この文章自体は2005年に書かれたもののようだが、なぜか今頃になって Hacker News にランク入りしていて知った。
技術系出版社の雄であるオライリーを作り上げた、インターネット時代のヴィジョナリーたるティム・オライリーが、自分のものの考え方を形作った書籍を紹介する文章だが、折角なので紹介されている書籍を一覧にしておく。邦訳抜けがあったら教えてくだされ。
- John Cowper Powys, The Meaning of Culture (asin:1443734810)
- Hope Muntz, The Golden Warrior (asin:0701109742)
- 老子 『老子道徳経』 (asin:4003320514)
- Wallace Stevens, The Palm at the End of the Mind (asin:0679724451)
- サミュエル・ジョンソン, Rasselas (asin:1933633441)
- ライナー・マリア・リルケ, The Man Watching
- コリン・ウィルソン『アウトサイダー』 (asin:4087601404)
- John Daniel Wild, Introduction to Realistic Philosophy (asin:0819138908)
- アルフレッド・コージブスキー, Science and Sanity (asin:0937298018)
- A・E・ヴァン・ヴォークト『非Aの世界』 (asin:448860904X)
- F. M. Busby, Rissa Kerguelen (asin:0425085058)
- Austin Tappan Wright, Islandia (asin:0715636294)
- Dorothy Dunnett, Lymond Chronicles
- フランク・ハーバート『砂の惑星』 (asin:4150100764, asin:4150100837, asin:4150100888, asin:4150100942)
- トーマス・クーン『科学革命の構造』 (asin:4622016672)
- ローレンス・レッシグ『CODE』 (asin:4881359932, asin:4798115002)
- ブライアン・カーニハン、ロブ・パイク『UNIXプログラミング環境』 (asin:4871483517)
- William Zinsser, On Writing Well (asin:0060006641)
- クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』(asin:4798100234)
- ジェームズ・C. コリンズ、ジェリー・I. ポラス『ビジョナリー・カンパニー』 (asin:4822740315)
- アル・ライズ、ジャック・トラウト『ポジショニング戦略』 (asin:4903212076)、『売れるもマーケ 当たるもマーケ』 (asin:4884970233)
以上の本が具体的にどのような影響をオライリーに与えたかについては原文をあたっていただきたい。SF が多いところにギークらしさを感じるが、それにしても多彩である。何よりオライリーがこれらの書籍を何度も再読しているのが分かる書き方に書籍への真摯な愛を感じる。
たまたまこの真摯な愛の対極にある文章を見かけたので取り上げておく。株式会社はてなの20代の社員などに聞いた買い物観についての文章である。
本はなるべく立ち読みで済ませる。買う場合にはamazonのマーケットプレイスか、ブックオフで中古の本を買う。そして読み終わったらすぐに売ってしまう。
買い物について - どうもyukawasaです
上記引用部より前の部分の記述には特に異論はないが、この引用部について率直に感想を申し上げるなら、一度読んだら用済みな本しか読んだことがないのか、あるいはそもそも本を再読することで発見があることすら知らないのか、いずれにしても心底憐れな人たちに思える。
何より本はなるべく立ち読みで済ませるという姿勢がすごい。これを読んで、はてなダイアリーの有料オプションを外そうかと真剣に考えたりした。はてなブックマークにも同様の反応が見られるが、コンテンツというものにこの程度の意識しかない人たちが作るサービスにお金を出す気にはなれないね。
本はなるべく立ち読みで済ませ(本って「済ませる」ものなんだ!)、読み終わったらすぐに売っぱらう……そりゃあ日本語も滅びるわけですね!!(おおわらい)
[3月27日追記]:本エントリについてははてなブックマークで賛否両論いただいている。一点付け加えておくと、当方は本を買えと言っているのではない。それは個人の勝手だし、本にお金を使わないのでも、例えば元エントリが「できるだけ図書館を使い、友達とお勧め本を貸し借りし合う」だったら川崎裕一さんのエントリを批判的に言及することはなかっただろう。