚きかしこまった。

「ただし、神泉苑に入れる前に、もう少しましな格好にさせてやれ」
紅榴は笑った。

 子墨は、土の上に頭をこすりつけた。

 3月3日に開催される蟠桃会については、子墨も聞いたことがある。天界の瑶池に住む西王母は大きな桃園を持っている。そこには、平たく甘い蟠桃が実る3600本の桃の木がある。手前の1200本は3000年に1度熟し、これを食べた者は仙人になれ、中ほどの1200本は6000年に1度熟し、これを食べた者は長生不老が得られ、奥の1200本は9000年に1度熟し、これを食べた者は天地のあらん限り生き永らえるといわれている。

 3月3日には、西王母の誕辰を祝う宴会があり、高貴な神々や神仙たちが集う。7人の女仙が蟠桃園をまわって収穫した貴重な仙桃が客に配られ、共に食すという。もし、その言い伝えが真実ならば、その仙桃をひとつでも持ち帰れば皇帝の命を果たしたことになる。

 子墨は3人に続いて、花盛りの桃の苑を歩いていった。どの木も今が盛りと咲き誇っており、仙桃などは見当たらない。

 山のように仙桃があれば、1つ分けてもらえるのではないかと期待もできるが、人間の住むところと同じように、3月に桃はならないのかもしれない。そう思ってキョロキョロしていると、木々の間をときおり仙女たちが進んでいくのが見えた。そして、その1人が目に入ると子墨は思わず叫んだ。
「木蘭!」

 兄妹のごとく共に育った従妹がかなり離れた木の下で働いており、彼は案内する3人を離れて木蘭のところに向かおうとした。

「そなたは何がしたいのだ、宋子墨」
紅榴が静かに、けれど威厳のある声で彼を止めた。
「王母娘娘に、その勅旨を渡したいのか。許しを得ずに仙桃を盗み出したいのか。それとも、あの見習いと逃げ出したいのか」

 子墨は、立ち止まり振り返った。ずっと黙っていたのに、彼の思っていたことはすべて紅榴にはわかっていたようだ。

「木蘭は、後宮に入ったのだとばかり……」
子墨は、再び少女の方へ顔を向けた。

「そう。そなたの従妹は後宮に送られた。だが、そなたはどうすることもできないと諦めたのではなかったか。手っ取り早く出世をするために、西域の旅を決めたのもそなたであろう」

 その通りだ。彼は恥じて下を向いた。せっかくこの女仙が西王母に会わせてくれるというのに、無為にするわけにはいかない。

 紅榴と2人の随仙は、桃林を通り過ぎ、立派な宮殿に入っていった。奥には見たこともないくらい広い大広間があり、その奥に黄金の衣装を纏った女神が座っていた。紅榴らは跪いた。子墨もあわててそれに倣った。

 紅榴が西王母に語りかけた。
「王母娘娘にご挨拶いたします」
「立ってよろしい」
「感謝します」

「そこに連れてきた人間は誰ですか」
「皇帝劉徹からの書状を持ってきた使者でございます。翠玉真人が手助けをしたようですので、追い返しませんでした」
「なるほど。書状をこちらに」

 勅旨が西王母に手渡され、女神は表情を変えることもなく、それを読んだ。
「老いず、死ぬこともなくなる妙薬がほしいと。それに値すると思っているのであろうか。紅姑、憶えておるか、あれは人間の時で1年ほど前のことであったか、共に長安に行ったのは」

 紅榴は、頷いた。
「はい、娘娘。かの皇帝が7日7晩にわたり道士たちに自らの長寿を願う祈祷を奉じさせたので、休めない道士たちを憐れまれて、降臨なされました。そして、蟠桃を皇帝に授けましたね」

 子墨は驚いた。そんな大がかりな祈祷をさせていたことを知らなかったからだ。だが、よく考えると、子墨が都を出立してからすでに2年が経っていた。
「それでは、皇帝はすでに不老長寿の仙桃を賜ったということですか」

 紅榴は頷いた。
「然り。だが、不老長寿の身になったわけではない」

「なぜでございますか?」
子墨は、さらに驚いた。西王母が自ら出向いて仙桃を賜ったのに、それで不老長寿にならなかったのでは、彼がここに来たことも全くの徒労だろう。

「絢爛たる輿に乗ったり、虎にまたがったりして行ったわけではない。どこにでもいる貧しい老女の装いで近づき、5つの仙桃を与えたのだ」
西王母が笑った。

「そして皇帝劉徹は、それを尊ばなかった。仙桃も傷のあるつまらぬ果実だと判断し、後宮の軽んじられている娘たちに与えてしまった。そなたが、先ほど見た少女もその1人だ」

 紅榴の言葉を聞いて、子墨は地面に両手をつき震えた。
「それでは、木蘭は知らずに化仙してしまったと……」

 紅榴は答えた。
「不老不死になったわけではないが、神通力を身につけた。自らの意思で後宮を抜け出した者、家族の元に戻った者、それから、仙姑としての修行を望んだ者がいる。だが、あの皇帝は目が曇り、仙桃を捨ててしまったことも、後宮の少女たちが消えてしまったことすら氣がついていないのだ」

「それでも勅旨を携え、長い旅に堪えてきたそなたの辛苦を思えば、このまま追い返すは氣の毒。本日は、みなに誕辰を祝ってもらう日、そなたに慶びを分けてやろう」
その西王母の言葉が終わらぬうちに、子墨の目の前に蟠桃が1つ現れた。

「翠玉の目に叶った者ならば、あの皇帝よりはこの蟠桃の価値がわかるであろう。この果実をどう使うかはそなた次第。都に持ち帰り皇帝に献上するもよし、不老長寿の桃として売り大金を手にするもよし、みずから食して仙道に進むもよし」

 思いも掛けない言葉をかけられて、子墨は戸惑った。両手の中に皇帝すら切望する貴重な仙桃がある。それを自らの自由にしていいなどということは考えたことすらなかった。自分に仙人になる可能性があることも1度たりとも考えたことはなかった。

