見るだけでもスリリングだわ(その3)
瑞牆山の頂上でどっぷり解放感に浸り大満足。
だがしかし、下り道で待ち受けていたのは想定外の悪路でした。
・ジャングルを下る
色々な頂点があるとは思いますが、これはこれで自分史トップ・オブ・ザワールドの一つにランクイン。
頂上で素敵な感動を味わい、問題の後半戦に突入です。
前半戦は瑞牆山の南側を富士見平小屋から登攀、後半戦は北側の不動滝コースを下る。
分かり易く言えば、南側は陽、北側は陰といってよい程に明確に分けられるほど。
山影で陽当たりの良くない北側コースはジメジメした樹林帯で、ジャングルといってもいいほどに荒れている。
*朽ちた案内板、ピンクリボン、GPSに生存がかかっているのかも… (PM0:35 標高2,190m)
下り出してすぐにこんな感じ。
南側同様に斜度が半端ないのに、これでは先が思いやられる。
ちなみに、この下り区間ですれ違ったのは確か5人。
南側の皆さんの概ね明るい表情とは違い、北側の方達は何かと戦っている感じで、曰く異口同音に「まだまだ大変なところが続きますヨ~」と…
えぇ~。
*コレは…間違えたか?
普通、山道を歩いていれば何となく踏み跡があって、それに従えば滅多に大間違いにはならないんだけど、この北側は少し違っていて踏み跡が判らなくなる箇所が多々あった。
肝心の標識はほとんど無く、あるのは何故か岩峰を示す青いトタン板のみ。
実際、道迷いに陥る場面が数回あり、GPS(ヤマップ)で何度か復帰できましたが、焦る焦る。
そもそもピンクリボンもハイカー用とは限らないので完全に当てにしてはイケないのですが、こうなるとGPSは有難い。
そのGPSも電池が無いとヤバい状況になるので、機内モードにして節電対策としていました。(そもそも圏外だけど)
君は生き残ることが出来るか…(永井一郎風)
冗談抜きにそんな状況に思えて、不安MAX。
かといって、今更引き返すにも登り返しを考えると…
*うぉーい、道が小川に化けたよ… (PM0:57 標高2,080m)
道、これだよなぁ…
雨天でもないのに道が川に?
仕方なく暫く小川を歩きます。
*開けていれば、まだマシなんですが…
小川沿いの踏み跡っぽい土手、僅かにピンクリボンが手掛かり、時折GPSでチェック。
*振り返り、斜度感はこんな感じ
単に山の斜面、道に見えません。
ただ、なんとなく人の歩いた雰囲気みたいなものが極僅かに残っている感じ。
そこを感じながらルートを探して歩くみたいな、もうアスレチックを通り越してアドベンチャーワールド。
他の方のブログを拝見すると、北側の登りは面白かったと記載されている方が多い。
あー山歩き好きな人ってそうなんだ、と感心するばかり。
足弱の自分は心折れそう…
*突然に岩峰の紹介 (>_<) (PM1:23 標高1,990m)
案内板は各セクションの岩を明示しているようで、この先次々と現れる。
かつてはロッククライミングで賑わっていたんでしょう。
そして、ようやくたどり着いたのが北東向きが北西向きに90度道が方向転換するポイント。
*90度方向が変わる地点、右奥から降りてきて後ろ正面に向かう (PM1:31 標高1,940m)
かつて分岐点だったんでしょうか…
小川山の表示がありますが、どの地図にもルートは表示されていません。
方向的には確かに小川山の方面ですが、この先に入っていけるのは探検家か野人でしょう。
名前が平凡な小川山ですが、その向こう側にある廻り目平とともに、今でもロッククライマーの聖地とのこと。
車で大弛峠に北から入る際、途中にあるのが廻り目平でキャンプ場でも割と有名。
*瑞牆山から北側へ下り、90°方向転換し渓流沿いに不動滝に至る、小川山へのルートは地理院地図にも未記載
*一瞬丸太の上を渡るんかと思ったが安全な下を行く
ソロですからアクシデントが発生した瞬間に遭難、下手したら命の保証はありません。
だからドキドキ(少しワクワク)しながら慎重に進みます。
捻挫ならまだしも、骨折や出血は超危険だし、道迷いだって何日も彷徨い歩く事例があるようです。
しかもそんな事例は低山で多いとのことですが、事故ればどこでも同じかと。
それなのに、わざわざ俺何やってんだか的なところは、まぁいつも通り。
シャレにならん事態にならんように注意深く行くしかありません。
*振り返り、川沿いに出ました…左王冠?
*対岸に、王冠ってこれ?
