クラミジア感染症とは?女性・男性別の症状と潜伏期間を解説

最終更新日:2024.07.16 | 投稿日:2024.07.15

クラミジア感染症とは?女性・男性別の症状と潜伏期間を解説

クラミジア感染症とは?女性・男性別の症状と潜伏期間を解説

クラミジア感染症は2024年現在、日本国内でもっとも感染者数の多い性感染症(性病)です。

性病を疑う症状に侵されても、恥じらいや体裁を気にするあまり、病院へ足を向けることができない方も多いのではないでしょうか。不安な感情を抱きながらも「大丈夫、性病じゃない、時間が経てば良くなる」と、根拠のない思い込みで不安を押し殺す日々を過ごすのはとても辛いものです。また、感染した本人が気づかないうちにパートナーにまでも感染させてしまうリスクの高い性感染症は、互いの健康を阻害し、取り返しのつかない事態をまねくことにもなりかねません。あなたとあなたの大切なパートナーを守るために、性病の正しい知識を身につけましょう。

本記事では、クラミジアをはじめとする性感染症の診断・治療にあたる医師に監修していただき、クラミジア感染による女性・男性別の症状と潜伏期間、そして具体的な感染経路と治療に関する内容を解説します。

クラミジア感染症とは

クラミジア感染症とはクラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌によって引き起こされる性感染症です。クラミジアは、主に性行為を通じて粘膜に感染し(接触感染といいます)、炎症を引き起こします。トイレや入浴等の間接的な接触が感染経路となることはまずあり得ません。

クラミジア感染症は、男女ともに半数以上の方が無症状といわれています。そのため、感染していることに気づかずにクラミジアの侵入を許してしまい、性行為でパートナーへ感染させてしまうことが多々あります。性感染症は早期発見と適切な治療が非常に重要ですので、疑わしい症状がある場合は速やかに医療機関を受診してください。

クラミジアの潜伏期間、症状が出るまではどれくらい?

クラミジアの潜伏期間は、感染から1〜3週間程度ですが、個人差があります。この期間内に症状が現れることもあれば、無症状のまま長期間感染が続くこともあります。 無症状の感染者も感染源となり得るため、症状がなくても定期的な検査が重要です。

クラミジア感染症は自然に治る?

クラミジア感染症は自然治癒することはありません。適切な治療をしないと、パートナーにも感染させてしまうだけではなく、感染状態が続くことで合併症を引き起こすリスクが高まります。適切な治療を受けることが必要です。

自覚症状がない場合でも検査をおすすめする方

無症状でも感染している可能性があるため、以下のような方々には検査を強くおすすめします。

  • 性的に活発な若年成人
  • 新しい性パートナーがいる方
  • パートナーが性感染症に感染していることが判明した場合
  • 不特定多数の性パートナーがいる場合
  • コンドームを使用せず性行為をしている

症状がある方や高リスク行動がある方は、積極的に検査を受けることが推奨されます。これにより、早期発見と治療が可能となり、感染拡大を防ぐことができます。

女性のクラミジア感染の症状チェック

女性のクラミジア感染の症状チェック

女性のクラミジア感染の症状は非常に軽度であることが多く、自覚症状がないまま感染が進行することが多いです。具体的な症状には以下のようなものがあります。

  • おりものの増加や軽い下腹部の痛み
  • 排尿時の違和感、痛み
  • のどの違和感
  • 不正出血や性交した時の痛み
  • 異常なおりもの

など、これらの症状がある場合、速やかに医師に相談することが重要です。早期診断と治療により、合併症のリスクを最小限に抑えることができます。

おりものの増加

黄色や緑色の膣分泌物が増えることがあります。

排尿時の痛みや不快感

排尿時に焼けるような痛みや頻尿がみられます。

下腹部の痛み

月経中以外で下腹部痛が続くことがあります。

性交時の痛み

性交時に痛みや不快感を覚えることがあります。

不正出血

月経周期に関係なく、不正出血が見られることがあります。

男性のクラミジア感染の症状チェック

男性のクラミジア感染症の症状

男性もクラミジア感染の症状が軽度であることが多いですが、以下のような症状が見られます。

  • おしっこをした時の軽い痛み
  • 尿道から膿が出たり、かゆくなる
  • 陰嚢のあたりが腫れて熱が出る

など、これらの症状が見られる場合は、直ちに医療機関を受診することが推奨されます。

尿道からの分泌物

透明なサラッとした液体、または膿のようなネバネバした白っぽい分泌物が見られることがあります。

排尿時の痛みや不快感

排尿時に焼けるような痛みや頻尿がみられます。

睾丸の痛みや腫れ

精巣上体に炎症が起こり、睾丸に痛みや腫れが生じることがあります。

クラミジアを放置すると

クラミジア感染症を放置すると、女性の場合はクラミジア菌が子宮、卵管、卵巣に広がり炎症を引き起こします。

クラミジア感染症を放置すると、女性の場合はクラミジア菌が子宮、卵管、卵巣に広がり炎症を引き起こします。これにより、慢性的な骨盤痛が起こります。(骨盤内炎症性疾患:PID)