 西王母の前から退出し、紅榴に案内されて再び桃の林を歩いた。仙女はわずかに笑って言った。
「仙道は、険しく難しい。能力に溺れて善行と修行を忘るれば、たやすく闇の底に沈む。身を清く保ち、人の脆さを許し、慈愛の心を持ち続けることではじめて堕ちずに進むことができる。それが難しいと思うならば、楽な方の道を奨めるぞ」

 子墨は、手元の仙桃をじっと見つめた。思っていた輝くような果物ではなく、どこにでもあるような小さな蟠桃だった。このような苦難の旅の末に入手した宝物には全く見えない。誰かに売りつけようとも、市場にある桃の値段以上の金を出す者はいないだろう。

 皇帝に献上しても、そこら辺の市場で買ってきたものだと疑われて、相手にされないか、もしくは詐欺師と糾弾されて命を落とすやもしれぬ。そうでなくても、無事に長安まで戻れる保証すらない。

 下男すらいなくなってしまった今、ひとり長安まで戻ることすら困難に思えた。

 しかし、だからといって安易に仙桃を食べることも空恐ろしく思われる。

 ふと、遠目に見た木蘭のことを思い出した。彼女が仙女となりこの瑶池に住んでいるというならば、僕も……。いや、そんな理由で、仙道に入る者がいるだろうか。紅榴仙姑が言っていたような、厳しい道に進む覚悟は全くないのに。

 いつの間にか彼は先ほどの河岸に立っていた。無口な渡し守が、当たり前のごとくそこに立っている。

 彼は、紅榴の方を向いて頭を下げた。
「ご案内いただきありがとうございました。……どうするか、帰り道に考えてみたいと思います」

 紅榴は、笑って言った。
「それはいい。その桃は人間の時間で30年ほどは腐らないので、じっくりと考えよ」

 舟は河岸を離れた。満開の桃の苑が遠ざかる。子墨は、答えのない問いをひたすら繰り返しながら、澄んだ青空を見つめた。

 不老長寿を願った皇帝劉徹は、後元2年69歳で崩御し孝武皇帝という諱が贈られた。後世には前漢の最大版図を築いた武帝として知られている。

 宋子墨の行方を史書は伝えていない。唐代に海藍上人として名を知られることになった神仙は同じ宋子墨という名であると伝わっているが、同一人物かどうかも不明である。 

(初出:2024年4月 書き下ろし)
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Tag : 小説 読み切り小説

Posted by 八少女 夕

生き残った白菜がふくたちになった話

去年の野菜が春まで生き残ってしまった話。

ふくたち

「白菜、育っている」という記事でも書きましたが、種まきが遅すぎてグズグスしているうちに大雪に埋もれてしまった白菜が、しぶとく生き残って今野菜に育っています。

ブログのお友だちダメ子さんに教えていただいたのですが、秋田で同様に雪に埋もれた白菜が春にトウ立ちして「ふくたち」という別の高級野菜に変身し、売り出されているとのことです。私の白菜も無事にふくたちになりました。ようするに結球しない謎野菜ですが、食べられればなんでもいいのです。

ふくたち菜の花

このまま収穫してもよかったのですが、花芽を摘んでさらにトウ立ちさせるともっと美味しいとの情報を得たので、とりあえず花芽だけ食べてみました。

「これがすごく美味しいのか?」という感じでしたが、きっと秋田のふくたちはもっと甘いんだろうなあ。わたしのは、苦みの少ない菜の花って感じでした。でも、春らしい若緑。今年もマイ家庭菜園の野菜が食べられて嬉しいです。
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Category : ガーデニング

Posted by 八少女 夕

【小説】傷つけない刀

scriviamo!


今週の小説は、「scriviamo! 2024」の第10弾、ラストの作品です。大海彩洋さんは、「学園七不思議シリーズ」の作品で参加してくださいました。ありがとうございます!

 大海彩洋さんの書いてくださった『【奇跡の予感・ブルームーン~バッカスからの招待状・返歌~】 』

大海彩洋さんは、ライフワークである「真シリーズ」をはじめとして、精密かつ重厚な小説を書かれるブロガーさんです。今回は大河小説「真シリーズ」のメインキャラの1人、大和竹流ことジョルジョ・ヴォルテラが『Bacchus』に降臨です。当ブログの150000Hit記念掌編でリクエストにお応えして「学園七不思議シリーズ」の高校生トリオを大手町のバーに放り込むというけしからん作品を書いたのですが、そこで某山猫くんが「けんかして仲直りしたい」と思い悩んでいるというような話を書いてしまったんですね。今回の彩洋さんのお話は、そのアンサー小説でした。

お返しどうしようか悩んだ末、『Bacchus』で書くことは特に何もないなあということで、登場人物が被っている「いつかは寄ってね」で書くことにしました。

彩洋さんのお話や、あの方々には全く関係のない話ですが、いちおう彩洋さんの作品のあるモチーフだけいただいてきました。あとは飲んでいるだけ?


