Q177 薬剤師が「給料を上げてほしい」と交渉するときのポイントは?
Q177 薬剤師が「給料を上げてほしい」と交渉するときのポイントは?
事前準備を万全にすること、タイミングを間違えないことが大切です
「給料を上げたい」と思うのは決して悪いことではなく、市場価値の高い薬剤師を目指して働く姿勢は、知識とスキルを身に付けて周囲から信頼される薬剤師になるためにも重要です。とはいえ、思いつきで「給料を上げてほしい」と伝えるだけでは、会社側が対応してくれないかもしれません。
相談を見ると、給与以外では職場や仕事に対して大きな不満はないことが伺えますので、しっかり準備して給与交渉をスムーズに進めてほしいと思います。
準備の一つ目として、相談者さんの職場で給与交渉をするべき相手は誰なのかを確認しましょう。基本的には直属の上司に相談するのが一番ですが、上司に人事権がなければ人事部や本部に相談した方がいいケースもあります。周囲に給与交渉に関する話が漏れないように気を付けて、交渉先が誰かを間違えないよう、情報収集に努めることが肝心です。
次に、給与をどれくらい上げてほしいのか、なるべく具体的にしておきましょう。ただ漠然と「昇給してほしい」と言っても、給与アップを実現するのは難しいかもしれません。給与相場をチェックして、自分の市場価値をある程度知ったうえで、交渉の余地があるか検討します。
また、会社の人事制度についても調べてみましょう。会社が昇給を判断する基準があれば、その基準をクリアしておく必要があります。
業界の平均や会社の水準から大きくかけ離れた給料を要求しても、昇給にはつながらない可能性が高いでしょう。給与相場を調べてみて、自分の給与が相場より低いとわかれば、積極的に給与交渉に臨むことができると思います。
相談者さんが書いているように、角を立てずに交渉するという点で重要なのが、交渉のタイミングです。タイミングを誤ると、上司からの印象が悪くなるなど、かえって不利な状況になりかねません。経験年数や会社への貢献度を踏まえて、次のようなタイミングを見計らうといいでしょう。
①部下を持った時
管理職になったり部下を持つことになったりしたら、会社や上司から信頼を得られている証拠。部下の育成や教育は職場の将来を担う大切な業務です。このタイミングであれば、スムーズに給与交渉をおこなうことができるでしょう。
②専門資格を取得した時
業務遂行に必要な資格を取った時も給与交渉に適したタイミングです。特に、会社側から求められて資格を取った場合、会社への貢献が見込めることから、資格手当に相当する給与交渉をおこないやすいと思います。
③担当する業務が増えた時
職場での経験やスキルが上がり、担当業務が増えた時や重要な仕事を任された時も給与交渉に適しています。また、仕事で大きな成果を上げた後なども会社の印象が良くなっているため、給与交渉しやすいタイミングと言えるでしょう。
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給与交渉には堂々と自信を持って臨みましょう
自信がないのにお金のことばかり考えている、などと思われてしまったら、説得力に欠ける印象になり、交渉する内容自体が妥当でも、要望が通りにくくなってしまいます。
また、感情的になってしまうと、言いたいことを言えずに終わってしまうかもしれませんから、冷静に話を進める自信がない場合、あらかじめ予行演習することをおすすめします。
給与交渉が受け入れられなかった場合についても考えておきましょう。能力向上のための休暇取得や部署移動などの代替案を提示すれば、状況次第で通る可能性もあります。
交渉が不調に終わった結果、職場にいづらくなって転職を検討…などという事態を避けるためにも、事前準備を万全にして、自信を持って臨んでほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。