さらに、PIDによって卵管が閉塞し、卵子と精子が受精することができなくなるため、不妊症を引き起こす可能性があります。また、卵管が損傷し、受精卵が子宮外に着床することで、生命を脅かす異所性妊娠が発生するリスクが高まります。

男性の場合は、精巣上体に感染が広がり、痛みや腫れを引き起こします。(精巣上体炎)これが慢性化すると、不妊症の原因となることがあります。 尿道の炎症により、排尿時の痛みや分泌物が増加します。(尿道炎)また、前立腺に感染が広がり、慢性的な前立腺炎を引き起こすことがあります。

クラミジア感染によって性器の粘膜が損傷するため、男女ともにHIV感染のリスクが高まります。

クラミジアの検査方法

クラミジア感染の診断には、以下のような検査方法が用いられます。

尿検査

尿中のクラミジアを検出することで診断します。特に男性で一般的な方法です。

膣・尿道分泌物の検体採取

女性の場合、膣や子宮頸部からの分泌物を採取し、クラミジアを検出します。 これらの検査は迅速かつ正確であり、感染の有無を確実に判定することができます。

クラミジア感染症の治療

クラミジア感染症の治療クラミジア感染症は抗菌薬による薬物療法が行われます。

クラミジアは一部の抗菌薬に対して耐性を備えており、耐性の少ないマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗菌薬が用いられます。

クラミジアはどのくらいで治る?

適切な治療を受ければ、クラミジア感染症は通常1〜2週間で治癒します。

治療期間中および治療後1週間は、再感染を防ぐために性交渉を避けることが重要です。また、パートナーも同時に治療を受けることが推奨されます。

クラミジア感染症に関するよくあるご質問

クラミジアは何科に行けばいいですか?

クラミジアは何科に行けばいいですか?

男性の場合は泌尿器科を、女性の場合は婦人科を受診されるケースが多いですが、性感染症全般を専門に扱う性感染症専門クリニックで診察を受けることもできます。

一方で、内科や耳鼻咽喉科は風邪やインフルエンザなどの一般的な病気を中心に診療しているところも多いため、より専門的で性病治療の経験が豊富な医療機関を選ぶことをおすすめします。

妊娠中、クラミジア感染に感染したらどうなる?胎児への影響は?

妊娠中にクラミジアに感染すると、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼすことがあります。

具体的なリスクには以下のようなものがあります。

早産 クラミジア感染は早産のリスクを高めます。
低出生体重児 クラミジア感染は低出生体重児を出産するリスクを増加させます。
新生児結膜炎 出産時に感染が新生児に伝播し、新生児結膜炎を引き起こすことがあります。
新生児肺炎 クラミジア感染が新生児に伝播し、新生児肺炎を引き起こすことがあります。

妊娠中にクラミジア感染が疑われる場合、早期に検査と治療を受けることが非常に重要です。

クラミジアは何人に一人が発症する?(有病率)

統計によれば、若年成人の約10〜15%がクラミジアに感染しているとされています。

クラミジアは非常に一般的な性感染症であり、特に若年層での感染が多いです。統計によれば、若年成人の約10〜15%がクラミジアに感染しているとされています。全人口に対する有病率は、地域や性別によって異なりますが、総じて高い水準にあります。

クラミジアを予防するためには?

クラミジア感染を予防するためには、以下の対策が有効です。

コンドームの適切な使用

性交渉時にはコンドームを使用することで、クラミジア感染のリスクを大幅に低減することができます。

複数の性パートナーを持たない

性パートナーの数を限定することで、感染リスクを減少させ、感染経路を明らかにすることで治療が容易になります。

定期的な性感染症検査

定期的に検査を受けることで、早期に感染を発見し、適切な治療を受けることができます。また、無症状で他人に移すことも防げます。

クラミジアの致死率は?

非常に低いですが、適切な治療が必要です。

クラミジア感染症自体の致死率は非常に低いです。しかし、放置すると深刻な合併症を引き起こすことがあり、特に女性の場合、不妊症や異所性妊娠のリスクが高まるため、早期の診断と治療が重要です。男性においても、精巣上体炎や前立腺炎など、長期的な健康被害を避けるためには適切な治療が必要です。

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こちらの記事の監修医師

永井 良

ペアライフクリニック横浜院永井 良 先生

ペアライフクリニックは自由診療の性感染症内科です。
当院は「性病を減らす」ためにクリニックをオープンしました。

性感染症でお悩みの患者さまは様々な事情を抱えてご来院されます。どこよりも患者さま思いのクリニックを作ることで、全ての方に行って良かったと思ってもらえるクリニックづくりを日々取り組んでおります。

性感染症は、一般的な風邪やケガと違い他人に相談や共有しにくい病気です。また実際にクリニックに行くとなった際に様々な不安を抱えるかと思います。

当院では「院内のプライバシー」「匿名性」「価格」「スタッフの待遇」「アクセス」などの来院する上で不安を感じるポイントに対して、真摯に向き合いどこよりも通いやすいクリニックづくりを追求しています。

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