「scriviamo! 2024」について
「scriviamo! 2024」の作品を全部読む
「scriviamo! 2023」の作品を全部読む
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「scriviamo! 2021」の作品を全部読む
「scriviamo! 2020」の作品を全部読む
「scriviamo! 2019」の作品を全部読む
「scriviamo! 2018」の作品を全部読む
「scriviamo! 2017」の作品を全部読む
「scriviamo! 2016」の作品を全部読む
「scriviamo! 2015」の作品を全部読む
「scriviamo! 2014」の作品を全部読む
「scriviamo! 2013」の作品を全部読む

「いつかは寄ってね」をはじめから読むいつかは寄ってね




傷つけない刀
——Special thanks to Oomi Sayo-san


 つむじ風が道の上の花びらを回しているのを見ながら、すみれは今年の桜も終わったな、とぼんやり思った。毎年、年度初めはバタバタしていていつもの仲間との花見を企画し忘れてしまう。ま、夏木さんたちも忙しいわよね。言い訳のように考えた。

 すみれは、神田駅の行き慣れた地下鉄出口の階段を昇った。今日は第2木曜日。月に1度の『でおにゅそす』の日なのだ。

 久保すみれ、夏木敏也、近藤雅弘の3人は、もともとは大手町のバー『Bacchus』の常連だ。といっても、3人ともアルコールに弱く、ほかの店ではなかなか楽しめないといった方がいい。

 その3人が神田の和風飲み屋に定期的に行くようになったのも『Bacchus』つながりなのだ。『でおにゅそす』は、『Bacchus』で知り合った伊藤涼子の店だ。

 和風の飲み屋に憧れているけれど、なかなか行く機会がないし、1人では入りにくいというすみれにつきあって、夏木と近藤が行くようになり、いつのまにか『Bacchus』が店を閉める第2木曜日は常連がこぞって『でおにゅそす』に行く習慣となった。

 東京は神田の目立たない路地に『でおにゅそす』はひっそりと建っている。2坪程度でカウンター席しかないが、開店してから5年ほどの間にそこそこの固定客が付き、暖かい家庭的な雰囲氣で満ちている。

「こんばんは」
すみれは、引き戸を開けてのぞき込んだ。

「いらっしゃいませ、久保さん」
涼子が微笑んで迎える。今日の装いは薄緑に花筏柄の小紋だ。名古屋帯はグレー。落ち着いていて素敵だなあ。すみれは思った。

「今日も、わたしが最初ね」
夏木と近藤は、だいたい7時頃に来ることが多い。もう来慣れたすみれは、2人がくるまで涼子や、この店の常連たちとおしゃべりしながら楽しく待つことができるようになっていた。

 その時、奥の席に座っている男が目に入った。よく座っている常連の西城ではなくて若い男性だ。

 変わった格好だなあ……。すみれは思った。ひと言でいうと紺ベースの和装だ。ただし普通の和装ではない。神田では男性の和装も珍しくないのだが、少なくとも伝統的な和装という感じではない。何が違うんだろう。羽織みたいなのに飾りみたいなのがついていること? モダン? かぶき者? アイドルの衣装で和風テイストを取り入れたものにも似ている。

 あれかな、秋葉原近いから、何かのコスプレかな。

 とはいえ、コスプレとは断言しにくい理由の1つが、その服がいい感じに褪色してしかも擦れた感じなのだ。また、化繊にありがちな光沢がなく、非常に落ち着いた風合い。うーん、謎。

 カウンターの中から、涼子がその男性の前につきだしの小皿を置いた。
「お飲み物はいかがなさいますか」

「ぬる燗にいい酒はなにがありますか」
彼は品書きは見なかった。
「そうですね。栃木の『開華』純米や、宮城の『浦霞』山廃大吟醸、それから今だけ島根の『玉櫻』生酛きもと純米を入れています」

 涼子が答えると彼の表情は、ぱっと明るくなった。
「ああ、桜の季節ですからね、それをいただきましょう」
「かしこまりました」

 それから涼子はすみれの方を見た。興味津々にやり取りを聞いていたすみれは少し赤くなった。
「久保さんは、今日はどうなさいますか?」

 ここでウーロン茶というのは情けないけれど、さすがに私にもぬる燗を下さいとは言えない。全く飲めないというわけではないけれど、飲み終えられるか微妙だし。

「もしかして、『玉櫻』少し試してみたいですか?」
モゴモゴしているすみれを見て、涼子が少し笑った。

 すみれは大きく首を縦に振った。
「本当は、いつものウーロンハイをお願いするつもりだったけれど……。ちょっと羨ましくなっちゃって。でも、頼んでもひと口くらいしか飲めないし……」

 すると、男性がわずかに笑って言った。
「じゃあ、彼女にお猪口を。僕の徳利から試すといい」

「そんな、申し訳ないです! わたしがお支払いします!」
そういうすみれに、彼は笑って手を振った。
「そんな無粋なことはさせないよ。さあ、どうぞ。桜の縁だ」

 すみれは涼子に出してもらった猪口に、ぬる燗の『玉櫻』を満たしてもらった。
「ありがとうございます」

 彼は猪口をわずかに持ち上げた。よくわからないけれど、和装でこういう仕草って、5割増しカッコよく見えるなあ。
「じつは、ぬる燗って初めて飲むんです。それ用のお酒があることも今日知りました」

「まあ、そうなの。専用というわけではないのだけれど、例えば大吟醸などは香りのバランスが崩れてしまうのでお冷やの方が適していると一般にはいわれているわ。ぬる燗、つまり40度くらいに温めると香りが引き立つし、味わいも豊かに感じられるので、それを楽しめるお酒が好まれるの。たとえば、生酛きもと系酒母を使った、生酛や山廃というタイプのお酒ね」

 和装の男性が続ける。
「生酛系酒母っていうのはだね。酒蔵に自然に生息する乳酸菌を酒簿の中で増殖させて作るんだ。時間と手間がかかるので、生酛系酒母で作られているのは、すべての日本酒の1割にすぎない。酒母の中の米をすりつぶし、米を溶けやすくする山卸という昔ながらの手作業も行うのはそのうちの2割、つまり全体の2%。君がいま飲んでいるのがその生酛なんだよ」

 そういう特別な日本酒を飲んでいるとは!

