丸山グループ
植物エピゲノム科学部門
丸山 大輔 准教授 |
研究内容
花を咲かせる植物では花粉が雌しべに受粉するとやがて種子が作られます。外からは見えない雌しべの中での種子形成の仕組みを調べるため、古くから顕微鏡を使った受粉後の組織観察が行われてきました。特に、近年の蛍光タンパク質を使った細胞構造をラベルして観察する手法の発展はめざましく、現在では植物の受精する様子を生きたまま観察できるようになっています。これらの技術発展の結果、植物の受精に関わる高度に分化した細胞が引き起こす新規の現象は未だに発見され続けています。丸山グループでは植物生殖を支える細胞のユニークな形態に着目した細胞生物学的なアプローチによって、新しい細胞現象の探索と分子メカニズムの解明を行っています。
植物の細胞融合現象
植物細胞の多くは全体が丈夫な細胞壁で覆われています。そのために細胞融合は稀であり、被子植物では重複受精のみが主要な細胞融合現象として知られています。私たちは重複受精に続く第3の細胞融合として、中央細胞が受精して作られる胚乳が隣の助細胞を取り込む現象「助細胞胚乳融合」を見出しました。当グループではこの融合の役割や仕組みを研究しています。
精細胞の放出場所の制御
花粉管が胚珠まで伸びると、卵細胞の両脇にある助細胞の1つに対して、2つの精細胞が放出されます。そのとき、それぞれの精細胞が適切な場所「受精領域」にないと、卵細胞と中央細胞を同時に受精させることはできません。未受精の胚珠で精細胞が受精領域に送られる仕組みや、受精後の胚珠で精細胞の放出場所を受精領域から別の領域に切り替える仕組みを研究します。