*ここは岩の間がルート
*振り返り、右は矢立岩、左は摩天岩は×だそうです
*ホッとする表示
S59に地元増富中の生徒さんが掲げたものでしょうか…
青トタンで白文字が同じなので、他の岩峰の案内もそういう経緯なのかもしれません。
*おぉ、ししくい坂となっ
やや小さく「頑張って」と併記されているんだが…
いやここ怖かった~
岸壁(ししくい坂)に沿って降りるんですが、足場が狭いうえに傾斜が強く、ロープが添えてあるものの短くて足りない箇所もあって崖側に転落しそうな恐怖感。
ロープが無いところは「エィ」と坂なりにずり落ちるしかありませんでした。
*振り返り…ししくい岩、滑り台が上の方まで続く (PM2:00 標高1,910m)
まぁ、山歩きの常でこういう難所は突然に表れるもの。
ある程度の技術や経験があった方が良いのは言うまでもありませんが…
相当にヒヤッとし、下に付いた時は命拾いした様な感覚に。
ここでアクシデントとなれば、時間的に翌日まで人が通るのを待つしかない。
それも意識があればで、そう考えるとそれなりに怖い箇所でした。
この難所はYAMAPの情報でも、左程に注意喚起が報告されていなかったようです。
自分のように、なすすべもなくズリズリ滑るのは頂けませんが、とにかく無事でよかった (^^ゞ
*こういう岩峰があちこちに、チムニーっていうのかな
*振り返り…渡渉地点
川を渡れば北側コースの中間点である不動滝も近いか。
と思いきや、これがなかなか近づかない。
*やっと道らしい?
…と思ったが、一瞬の区間でお終い。
*かなりの規模の渓流…上流方向に階段状に続く
渡渉地点からしばらく行くと、すぐ横の河原に出られる地点があり、そこはダイナミックな渓流。
*下流方向…渡っている木は橋ではありません
ここから直ぐの地点で不動滝に出ます。
*不動滝
やっとこさ中間地点に到着。
ふわぁ、とため息ともつかない声が出る。
くたびれたぁなぁもう~
・滝で一息
不動滝は階段状に落差のある滝で、周りの1枚岩も含めダイナミックな景観。
*不動滝 (PM2:45 標高1,780m)
ここで北側コース初の、それなりの標識とベンチに出会う。
みずがき山自然公園から北回りでここまで来る方もいるという事でしょう。
もっとも、この先の瑞牆山へのジャングルルートは積極的には案内していないようですが…
しばし休憩、補給の上再出発。
*普通のハイキングコースっぽくなった?
不動滝からしばらくは普通の山歩き的な穏やかな道でしたが…
*標識がある
何てことない標識ですが、人の手が入ったものを見ると凄くホッとします。
*手摺替わりのロープが有難い
*…段々と道が怪しくなってきた
この木橋は手摺もなく板も抜けそうだったので、下に降りて渡渉。
*橋が川の中へ (PM3:04 標高1,750m)
奇麗な川、水量が少なくて渡渉は問題なし。
先行者の背中が写っていますが、この方は少し前にすれ違った方。
道の状況を見て時間的に厳しいということで引き返してきて、あっという間に追い越していく。
*たまに標識アリ…道迷いしていないことを確認できる
*振り返り
この辺りではクマ出没注意。(YAMAP情報)
渓流の音でお互いに気が付けない場合ありという事らしい。
*振り返り、上の方に黄色の岩が…何かな?
道が川沿いになってからは強い勾配は無くなったが、その代わりに小刻みなアップダウンが多い。
中には倒木で道が塞がれているので迂回したら、その先は危険でどうにも進めなくなり困る場面など、整備されていないというよりも、むしろ自然に帰りつつある道のようにも見えます。
*練習しているクライマーたち (PM3:24 標高1,710m)
ここで始めてクライマーに遭遇、もう引き上げる様です。
ザイルなどを使わず下にマットを並べるフリークライム、ボルダリングというやつですね。
この先で、道が少し登ったと思ったらまたもや進めない状況となり、明らかな道間違いとなり焦る。
下の方を見れば道があり、止む無く斜面をズリズリ落ち復帰。
何故か踏み跡が多く、これが道迷いの原因みたい。
しかも周りの岩峰に影響を受ける様で精度的にはGPSでは追っつかず、流石に細かい道筋までを確認するには至らない。
最後は六感を発動するしかないようです。
*ここも道迷いポイントらしい (PM3:33 標高1,650m)
この標識はシンプル過ぎて、そのまま上に登ってしまう方がいるらしいんだが(YAMAP情報)、ここはほぼ180度ターン。
精度はともかくとしてGPSでちょくちょく確認していないと方向間違えそう…
*なんだか青空が懐かしく感じる
今まで岩峰に挟まれていた峡谷を歩いていたのが開けてきました。
あと少しで林道に出られます。
*不動滝からみずがき山自然公園へ
・やっと帰着
林道の終点と思しき広場には数台の車が。
車を見て救われた気分に陥る不思議感…
*振り返り、駐車場に出る (PM3:49 標高1,550m)
この林道に従い下って行けば出発地である、みずがき山自然公園に着くことが出来ますが、地図にはショートカットできそうな自然公園内の園路がある。
*振り返り、右は自然公園の園路入口 (PM3:57 標高1,530m)
それではと、園路に入ったものの後で少し後悔…
*不思議な道
公園内の近道は少し登りが続く道でした。
しかも、踏み跡もなく不思議な緑のジュータン道。
そして何故か…
人の気配というか、人の声のようなのが聞こえてくるんだけど…
近くでクライマーが活動しているんでしょうけど、見かけたのは先程の組ともう一組のみ。
妙に声が追いかけてくるようで少し怖かった。
もっとも、心折れそうな下りのジャングル道を一人で歩いたためか既に心身ともに相当に疲れ果てている状況。
山小屋があるなぁとよく見れば材木が積んであるだけ、あれ幻覚?