「なるほど。確かに、香りはとてもシャープだけれど、突き刺すような味はしない。とても美味しいです。旨味っていうんでしょうか、複雑な味がするように感じます」

「自然の乳酸が生み出すまろやかな酸味、コクのある複雑な味わいだね。それから、余韻を感じないかい?」
「はい。これまでに飲んだ日本酒よりも、長く美味しさが続いている感じです」

「『押し味』っていうんだ。これを楽しむのにぬる燗は適しているんだね」

 すみれは、面白そうに猪口の中をのぞき込んだ。
「効率よりも、味のこだわりを選んだってことですよね。でも、その価値をわかって飲まないともったいないってことですよね」

「美味いとわかれば、それで十分なんじゃないか?」
男性も、涼子も笑った。

「うーん。もっとたくさん飲める体質だったらいいなあ。これ、本当に美味しいもの。たとえると、切れ味のいいナイフに見えるけど、怪我はしない感じ?」

 そうすみれが言った途端、男性はぎょっとしたようにすみれを見た。

 これまでの朗らかな微笑みとあまりに違う表情だったので、すみれも涼子も戸惑った。

「あの……なにかまずいこと言いましたか?」
そうすみれが訊くと、男性ははっとして、バツの悪そうな顔をした。

「いえ、とんでもない。ただ、少し驚いたんだ。僕のことを見透かされたのかと思ってね」

 涼子は、2人の前に鰆の西京焼きの皿を出しながら訊いた。
「と、おっしゃると?」

 男性は、少し考えている感じだった。
「……どのくらい一般に知られている話か……。薬研藤四郎やげんとうしろうって短刀のこと、知っているかい?」

 すみれも涼子も即座に首を振った。男性は、「そうか」と笑った。
「鎌倉時代中期の粟田口派に属する吉光という刀工がいてね。この吉光の通称が藤四郎っていうんだ。徳川吉宗が作成させた『享保名物帳』という名刀のリストで天下三作に選ばれた名工で、特に短刀の妙手として有名なんだ」

 2人が話についてきているかを確認するため、彼は少し間をとった。2人は頷いた。
「そういうわけで藤四郎と名のつく有名な短刀はたいていこの粟田口吉光作なんだが、薬研藤四郎は少々変わったエピソードを持つ刀なんだ」

「どんなエピソードですか?」
すみれが訊く。

「薬研というのは、薬をすりつぶす鉄製の道具なんだが、それに突き刺さってしまうほどの切れ味なのに、持ち主だけは傷つけないという不思議なエピソードがあるんだ」
「ええ?」

「室町時代の大名畠山政長が明応の政変に負けて自害しようとしたときに、この短刀を用いたのだが、3回突き立てても刃が腹に突き刺さない。なんと切れ味の悪い刀だと怒って放り投げたところ、そのまま薬研を貫いてしまったというんだ。それで、鉄を突き通す切れ味なのに主君は傷つけない不思議な怪刀として知られるようになったというわけだ」

「へえ。そんな刀があるんですね。たしかに、切れ味はいいのに、怪我はしないって言葉に当てはまりますね」
すみれは、目を丸くした。

「その刀は畠山家の子孫に受け継がれたのですか?」
涼子が訊く。

 男性は首を振った。
「いや。足利将軍家に伝わり、足利義輝殺害後、織田信長に献上された。信長は名刀のコレクターでね。中でも薬研藤四郎はお氣に入りだったらしく本能寺の変の折にも所持していたと言われているんだ。ただ、その後は豊臣秀吉や徳川家が所持したとの説もあるが、信頼できる証拠もない。つまり、本能寺の変以後は行方不明といってもいいんだ」

「ええと、つまりあなたは、トレジャーハンターということでしょうか」
すみれは恐る恐る訊いた。

 男性は笑って首を振った。
「いや、そうではない。僕は刀鍛冶でね。ちょっと薬研藤四郎にも縁があるんだ」

「ええ? 刀鍛冶って、刀を作るお仕事ですよね! すごい。あ、だからその和装なんですね」

「はは。この服装で仕事をしているわけではないさ」
そう笑って、彼は『玉櫻』をもう1提注文した。

 その時、引き戸が開いて、夏木が近藤と一緒に入ってきた。
「久保さん、涼子さんも、こんばんは」
「いらっしゃいませ、夏木さん、近藤さん」

「あ、途中で会ったんですね」
すみれが訊くと近藤が頷いた。
「神田駅でね。あ、20分くらいでオルガさんも来るって、連絡来たよ」
オルガ・バララエーヴァも『Bacchus』の常連だ。

 夏木はすみれの前の鰆の皿や猪口を見て訊いた。
「かなり待たせたかな?」
「いいえ、それほど待っていませんよ。とても面白い話を聞いていたんです。生酛きもとの日本酒と、薬研藤四郎っていう刀。ね、涼子さん?」
すみれは、涼子に同意を求めた。

 涼子は頷いたが、他のことに氣を取られていた。小さな店のカウンターはほぼいっぱいになっている。直に他の常連も来るだろうし、もう1人来るとしたら、座る場所をなんとかしないといけない。

 刀鍛冶の男性は、酒を飲み干すと立ち上がった。徳利の下に十分すぎる代金が置かれている。
「また来るよ」
「まあ、ありがとうございます。あ、おつりは……」
「とっておいて」

「追い出したみたいになっちゃったな」
彼が出て行った後、夏木が困ったように言った。

「薬研藤四郎とのご縁がなにか、訊きそびれちゃったわ」
すみれが口を尖らせた。

「何それ?」
近藤が出てきたビールを飲みながら訊いた。

「鉄の道具に突き刺さるくらい鋭い刀なのに、持ち主は傷つけない不思議な刀なんですって。織田信長が持っていたんだけど本能寺の変で行方不明になったとか」
涼子が説明した。

