大成建設は自律走行ロボット向けに開発したワイヤレス給電床「T-iPower Floor」の実証に取り組んでいる。屋内外を走行するロボットのルート上に設置して、常にワイヤレスで給電できるようにする。蓄電池の充電や交換に要する時間をなくし、ロボットの24時間フル稼働を実現するのが狙いだ。同社が施工を手掛ける生産・物流施設などに向け、26年度の実用化を目指す。
生産・物流施設などで導入が進むロボットは、蓄電池で駆動する方式が多く、充電時の稼働率低下などが課題だった。そこで大成建設と豊橋技術科学大学、大日本印刷が21年に共同開発したのがT-iPower Floorだ。厚さ4mmの樹脂パネル上にテープ状の送電電極を配置したもの。電力の送受信には「電界結合方式」を採用した。1台の電源回路で長い区間に電力を供給できる利点があるという。
T-iPower Floorは、大成建設と豊橋技術科学大学が13年から開発していた電気自動車向けのワイヤレス給電技術が基になっている。17年には屋内外で駆動するロボット向けに、床材を塗布する「塗床工法」で設置する方式のワイヤレス給電床を開発。その後、既存の建物などにも設置しやすいように、樹脂パネルを用いて薄型化した「薄型パネル工法」のワイヤレス給電床を開発するに至った。