![ゴーストライター [DVD] ゴーストライター [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51POp0NYENL._SL160_.jpg)
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2012/02/02
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映画館で観ようと思いながら微妙に予定が合わず観そびれていた映画。思えばワタシはポランスキーの映画って『チャイナタウン』と『赤い航路』ぐらいしか観てないのよね。
本作は彼がスイスにて身柄を拘束されるトラブルの前後に製作されたはずで、ベルリン国際映画祭の銀熊賞などいくつも賞を取ったのは、ヨーロッパの映画人によるポランスキーに対する支援の気持ちの現れでもあったのだろう。
映画としては意外にもシャープにかっちりまとまった政治スリラーの佳作で、謎が解かれ、さらにその後に続くエンディングまで楽しんで観れた。孤島という舞台設定もサスペンスの盛り上げ方も巧くて、題材から想像した重々しさよりもむしろポランスキーの手腕に軽やかさを感じた。
「テロとの戦争」において命令した過去で戦争犯罪人として告発されるイギリス前首相アダム・ラングがあからさまにトニー・ブレアを模しており、その彼ならびに彼が支持したアメリカのブッシュ政権への批判が意図されているのは明らか。告発されたラングは本国イギリスには帰れないが、(中国や北朝鮮といった国と同じく)アメリカにいる限り、国際司法裁判所の手が及ばず逮捕されないという話は皮肉で面白い。が、それって収監されてしまうのでアメリカに入国できないポランスキーの境遇の裏返しとも言えるわけで、本人はその皮肉をどこまで意識してたのか。
主人公のゴーストライターを演じるユアン・マクレガーが映画の所々で「お前、イギリス人だろ?」と言われるのだが、そんなに分かるものなのか。吹替でなく字幕で観るべきだったか。