「カッコいい和装だったなあ」
夏木がポツリと言った。
「刀鍛冶さんなんですって。でも、剣士でも通りそうよね」
すみれが教えた。

「常連さん?」
夏木は涼子に訊いた。

「いいえ。今日初めていらしたお客様よ」
涼子は、彼の置いていった代金を手に持ったまま、不思議そうな顔をして戸口を見つめた。

「どうかしたんですか?」
すみれは涼子の手元を見ながら訊いた。

「十分すぎるほど置いていってくださったんだけれど、一番下にこのコインが……」
そう言って見せたのは見たことがない古銭だった。

「なになに? 和同開珎?」
すみれが訊くと、近藤が呆れた声を出して涼子に言った。
「そんなわけないだろうに。ちょっといいですか?」

「うーん。天正……通宝かな?」
かなり黒くなっているが銀貨のようだ。夏木がスマートフォンで検索する。
「ああ、室町時代のお金みたいだね。それにしては状態がいいみたいだけど。ネットにある写真のは、もっとボロボロだよ」
「コスプレ用の再現貨幣?」
「最近のコスプレってそんな芸の細かいことするのか?」
「……というか、なぜこれを置いていったんだろう?」

 近藤がぼそっと言った。
「あの人、その刀匠藤四郎の幽霊で、行方不明の短刀を探していたりして」

 皆がぎょっとして近藤を見た。彼は慌てて言った。
「いや、冗談だから!」

 夏木はため息をついた。すみれは、考え深そうに言った。
「う〜ん。もしかしたら、本当にそういうことなのかも。もしくは、あの人が薬研藤四郎っていう刀の妖精とか。そうでもおかしくない佇まいだったのよね」

 夏木と近藤は、すみれが飲み慣れない日本酒で酔っているなと判断して目配せした。 

(初出:2024年4月 書き下ろし)
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Tag : 小説 読み切り小説

Posted by 八少女 夕

春は忙しい

世界情勢は不穏ですが、それでも春。夏が短く、やるべきことは待ったなしなので、とりあえず家庭菜園にいそしみます。

サクラサク

ここのところ週末はとても暖かいです。先週は28℃近くまで上がり、今週もかなり暖かい。とはいえ、平日は「雪が降るかも」などという乱降下もあるので油断なりません。とりあえず、現在のスイス田舎は素晴らしい春の真っ最中です。

IMG_7917.jpg

買って来たロマネスコとブロッコリーの苗を、とりあえず畑に植えました。ロマネスコは順調に育っていますが、ブロッコリーは既にいくつかナメクジにやられました。ううむ、周りに他の草がないので、標的になっちゃっているんだなあ。

他に種から育てているアブラナ科シリーズもあります。コールラビ、ブロッコリー、キャベツですが、かなり大きくしてから畑に植えるとして、ナメクジ&カナブン対策を考えないといけないんですよね。種はいっぱいあるけれど、苗にまでするのが大変なので戦々恐々としています。

このほかに、去年植えていた玉ねぎや3月に植えたジャガイモなども、順調に育っています。

育苗中

もう少し簡単なシリーズがこちら。一番手前はズッキーニです。こちらは成長がめちゃくちゃ早い。去年も畑で大活躍でした。

そして、奥にはトマトとナス。トマトは毎年簡単に育つので心配していないのですが、ナスがねぇ。今年は頑張りたいです。

窓辺のサラダ菜

こちらは順調なキッチン窓辺のプランター。畑も近いですけれど、調理中にちょっとだけほしいサラダ菜やハーブ類は窓辺が便利です。根っこのついていたサラダ菜をリボベジ的に土に植えたものは、普通にどんどん増えてかなり長いあいだ食べられますし、種を蒔いておいたミニサラダもぐんぐんと増えてきました。

今年の目標は、去年に引き続き、ほぼ野菜の自給自足。頑張ります。



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Category : ガーデニング

Posted by 八少女 夕

【小説】熊のネギ

今日の小説は、植物をテーマに小さなストーリーを散りばめていく『12か月の植物』の4月分です。『森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠』を再開する前に、とりあえず。

4月のテーマは『ベオラウフ』です。

日本では馴染みのない植物だと思いますが、スイスやドイツなどでは春を告げる旬の食材なのです。

今回出てくる真菜というキャラクターは、おそらく初出だと思います。じつは、影でコソコソ書いている(でも、今のところ公開するか微妙な感じの)小説の主人公だったりします。


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熊のネギ

 知らない食材に手を出すのにはすこし勇氣がいる。とくに真菜にとっては、日本語で書かれたレシピが見つからないことが、最初のハードルになった。

 日常的にドイツ語を使っているとはいうものの、料理をするときにはどうしても日本から持ってきたレシピ本から選んでしまう。日本語の本は材料から手順までひと目でわかる。ドイツ語だとどうしても慣れない単語が出てきてしまい、それが面倒なのだ。

 でも、今日はしかたなくドイツ語のレシピを使うことにした。日本では馴染みのない食材を使うからだ。

 ベアラウフ(Bärlauch)、つまり「熊のネギ」と呼ばれる野菜は、英語からラムソンとも呼ばれている。スズランの葉っぱによく似た葉からネギとニンニクの中間のような香りがする。スイスやドイツ語圏の国々では春の旬の野菜として食べられている。スーパーマーケットでも、この時期には売り場に並ぶ。

 真菜は、これまで買ってみようと思ったことがなかった。そもそもスイスで春を迎えるのはまだ4回目だ。最初の春は、そんな野菜があることにすら氣がつかなかった。

 マルクスとの結婚生活に終止符を打ち、真菜は生まれて初めての1人暮らしをスイスの小さな村ですることになった。カンポ・ルドゥンツ村は便利とはいえないけれど、職場に近くて家賃が安い。

 3年間の結婚生活のうち、2年は週に4日しか同居していなかった。スイス連邦工科大学に通いキャリアアップをはかる彼を応援し、残りの3日間は1人で過ごすことに慣れていたので、離婚後に1人になっても寂しくてたまらないと感じることはなかった。

 家計を助けるために、仕事もしていたしドイツ語もそこそこ話せるようになっていた。だから、離婚後にまっすぐ日本に帰るのではなくて、そのままスイスに残るという選択ができた。

 1人になって、食事は自分のために作るようになった。マルクスの好みに合わせて考える必要はなくなり、彼がチューリヒいく3日間の大半を残り物を片付けることに割くルーティンも消えた。自分の健康と、財布と、興味だけを基準に献立をたてることができるようになった。

