少し前に公開した、こちらの“ファッションアーカイブ”。
文中にアメリカのシアーズのカタログについて触れているところがあります。
アメリカ消費文化の象徴、シアーズ
シアーズは百貨店などを展開していたアメリカの小売大手です。
詳細はWikipediaから引用します。(引用強調者以下同)
シアーズ(Sears )は、アメリカ合衆国イリノイ州に本部がある百貨店。かつてシアーズ・ローバック(Sears, Roebuck and Company )によって展開され、カタログによる通信販売で知られた。また衣料など日用生活品以外に工具、カー用品などDIY用品のプライベートブランドを持つ。
19世紀末から20世紀初頭のアメリカは農業が中心で、広大な国土に多くの農民が生活していたが、交通手段は主に鉄道や馬・馬車であり、消費者は手間をかけて都市まで行くか、個人商店、行商人から高い値段で商品を買うしかなかった。ここに着目したシアーズは、カタログを郵送して、一括仕入れで安価に商品を提供するダイレクトマーケティングを推し進めた。
シアーズのカタログは「消費者の聖書」と呼ばれ、大量に頒布されるカタログは農村で子供の絵本や学習帳の代用に用いられ、最後にはトイレットペーパー代わりに使われるほど身近に親しまれた。また1908年から1940年の間に組立式住宅「シアーズ・モダン・ホーム」を販売、10万棟以上が出荷され、庶民に近代的な住宅を提供した。1908年から1912年には自社ブランドの自動車もカタログ販売した。
1925年以降、シアーズ・ローバックは人口の都市への流入とモータリゼーションの到来を予見して、都市の郊外に広い駐車場を備えたデパートを開店させた。第二次世界大戦以降はショッピングセンターの中心店舗として全米の都市に出店した。
シアーズは1980年代初頭まで全米第1位の小売業者であった。
シアーズのカタログでは服や家電だけでなく、住宅や自動車まで販売されていました。
つまり、アメリカの消費文化の象徴のような存在です。
ヴィンテージとして高い価値が認められているものから、比較的に手頃な価格で買えるレギュラーまで、多くの古着好きにとってはシアーズは非常に馴染み深いブランドでしょう。
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シアーズはアパレルだけでも数多くのブランドを展開していました。ワークウェアブランドとして知られるヘラクレスもそのひとつ。
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77年間、290冊、 260,826枚
ここからが本題です。
先日調べ物をしていて、1940年から2017年まで77年間のシアーズのカタログを掲載しているウェブサイトを発見したのです。
凄いサイトを見つけてしまいました。https://t.co/B9Yw5HNVEr
— 山田耕史 (@yamada0221) 2023年4月22日
1940年から2017年のシアーズやJCペニーのカタログ画像が全289冊、259,514枚掲載されています。
服だけでなく、インテリアや家電製品など多種多様な商品が掲載されているので、あらゆるジャンルの貴重な資料になると思います。 pic.twitter.com/IYvfDYgWze
「Catalogs & Wishbooks」というサイトです。
↑のツイートしてときは「全289冊、259,514枚」でしたが、今確認すると「290冊、 260,826枚」になっていたので、更新は続けられているようです。
一番古いカタログは、1940年春夏。
1940年の段階で、婦人服、紳士服、ワークウェア、ワークブーツからインテリア、楽器、家電、トラクターまで幅広すぎる品揃え。
モンゴメリーとJCペニーのカタログも掲載
より正確に言うと、このサイトにはシアーズだけでなく、モンゴメリーワードとJCペニーのカタログも掲載されています。
モンゴメリーワードは、シアーズと同じカタログ通販の会社。
JCペニーは百貨店ですが、それぞれのカタログの内容はシアーズとかなり似通っています。
見始めたら止まらない面白さ
上述の通り、幅広いジャンルの商品が掲載されているので、見始めたら止まりません。
1986年。 pic.twitter.com/7C1Bhh2mnZ
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
特に歴史好きにはたまらないくらい面白いのではないでしょか。
第二次世界大戦末期の1945年春夏カタログ。
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
こんな国と戦争して勝てる訳ないっすね。https://t.co/yZ8rZOeRuT pic.twitter.com/DZIe91gBZu
プロダクトデザインの歴史を振り返るのも楽しいです。
1990年の電子機器類はメカメカしさが最高。 pic.twitter.com/OF1xvEkcQ8
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
当然、ファッション史的な視点では非常に貴重な資料。
スウェットが充実しまくりの1990年。スウェットにこれだけページを割いているのには、何かしらの理由はありそう。https://t.co/qxnX0OrPCo pic.twitter.com/L3FViHIjO0
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
1992年のボーイズ、色合いもシルエットもめっちゃイケてる。https://t.co/bUHHWt53gQ pic.twitter.com/PTqAuNTqIR
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
1993年。メンズは大人よりもボーイズのほうがバラエティに富んでいて断然面白いですね。https://t.co/WCwr4VYzqd pic.twitter.com/yuEqoCrA2P
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
同1993年。良い写真。てゆーか当時中1の僕も、右の子が履いているのに似たCONSのバッシュ履いてたなー。 pic.twitter.com/9TIv1MmikK
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
同1993年。
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
CONSとかLAギアとかの、ハイテクスニーカーブーム前夜の端境期的なデザインがめっちゃツボです。 pic.twitter.com/WEd6xEFCbe
1997年。今後も決して復刻されないであろう、ハイテクスニーカーブーム後の迷走感溢れるデザイン。これはこれで好きですけどね。https://t.co/UZVpMaUKu8 pic.twitter.com/AjJN4brKjW
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
1976年。
— 山田耕史 (@yamada0221) April 22, 2023
それまでは少なかったメンズファッションのページが増えてくるのがこの頃。
70sがメンズカジュアルファッション黎明期と言えそうな気がします。https://t.co/uhICcWU633 pic.twitter.com/aynw3YKTkZ
アップしてくれている方、ありがとうございます
画像の表示にちょっと時間がかかってしまいますが、これだけの情報量なので贅沢は言ってられません。
古着をはじめとした様々な分野の時代考証や暇潰しまで、幅広く楽しめるアーカイブ。
アップしてくれている方に大きな感謝をしつつ、利用させてもらおうと思っています。