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沖縄県が米ワシントン事務所を運営するため、営業実態のない株式会社を米国に設立していた問題は、事実に反する書類で米政府に駐在職員の就労ビザ(査証)を申請していたことが判明し、存廃を巡る議論に発展した。いびつな実態は会社設立から約9年間、県議会にも報告がなく、県民の目に触れる公文書にも記載されていなかった。米軍基地の県内移設阻止を掲げた知事の「独自外交」という異例の政策の水面下で、何が起きていたのか。(横山潤)
駐在職員を「社長」
「本庁で株式会社設立の手続きを行ったことは確認できていない」。今月上旬の県議会特別委員会。「起案・承認は誰が行ったのか」と問われた県幹部は、こう答えるのがやっとだった。
県などによると、事務所は
駐在職員のビザが取れなければ活動はできない。米国弁護士の助言を受け、企業の転勤者向けに発給される「L」ビザの取得を模索した。県の100%出資で株式会社「沖縄県ワシントン事務所」を設立し、ビザを取得。提出した資料では職員の肩書を「社長」「副社長」などとしていた。
県側が起案・承認者を説明できないとするのは、弁護士費用を含む全対応を米国のコンサルティング業者に年間約7000万円で業務委託しているためだ。実質的な「丸投げ」状態で、県議会からは「委託すれば見えない形で会社を作れるのか」と批判が噴出した。決算書も未作成で、県保有の株式も公有財産登録がなされていないという。
「出先機関かと」
会社の存在は、県議会や県民のチェックが働かない状態に置かれていた。
知事には地方自治法上、資本金等の2分の1以上を出資する株式会社の毎年の経営状況を議会に公表する義務がある。だが、一度も公表されたことはなく、玉城デニー知事は10月末の記者会見で「先日、事務方から報告を受けた」と述べ、自身も知らなかったことを明らかにした。県幹部は「業務委託の中で設置されており、知事に説明していなかった」としている。
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