 和食を作る頻度は、むしろ減った。マルクスが和食を食べたがるときは、日本人としての見栄も会ったのか一汁三菜に近いものを作っていた。もちろん、今と違って週に3日しか働いていなかったので余裕もあったのだが、それでも便利な和食用の食材がほとんどない海外できちんとした和食を作るのは思いのほか大変だった。

 週5日勤めるようになって料理に割く時間が減っただけでなく、1人の収入だけで衣食住のすべてを賄うことになり経済的にも厳しくなったので、もっと安価で簡単にできる調理をするようになった。それと同時に、これまで素通りしていた食材にも目が留まるようになった。

「これって、どうやって食べるものなんだろう」
真菜は、ベアラウフの前でつぶやいた。そして、その時は買わずに帰ってフラットで食べ方を検索した。

 調べてみたら、あまり難しそうではなかった。例えば、ベアラウフ・ペストロは、バジルで作るペストロ・ジェノベーゼのバジルをベアラウフに変えただけのようだったし、スープなどもピューレ状にして混ぜるだけのようだ。

 ニョッキやクヌーデルの生地に練り込む使い方もあるようだったが、そこまでするのは大変そうだったので、一番簡単そうなベアラウフ・ペストロを作ってみることにして、ひと束買ってきた。

 真菜は、毎年夏の終わりにバジルでペストロ・ジェノベーゼを作る。それを薄く伸ばして冷凍しておくと香りも飛ばず、1人分でも割って簡単にスパゲッティソースにできる。ベアラウフ・ペストロも、手順はほとんど同じだった。

 まず松の実を煎る。ある程度刻んだベアラウフ、松の実、オリーブオイル、パルメザンチーズ、塩胡椒をブレンダーに入れてペースト状にする。それだけだ。

 氣をつけなくてはいけないのは、ベアラウフは、長く加熱するとせっかくの香りが消えてしまうことだ。

 だからパスタとして食べるときも、さきにパスタとパルメザンチーズを用意しておき最後にペストロを絡めるようにして食べるらしい。

 パスタはごく普通のスパゲティーにしてみた。アルデンテに茹でる。パルミジアーノ・レッジャーノは高すぎて手が出ないので、もう少し廉価なグラーナ・パダーノをたっぷりめに使う。そしてペストロをからめて急いでテーブルに座る。

 真菜は、はじめてのベアラウフをそっと噛みしめた。

 美味しい……。とはいえ、いままで食べなかったことを後悔するような味ではない。というか、馴染みのある味だ。つまり、ニンニクほど匂いの主張がなく、ネギほど味の主張がない。その両方を上品にしたような味。なるほど。ニンニクペーストやネギペーストだと強烈だけれど、これなら春の味として楽しむという意味がわかる。

 これ、なんで「熊のネギ」って呼ばれるんだろう? 真菜は不思議に思った。熊といえば鮭を捕獲したり蜂蜜をなめているイメージが強い。スイスには基本的に熊が生息していないので、東京で育ったときについたイメージを上書きする要素がない。

 少なくともかつてはスイスにも熊が生息していたことは知っている。

 ローマ帝国の初期にスイスにはケルト系の民族が住んでいたが、彼らが崇めていた豊穣の女神アルティオは熊の化身だった。スイスがローマ帝国に組み込まれてから、男性神アルタイオスに変化したが、これがアーサーという名前の語源になった主張する学者もいるらしい。真偽のほどはともかく、昔のスイス人たちにとって熊が身近で畏敬の対象だったことは間違いないだろう。

 スイス連邦の首都であるベルンは、名前も州旗も熊由来だ。街の開拓者が「ここではじめて狩った動物の名前をつけよう」と決めたと伝わっているというから、当然その頃にはいまのベルン州にも当たり前に熊がいたのだろう。

 調べてみたら、スイスで最後の熊が撃ち殺されてしまったのは1904年のことだそうだ。といっても、それ以後スイスで野生の熊が出没していないわけではない。

 周りを海に囲まれている日本とは違い、隣国の野生動物が移動してくることは普通にある。イタリアのトレント州には現在100頭以上の熊が生息している。そのうちの何頭かは、国境を越えて真菜の住むグラウビュンデン州にも足を伸ばすことがある。

 そうするとしばらくは大騒ぎになり、場合によっては射殺されてしまう。

「熊を撃つ機会なんてめったにないからね。そのお役目を申しつかった狩人は大喜びだろうね」
かつてマルクスがそう言っていたことを思いだした。

 前夫もまた狩猟免許を持ち、秋になると何日も泊まりがけで狩りに行っていた。真菜は動物を殺したいという趣味がまったく理解できなかったが、強硬に反対しようとは思わなかった。それでも、イタリアにいれば死なずに済むのに、スイスに来てしまったがために撃たれてしまった熊には同情したものだ。

 そんな熊にはあまり優しくないスイスだが、ベアラウフは非常に好まれている。調べてみたところ、由来そのものははっきりしていないらしい。通説の1つに「熊が冬眠から目覚めて最初に食べるのがこの球根だから」というものがある。熊が冬眠から目覚めるのも、ベアラウフが森の中で生えてきて人びとが採集するのも春なので、この2つが結びつけられたのかもしれない。

 真菜は、綺麗な緑のベアラウフ・ペストロの残りも、ペストロ・ジェノベーゼ同様に冷凍することにした。すぐに食べないと香りが飛んでしまうし、冷蔵庫でどのくらい持つものなのかもわからなかったからだ。

