手術支援ロボット「ダビンチ」を導入します
1. 手術支援ロボット
手術支援ロボットとは、鏡視下手術支援機能を付加したロボットです。鏡視下手術とは、腹壁等に3~6ヶ所の小さな穴を開けて、腹腔鏡等を挿入し、TVモニターを見ながら、鉗子、電気メス、自動縫合機、自動吻合機などを用いて、病変部を切除、修復する手術です。
これらの機能を統合し手術を支援するのが「ダビンチⅩ」です。
2. ダビンチのメリット
今般導入するダビンチには、次のようなメリットが期待できます。
患者さんにとって
手術を行うにあたり、ロボットの支援によりさらに細密な施術が可能となるため、病変部以外の正常部位への損傷が低減され、各臓器などの機能を温存できる可能性が高くなることから、患者さんの早期社会復帰が期待できます。
医療従事者にとって
医師は立ったまま行っていた手術を操作台に座って行えることから、身体的負担が軽減されるとともに、3Dカメラにより術野を鮮明かつ立体的に把握できることや、手指の動きに制限されることなく難しい部位へのアクセスが可能になること、手振れが補正されること等により精神的負担も軽減され、これまで以上に手術に集中できる環境が整えられることで、より安全な医療の提供が可能になります。
3. 今後予定している手術
診療科 | 術式 |
---|---|
泌尿器科 | ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術 |
産婦人科 | ロボット支援下腹腔鏡下子宮全摘術 ロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 ロボット支援下仙骨膣固定術 |
外科 | ロボット支援下直腸切除術 ロボット支援下低位前方切除術 ロボット支援下直腸切断術 |
※当院では、令和6年10月上旬の使用開始を予定しています。
※今年度導入したため、症例については、今後増やしていく予定です。
※全ての手術が保険適用とはなりませんので、ご承知おきください。
ダビンチ導入に対する各先生からのコメント
泌尿器科 診療科代表者担当部長
岡島 和登
待望のロボット支援下手術導入です。これまで同様に安全確実かつ、より緻密でクオリティの高い手術が提供できるようになります。
前立腺癌に関しては、ロボット支援下手術、放射線治療(IMRT+spaceOAR)、薬物療法(新規ホルモン、抗がん剤、個別化医療)等どのステージの方にも最先端の標準医療の選択肢が提供出来るようになりました。
よろしくお願いいたします。
診療部長
産婦人科 診療科代表者担当部長
長谷川 哲哉
ついに当院にもロボット支援下手術、ダビンチ手術がやってきます。
産婦人科では子宮筋腫や子宮腺筋症に対するロボット支援下腹腔鏡下子宮全摘術、早期子宮体癌に対するロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨膣固定術が保険適用となります。今後、保険適用術式がさらに広がっていくはずです。通常の腹腔鏡手術も並行し行いながら、安心、安全をモットーに新しい治療を提供させていただこうと思います。よろしくお願いします。
消化器外科・外科 診療科代表者担当部長
小倉 直人
当科ではロボット支援下手術を大腸手術より開始していきます。従来から、ほとんどの大腸外科手術を腹腔鏡下に行ってきました。ロボット支援下手術は腹腔鏡と比べるとより精緻な手術が可能であり繊細に手術を行えることで根治性の向上が期待できます。特に骨盤内など狭い領域での手術に有効です。また精緻な手術は根治性だけでなく、臓器機能温存(排尿・性機能など)が可能となり術後のQOLの向上が期待できます。当術式は当院では新規導入であるため安全に導入し安定した手術として地域の皆様に先進的な医療が提供出来るように努力していきます。