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電話で暗証番号などを聞き出した上で、勝手にインターネットバンキング機能を追加して、口座残高を不正に送金するという、新手の詐欺が秋田県内で相次いでいる。電話でやりとりをするだけで被害に遭ってしまうため、秋田県警では注意を呼びかけている。
同県警によると、八峰町の60歳代女性の自宅に3月30日午後、町役場職員をかたる男から「払戻金があるので金融機関を教えてください」と電話があった。女性は、利用する県内金融機関の口座番号やキャッシュカードの暗証番号を伝え、指定された電話番号に電話した。数日後、金融機関からの連絡で、ネットバンキングで見知らぬ口座に約700万円が送金されたことに気づいたという。
ネットバンキングの不正利用を防ぐため、金融機関はパスワードに加え、一時的に発行する「ワンタイムパスワード」を入力する2段階認証を取り入れている。
このワンタイムパスワードを利用するために、金融機関によっては、利用者が届けている電話からフリーダイヤルにかける仕組みを取り入れている。電話によって本人が手続きを進めていると判断する。今回の手口では、被害者が指示された通りに電話をかけたため、知らない間に本人確認されたことになり、不正送金につながったとみられる。
ネットバンキングを悪用した被害はこれまで5件計約1100万円確認されているという。今回同様の詐欺の手口が疑われる不審な電話も相次いでおり、県警は警戒を強めている。
ネットバンキングを始める時の本人確認は、直接窓口で申請したり、書類に必要事項を記入して返送したりする場合もあり、金融機関ごとに異なる。電話による認証を導入する、県内に支店がある金融機関の担当者は「暗証番号など全ての情報を第三者に知らせ、誘導されるがまま届け出がしてある電話番号で認証を行われると、セキュリティー(安全)面での対応は困難」と頭を抱える。別の金融機関の担当者も「詐欺の手口が増えるたびにセキュリティー対策を取るが、それをかいくぐる手口が出てくるのでいたちごっこ。セキュリティーと利便性のバランスが難しい」とこぼす。
県警生活安全企画課は「公的機関や銀行が、電話で口座番号やキャッシュカードの暗証番号を聞くことはない。すぐに切り、警察や家族に相談して」と呼びかけている。
◆インターネットバンキング= 金融機関や現金自動預け払い機(ATM)に行かなくても、パソコンやスマートフォンで振り込みなどができるサービス。