コロナ禍で、医療機関は感染リスクを下げるため、人と人が接する機会を極力減らした。製薬会社のMR(医薬情報担当者)の活動は、医療機関を訪問する営業スタイルに加え、オンライン面談を取り入れた。「MRには幅広い知識を身に着け医療関係者とコミュニケーションを図ってほしい」と支援する活動が活発に行われている。
大塚ホールディングス傘下で、「チオビタ・ドリンク」「ソルマック」などの商品で知られる大鵬薬品だが、実は売り上げの9割以上は、がんを中心とした医療機関向けの薬が占めている。
同社は全国に約550人のMRを配置している。「医療関係者に『薬剤を適切に使用していただくための情報』を届けることがMRの使命」と営業推進部デジタル推進課課長の川原智弥さん=顔写真=は話す。
コロナ禍でMRは医療機関から訪問自粛を要請され、医療関係者とのコミュニケーションは激減した。以前から導入を検討していたこともあり、比較的早期にオンライン面談を開始できたが、慣れない手段に戸惑うMRも少なくなかった。
大学病院などの場合、医師の多くは個室を持たないため、他の医師が集まる場所でのオンライン面談は難しく、好まれないケースもあったが、「大鵬薬品の薬剤を必要としている患者さんのためにも、医療機関への情報提供をしっかり継続していくことを意識した」という。