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パリ・パラリンピックの車いすラグビー日本代表の選手たちを、日本の手袋メーカーの技術が支えている。障害の程度やプレースタイルで選べるよう、手の甲や手のひらなど部位ごとの厚みを細かく変えるなどした6種類の専用手袋を開発。選手たちは職人の技に後押しされ、悲願の金メダル獲得を目指す。
車いすラグビーは男女混合の4対4で争う球技で、車いすがぶつかり合う接触プレーの激しさが魅力だ。
台所用や園芸用など約2000種類の手袋を製造する「ショーワグローブ」(兵庫県姫路市)は、同社製の作業用手袋を愛用する選手がいたことなどをきっかけに、日本車いすラグビー連盟から依頼を受け、作業用手袋を提供してきた。
東京大会を控えた2019年、メダル獲得を目指す競技を支援するスポーツ庁の後押しで、専用手袋の開発をスタート。接触プレーでは強度、パスの際は繊細さと相反する性能が求められるほか、障害の程度などで選手ごとに理想とする手袋は異なる。当時の代表選手6人の手の形を計測したデータをもとに、手を保護する樹脂コーティングの厚みを調整するなど試行錯誤を繰り返した。
1年以上かけて6種類を開発。東京大会に間に合ったが、惜しくも銅メダルで、初めての金メダルには届かなかった。
悲願の優勝を目指すパリ大会。神戸市出身の倉橋香衣選手(33)は「滑らないし、車輪に力を伝えやすい。素晴らしい手袋を提供してくれたことに感謝し、メダル獲得に挑みたい」と話す。
同社の中村正浩広報部長(48)は「代表選手の役に立てるのは光栄なこと。一緒に生み出した手袋で、勝利をつかみ取ってほしい」とエールを送る。
日本代表は、4チームで争う1次リーグで2連勝しており、31日のカナダ戦で3連勝での準決勝進出を狙う。