PROFILE: ダヴィデ・セシア/そごう西武副社長
西武池袋本店が開店以来の大規模な改装工事を進め、2025年夏にグランドオープンする。百貨店区画の面積は約半分の4.8万㎡に縮小し、ラグジュアリーブランド、化粧品、食品の3カテゴリー中心の店舗へと刷新する計画だ。親会社の米投資会社フォートレス・インベストメントグループの主導のもと、約半分の区画はヨドバシカメラに変わる。縮小した百貨店区画で競争力を保つことができるのか。改装計画のキーマンが昨年11月に就任したダヴィデ・セシア氏である。セシア氏は20年以上にわたってプラダの日本法人の社長を務め、ブランドビジネスと百貨店に精通する。
WWD:そごう・西武におけるセシアさんの役割は?
ダヴィデ・セシア=そごう・西武副社長(以下、セシア):ブランディングとマーチャンダイジングを明確にして、西武池袋本店を筆頭にした全国10店舗のあり方を見直すことだ。社会やジェネレーションは変化している。お客さまが百貨店に何を求め、ビジネスとして何が利益を生むのか。百貨店に何が不要になっていて、お客さんが必ずしも求めないようになったのか。細かく見極める必要がある。
フォートレスの米本社や日本法人の山下明男さん(そごう・西武取締役)、劉勁さん(同代表取締役)とも連携して議論を重ねてきた。フォートレスはビジネスの本質を理解した上で、徹底的に分析し、ロジカルに動く会社なので、私としてはとてもやりやすい。
WWD:日本の大手百貨店の役員にラグジュアリーブランド出身の外国人が就任するのは異例だ。ブランド側との交渉役を期待されての抜擢だったのか。
セシア:私のコネクション云々の前に、最初の仕事は西武池袋本店のコンセプトを定めることだった。百貨店はまずハコありきで、そこを人気ブランドで埋めていく発想に陥りがちだ。でも大切なのはコンセプトである。これは勝手に出来上がるものではなく、社会やジェネレーションを深く分析し、西武池袋本店がこれまでの歩み、現在の姿、将来あるべき姿を徹底的に議論した上で、目指す百貨店の形を導き出す必要があった。取引先であるブランド側との交渉はその後の仕事になる。
池袋を東京で最も価値あるロケーションにする
WWD:ラグジュアリーブランドの経営者だったセシアさんには、西武池袋本店がどう映っていたのか。
セシア:1990年代前半までものすごい勢いがあった。バブル崩壊が崩壊し、再編されてからは次第に落ち着いた店になっていった。世の中の激しい流れに翻弄され、店舗の根源的なコンセプトを考える余裕を無くしていたのではないか。
ブランド側の思考に立てば、まず(銀座や表参道の)路面店が先にあって、次に百貨店という順番だったろう。だが、われわれの新しいプロジェクトは、池袋の価値を東京の最も重要なロケーションに高めるつもりだ。
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