ブリッジ・オブ・スパイ - YAMDAS現更新履歴

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ブリッジ・オブ・スパイ

ストーリーに触れているので、未見の方はご注意ください。

予告編を見ても全然面白くなさそうだったのだが、題材的にこれはスティーヴン・スピルバーグが使命感をもって作った映画だろうからと観に行った(彼の映画だってあと何本観れるか分からんのだよ)。

そういう作品だから、『リンカーン』みたいな面白みに欠ける映画なのかなと予測していた。そうした側面は残念ながら少しあるが、やはり脚本にコーエン兄弟が参加してるのもあってか面白かったな。

物語はアメリカで捕まったソ連のスパイであるルドルフ・アベルを弁護することになったジェームズ・ドノバンが、結果的にアベルソ連に拘束された米軍パイロットと、ベルリンの壁によって東側に取り残されてしまった米国人の大学生の交換に、国から交渉をなかば丸投げ(!)されて奮闘する話である。

主人公の弁護士を演じるのがトム・ハンクスで、やはりこういう役は適役だが、個人的にはアベルを演じるマーク・ライランスという人が、多分映画で初めて観たと思うが、なんともとぼけた感じが良かった。

彼の「それが助けになるか?」という台詞の反復もそうだが、主人公の "One, one, one." という口癖が変わる瞬間など、ちょっとした台詞の使い方にうまさがあった。ワタシの一つ後ろの席に座っていた女性が、劇中何度も笑い出していて少し気に障ったが、深刻一辺倒の映画に思わせて、実はそうじゃないんだよね。

しかし、東側に引き渡されるアベルの運命を悟った主人公のなんともいえない表情、戻ってこれたのに CIA の連中に冷淡にシカトされる米軍パイロットなどそうしたところもちゃんと描いている。

スピルバーグアメリカをアメリカ足らしめる理念(そしてその中心にある憲法)を、ソ連スパイを弁護して最高裁まで行き、家族を殺されかけたのにやってきた警官に食ってかかられるような理不尽な目にあいながらも、粘り強く信念を貫く主人公を通して描いている。あんまりこういうことは書きたくないのだが、これは昨今の日本の状況を見ても、我々が学ぶところも多い映画である。

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