 この味と香りは、癖がなくていろいろな料理とも合いそうだ。春の旬の野菜として、これからはときどき買おう。

 そう思ってから、「これからって……」と笑った。いつまでスイスにいるつもりか、決めていなかった。マルクスと別れたので、スイスに住む必要性はなくなったのだ。

 日本に帰る決心がついていなかったし、仕事もあって1人で暮らしていけるので、今のところはまだスイスに住んでいる。いま日本に帰ったら住むところも仕事もないから。

 これからのすべての春をスイスで迎えるかどうかの覚悟はまだできていなかった。何回迎えるかどうかはわからない。でも、この春はこうして1人で無事に迎えられた。

 熊が狩人たちの猟銃から逃れてなんとかスイス・アルプスを歩いていくように、厳しい冬を眠って過ごした後にふたたび目覚めるように、真菜もまたその日々をなんとか生きていくしかないのだ。

 真菜は、改めて思った。

 未来のことは、わからない。でも、来年の春もここにいたら、またベオラウフを買ってみよう。

(初出:2024年4月 書き下ろし)
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Posted by 八少女 夕

片付けたい

お片付けの話。

不要品イメージ

当ブログの企画「scriviamo!」も終わり、遅れていた「12か月の植物」もなんとか今月分まで公開して、やっとひと息つきました。ここしばらくずっと執筆に追われていたので、皆さんのブログもひたすら読み逃げになってしまっていましたが、こんな事情でございました。

そんな状態でも、仕事や生活は待ったなしなので、なんとかルーティンは続けてきましたが、ひと息ついて見回したら「うーん」と考え込んでしまいました。

モノが多すぎる。

いわゆる「シンプルライフ」や「ミニマリスト」のさっぱりした生活は、わたしには無理だとはわかっているんですが、それにしてもゴチャゴチャしすぎているなあと、反省しました。

わたしの生活は、基本的に仕事して、ご飯作って食べて、小説書いて、寝るだけなので、多すぎるモノの大半は調理関係です。(あとは、とってあるけれど読まない本や、謎の衣類、それと家庭菜園関係も……)

食品ストックもちょっと多すぎ。最近はセールでも必要の無い食品の買いだめはしないようにしています。だから、少しずつは減っているけれど、まだまだ多すぎ。

2年くらい前に、「食糧危機が来る!」と心配してため込んだ食糧を「消費しなくちゃダメだわ」とせっせと消費しているのはいいんですけれど、それで「この食材は実はあまり使わなかったな」と氣づいたりもしています。それに、大事にしすぎて消費期限がとっくに切れあまり美味しくなくなってしまった日本のお菓子や食材も、断腸の思いで処分する時期に来たみたいです。

それに、一時よく使っていたけれど今は飽きてしまった調理器具など、「あってもタンスの肥やし」というモノもけっこうあるのです。

日本人であるわたしは、モノが増えてきたら収納を増やすということをやってしまいがちなのですが、本当は今ある収納に収まらないのはなにかを捨てなくちゃいけないんですよね。そうしないといまなにを持っているのかすらも忘れてしまう。

そんなわけで、この金曜日から少しずつ、モノ減らしに取り組んでいます。

最初に取り組んだのが、コンロ周り。お茶用の棚を整理して、大量に出ていたスパイス類を目に触れないようにしました。それだけでかなりスッキリ。この調子で少しずつ断捨離していこうと思います。
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Posted by 八少女 夕

【小説】森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠(27)特訓の始まり -1-

今日は『森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠』、第27回『特訓の始まり』をお届けします。

えーと、この小説、憶えていらっしゃるでしょうか。年末で中断してから4か月以上経っているので、自分でもどこまで公開していたか確認しなくてはいけませんでした。

トリネア候国の残念なお世継ぎ姫エレオノーラは、縁談でやって来るグランドロン国王の前に出るために行儀作法を取り繕おうとラウラに特訓を依頼しました。残念ながら、その一行こそが縁談相手レオポルドとフルーヴルーウー辺境伯夫妻なのですが、それも知らずに。

さて、というわけで、今回からはその特訓が始まったという話です。少し長いので4回に切ってお送りします。


トリネアの真珠このブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物


【参考】
「森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架」を読むこのブログではじめからまとめて読む
あらすじと登場人物




森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠
(27)特訓の始まり -1-


「そうではありません。念入りには洗いますが、そのように水をあちこちにはまき散らしません」
ラウラからの指摘が入ると、エレオノーラは動きを止めて、うんざりした顔をした。

 貴婦人教育は、まず立ち方、座り方、お辞儀などの訓練から始まった。ラウラの物腰は柔らかく指摘する言葉は丁寧だったが、一切の妥協を許さぬ正確さを求めたので、2刻ほどの訓練でエレオノーラはすでに疲労困憊していた。

 夕食時間となり、授業は終わったと思っていたのに、今度は食事前の手洗いのやり直しを命じられた。
「エレオノーラ様。私がいたしますので、よくご覧くださいませ」

 ラウラは召使いの捧げ持つ小皿から石鹸を手に取り、優美に泡立ててから指を1本ずつきれいに洗った。決して急がず、よけいなところに泡やたらいの水を飛ばすこともない。組み合わされた手を水面の上でそっと振って水を落とすと、召使いからリネンを受け取りまた優雅に手を拭いた。

 トリネアの名産の1つに石鹸がある。《中海》沿岸で育つオリーブの油に海藻灰を火にかけ幾日も混ぜながら煮込んでから冷やしてつくるこの石鹸は、樫灰と獣脂を原料とする北方産の製品と較べて硬く扱いやすい上に不快な臭いもないことからルーヴの王宮でも愛用されていた。

 グランドロン王国の宮廷でも、貴婦人方は《中海》の石鹸を好んだが、あまりにも高価なので使用人はもちろん、ヘルマン大尉のような階級であっても手の届かない贅沢品だとされていた。

 この離宮に遷ってから驚いたことに、一介の商人『デュラン』とその使用人に過ぎない一行にも《中海》の石鹸をはじめとする高価な品の使用が当たり前のように許された。離宮の多くの使用人たちは、姫の滞在する理由や『デュラン』一行がどのような素性のものなのか詳しく知らされておらず、『姫様と同じ階級の客人』のように扱った。