この幻覚、それも1回ではなく複数回…
幻覚、幻聴を白昼から体験するとは、驚くと共に軽い恐怖…
弱っているとはいえ、ここまでとは (T_T)
*瑞牆の森の歩道(園路)
朝は地図の中ほど右寄り、赤や緑の道を通り稜線に乗ったのがよくわかります。
これも実際歩いたからで、縦横無尽の地図を見ただけではよくわからんが正直なところ。
今は左寄りの赤い道を歩いているのかな、多分…
それにしても広大な領域なのに疎らな樹々、人けが無くて不思議なところです。
まだ…声も追いかけてくるし (^^ゞ
*行く手に電流柵、その先に舗装道
やっと園路の出口に到達、随分とホッとする。
電流柵は端っこにバイクのグリップみたいのが付いているので、それを外して通過すれば元に戻してヨシ。
*振り返り、歌碑のある広場に戻ってきました (PM4:27 標高1,480m)
この角度だと、どの岩峰が頂上か判りませんが、数時間前までは700m高いあの場所にいたんすね。
*ベースキャンプに帰着 (PM4:30 標高1,460m)
お疲れ様~
無事帰着できました。
もうへとへとで気力ゼロ。
着替え一式を忘れたので、元気ならこのまま引き上げても良かったんだけど、もう動くのは無理~
下着も履いているズボンもシャツも、全てそのまま3日目に突入。
割と近い増富温泉は日帰り入浴が休業中故に、勿論風呂も無し。(T_T)
それにしてもモンベルのアンダーウェアはたいしたもの。
秋だというのもあるけど汗の引きも早く、鼻が悪いのかとも思ったが殆ど匂わない。
山屋さん御用達の高機能で、その割には手ごろな価格で入手可能、CP高し。
今晩はサバカレー缶詰…
めちゃ辛くて旨かったなぁ~
夜空の星は望めず。
*ピークの岩だらけの上り、ジャングルでルートファインディングな下りなど人によって楽しめるかも
ヤマップ計測、行動時間9時間27分(休憩込み)、距離9.7km、標高差994m。
登りも下りもヘロヘロだったのでCTの70~90%の亀足でした。
*左から、ズンズン登って富士見平小屋で一息、その先はピークへの上昇勾配、降りも直滑降的
実際はこんなに尖っていませんが、まぁイメージ的には間違いありません。
そしてキャンプ2泊目の夜も更けて…
ブログにはマイナスな事を書きたくないんですが、流石にあれだったんで…
その夜は野生生物ならぬ、野生?シニアが騒がしい。
会話は素晴らしく盛り上がり、声も段々と大きくなり深夜12時まで続くという非常識な男女混成チーム。
迷惑は年齢層と関係ないというのを思い知りました。
せめて10時位には静かにしてほしかったなぁ。
疲れているのに一度目が覚めると寝れなくなって、仕方なくヤマップにUPする記事を纏め時間をつぶしができた…
まぁいいかぁ?
・おまけ(翌日)
2泊目の朝も清々しい良い天気。
コーヒー飲んでからユックリと後片付け。
*紅葉の季節ももうじき
*見慣れない鳥が松ぼっくりをしきりについばんでいる
*撤収完了、3日間お世話になりました
着替えは無けれども、辛抱堪らず温泉へGo!
昨日瑞牆山の頂上で見た県道610号線の交差点は眺めが宜しいので、車を止めて写真撮り。
*県道610号線の交差点手前にて
遠くに見えるは鳳凰三山の稜線、北岳も僅かに見えているようです。
*いつか登ってみたいが…
あそこは自分の能力では危険領域。
もっとタフになるべく日々鍛えなければ到底行ける場所ではありません。
*振り返ると瑞牆山
大ヤスリ岩が良く見える…
そのやや左の隠れ気味のが頂上で、昨日はあそこで昼飯頂いたんですねぇ、感慨深いよ~
右端をよく見ると金峰山、五丈岩まで見えてます。
そして、長坂を抜けR20道の駅白州の奥、尾白(おじら)の湯に到着。
*尾白の湯(HP)
この温泉は家族で数回来ていて、もうリピーターですね。
相当にあったまる温泉です。
*八ヶ岳が正面に見える露天は開放的
やっと汗を流せて人心地~
着替えないけど…(T_T)
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