皆さん、ケヴィン・マクロード(Kevin MacLeod)という音楽家をご存知だろうか?
恥ずかしながらワタシは知らなかった。そのケヴィン・マクロードのドキュメンタリー映画 Royalty Free: The Music of Kevin MacLeod が作られている。
このトレーラーの冒頭、ケヴィン・マクロードは「インターネットの聖マーティン」と称えられている。彼は何者なのか?
このドキュメンタリー映画の宣伝文句は、「一人の音楽家、何千もの曲、何百万もの動画、そして何十億もの閲覧数についてのドキュメンタリー」である。それだけケヴィン・マクロードは多産な音楽家であり、その音楽は広く利用されている。
しかし、彼の名前を知る人は少ない。なぜか? 映画のタイトルの通り、彼の音楽は「著作権使用料無料」であり、彼は自分が作った音楽から巨万の富を得たわけではないからだ。
ウェブ黎明期の1996年、作曲に興味があったソフトウェアプログラマのケヴィン・マクロードは、incompetech というウェブサイトを立ち上げた。仕事で作った音楽がボツをくらったため、誰かに聞いて使ってもらいたいと無料で利用できるよう音楽をウェブサイトに公開するようになった。そうか、彼はワタシと一歳違いで同年代なんだな。
それから20年の時が経ち、彼が作り、クリエイティブ・コモンズの(もっとも利用に関する条件が緩く、きちんとクレジットすれば商業利用も改変も可能な)表示ライセンスの元で無料で公開される楽曲は何千にもなり、そしてそれは数多くの動画で使用されるまでになった。
彼の作品は人気ゲームやハリウッド映画やテレビ番組などいろんなもので使われており、実はバッハやモーツァルトやベートーヴェンと並んでもっとも音楽がかかる場所で聞かれているらしい。
また彼は FreePD.com というパブリックドメイン(CC0)の音楽を集積するサイトも作っている。筋金入りですな。
いやはや、このブログの読者ならご存知のように、ワタシはこれまで Creative Commons 関係のニュースを好んで紹介しており、その過程でケヴィン・マクロードの名前にも音楽にも触れているはずだが、恥ずかしながらいずれも認識してなかった。
ただ「マクロード」という苗字には何か覚えがあり、ブログを検索してみたら、『表現の自由vs知的財産権―著作権が自由を殺す?』(asin:4791762045)の著者がケンブリュー・マクロード(Kembrew McLeod)だった(参考:『表現の自由vs知的財産権』の著者がデジタルサンプリングの困難をテーマにした『Creative License』)。問題意識も近そうだが、親類というわけではないんだろうな。
手っ取り早く彼の音楽を聴きたい人は、彼の YouTube チャンネルからどうぞ。
ネタ元は Boing Boing。