子どもの健康を考える「子なび」
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おなかのトラブル(4)すっぱい臭いの下痢が長引くなら「乳糖不耐症」の疑い
このシリーズでは、大阪母子医療センターの恵谷ゆり消化器・内分泌科主任部長に聞きます。(聞き手・石川千佳)
私たちが食べたものは小腸で栄養分が吸収された後、大腸で水分が吸収されて適度な硬さの便となって排せつされます。しかし、何らかの原因で大腸の通過時間が早くなって水分を吸収できなかったり、腸から水分が多く分泌されたりすると下痢になります。
ノロウイルスやロタウイルスによる腸炎は、下痢の代表的な原因です。ロタウイルスについてはワクチンが普及し、重症になる子どもがずいぶん減りました。
下痢の時は、消化不良になりやすいので、脂肪分の多い食事や乳製品は控えましょう。乳児の場合、一時的に母乳やミルクに含まれる乳糖の消化不良となる「乳糖不耐症」を起こすことがあります。すっぱい臭いの便が特徴で下痢が長引きます。授乳前に乳糖を分解する酵素薬を毎回飲ませるか、乳糖除去ミルクを使えば速やかに下痢が改善します。
下痢であっても母乳やミルクを控えたり薄めたりする必要はありませんし、離乳食もある程度、下痢が改善してきたら再開しましょう。下痢が2週間以上続く、血が混じる、体重減少が続く、活気がないなどの症状がある時は小児科を受診してください。
一方で、ゆるめの便を1日に複数回出していても元気で食欲もあり、おしりも荒れていない乳幼児がいます。大腸の動きが速い体質で、水分が多い便が出ているだけで病気ではないと思われます。
このような体質を下痢型の過敏性腸症候群といい、成長しても続くことがよくあります。集団生活に支障があったり、試験の時に困ったりする場合は腸の動きを止める薬を使うこともあります。
【略歴】
恵谷ゆり(えたに・ゆり) 日本小児科学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。大阪市立大卒。大阪府立急性期・総合医療センター(現大阪急性期・総合医療センター)小児科、大阪母子医療センター消化器・内分泌科に勤務し、2017年から現職。
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