 ラウラは、手洗いを3度やり直させてようやく、エレオノーラが夕食の席に着くことを許可した。椅子を引く召使いは、ラウラが着席の作法を4度やり直させる度に、椅子を引いたり押したりを繰り返させられ、初めてのことに目を白黒させていた。

 もっとも、召使いたちはこの謎めいた客人たちの登場をむしろ歓迎しているフシがあった。姫君エレオノーラの粗暴さは召使いたちを戸惑わせたが、それを諫める存在は侯爵夫妻しかなく、その肝心な主たちは聞いた話によると10年近く前にさじを投げ出してしまっていたからだ。

 どこからやって来た客人かは知らぬが、あえて畏まっているようには見えないのに、作法は見事だったし、とくに姫君に厳しい指摘をしているラウラと呼ばれる貴婦人の作法は、召使いたちがかつて見たことがないほどに優美で完璧だった。

「もう1度、杯をテーブルに置いてくださいませ」
ラウラに叱られて、エレオノーラはため息をつき、従った。

「よくご覧ください。この指先を。杯の足を掴もうと伸ばしてはなりません。まずこの人差し指と中指をきれいに並べ、指先で上の部分に触れてから、こうして下に滑らせます。それから初めて親指で脚をはさみます」
ラウラがしたとおりに、エレオノーラが杯に触れる。

「そうです。いいえ、直接斜めに口元に運ぶのではなく、1度胸の高さの半分ぐらいまで持ち上げてから……ええ。ずっと優美に見えます」

 言われたとおりに飲んでから、エレオノーラはタンッと杯をテーブルに置いて、口を尖らせた。
「いちいちこんなことをしながら口元に運んでいたら、全然飲めないじゃないか」

 ラウラはにっこりと微笑みつつ言った。
「『まったく杯が重ねられなくて、困りますわ』……そう言い直してくださいませ。それに、おろし方は、口までに運ぶのと全く逆の動作をします。さあ、どうぞ」

 奇妙な咳がしたので、一同がその方向を見ると、レオポルドが顔を背けて肩をふるわせていた。食卓で貴婦人たちに失礼がないように笑いを必死に堪えているらしい。横にいるマックスは、ラウラそっくりの妙に親切な笑顔でその場をやり過ごしている。無表情で食べ続けるフリッツと、それぞれ反応は違うがみな同じことを感じているようだった。

 エレオノーラは、少し赤くなりながら再び杯を持ち直し、教えられたことを繰り返した。
「困りますわ……なんてはじめて言った」
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Posted by 八少女 夕

どの協奏曲が好き?

今日はふたたびクラシック音楽の話題です。

オーケストラ イメージ

つい先日「好きな交響曲」の話題を書いたので、今日は「好きな協奏曲」の話をしてみようかと思います。好きなのはいっぱいあるんですけれど、今回は悩むこともなくベスト3が決まりました。

第3位 ホアキン・ロドリーゴ アランフェス協奏曲
第2位 フェリックス・メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
第1位 セルゲイ・ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番

1位のラフマニノフの第2番は、偏愛が過ぎて長編小説書いてしまったくらいです。とはいえ、この曲についてはこのブログではけっこう語っているのでこれでおしまいにして、今回はむしろ残りの2つについて書きます。

第2位にしたメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」通称「メンコン」は、ヴァイオリンの協奏曲としては世界一有名といってもいいくらいなので、とくに不思議でもありませんよね。交響曲や協奏曲、その他の「第○楽章」まであるクラシック音楽は、じつは「この楽章は死ぬほど好きだけど、他はちょっとダルい」というものもけっこうあるのですが、この作品に関してはどれもものすごく好きで最後まで飽きることがありません。とくに最終楽章の心躍ることといったら……。

第3位の「アランフェス協奏曲」はむしろちょっと意外に思われるかもしれませんね。実はベートーヴェンの「皇帝」にもできたのですがあえてこれを選びました。「アランフェス協奏曲」はギターの協奏曲です。おそらく第2楽章は誰でも知っていると思いますが、それ以外はさほど知られていないかも。

高校生から大学生のはじめのころ、わたしが憧れていたスペインはおそらくこの音楽にものすごく影響されたものだと思うんですよね。いま発表している『森の詩 Cantum Silvae - トリネアの真珠』や『大道芸人たち Artistas callejeros』でもスペイン(Cantum Silvaeではカンタリアという名前)が登場しますが、同じヨーロッパでもスペインには他の国とはちょっと違った雰囲氣があると感じているわたしの印象を反映したものとなっています。で、音楽って、それを表す一番簡単な方法だと思うのです。太陽の光が強いから影も濃いのか……。でも、それをいったらイタリアでもギリシアでもそうなのに、それとはかなり違うのです。

最近はヨーロッパ連合だの、規格の標準化だので、国の独自性というものが否定されがちな世界になりつつありますが、個人的にはそういう平坦化はしないでほしい。世界遺産とやらに任命することで単なる土産物屋の揃うつまらない観光地に変えるのもやめてほしい。ロドリーゴが、この作品を作り出す原動力になった世界も含めて、わたしはこの曲を聴いていると思うからです。

で、ここにあげた3協奏曲を含めた素晴らしい曲を聴いたときにこみ上げてくる特別な感情、これをどうにかして捕まえたいというのが、わたしの人生の主要なテーマの1つになっているんですけれど、わたしが文章でやろうとしているのが(スケールが違いすぎて笑っちゃいますが)そういうことなんですよね。

この記事には追記があります。下のRead moreボタンで開閉します。

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ホアキン・ロドリーゴ アランフェス協奏曲

Narciso Yepes - Concierto de Aranjuez (full)

フェリックス・メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調

Itzhak Perlman - Mendelssohn: Violin Concerto in E - Various Conductors & Orchestras/Fan Compilation

セルゲイ・ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番

Rachmaninoff plays Piano Concerto 2
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