最近、渡韓の目的の1つとして、「プロにヘアメイクをしてもらい、ポートレイト写真を撮る」人が急増しているという。日本でも東京・原宿エリアに「韓国ヘアメイクサロン」が続々オープンしており、10月には韓国ヘアメイクとプロカメラマンによる撮影が体験できるスタジオ「RIZZ」(渋谷区・神宮前)がオープンした。同店にはINIやIS:SUEも担当するヘアメイクアーティストが在籍する。最もリーズナブルなAプランは、アーティストがヘアスタイリング&メイクを行い、セルフ撮影で撮影データは全て提供、3枚までレタッチが無料。120分コースで価格は3万8500円。最上位の「Dプラン」は、現役チーフヘアメイクアーティストがヘアメイクを行い、プロフェッショナルカメラマンが撮影する11万円のプランだ。
「RIZZ」はオープン以降、20〜30代の女性を中心に予約が絶えず好調だという。そこで今回は、最新の韓国トレンドに精通するパク・ネジュ「ビット&ブート(BIT&BOOT)」CEO兼ヘアアーティスト、同サロン共同代表で、コスメブランド「ウォンジョンヨ(WONJUNGYO)」の監修を務めるメイクアップアーティストのウォン・ジョンヨ氏、カン・ハンナ「ミラリ(MIRARI)」代表に、「ヘア」「メイク」「スキンケア」のネクストトレンドについて聞いた。
PROFILE: パク・ネジュ/「ビット&ブート(BIT&BOOT)」CEO
――― 24年秋冬、韓国の「ヘア」トレンドは?
パク・ネジュ(以下、パク):24年春夏は、メンズ&ウィメンズともにブリーチ、ハイトーンがトレンドだった。メンズはロングヘアが人気で、女性はストレートヘアのムードだった。秋冬になるにつれ、男女共にダークブラウンなど重みのあるカラーが主流になっていく。また、女性ではウェーブの中でも、根元から細かく強くかける「ヒッピーパーマ」が流行するだろう。前髪にもヒッピーパーマをかけて仕上げるのがポイントだ。
韓国でのヘアトレンドは、世界的メゾンのアンバサダーを務める芸能人がけん引している。ブランドの広告で、どのようなコーディネート、ヘア、メイクをしているのかは、クリエイターを含めて多くの人が参考にしている。
――― 日本では「パーソナルカラー」が浸透し、ヘアカラーの参考にする人も多いが、韓国では?
パク:韓国でもここ1~2年はパーソナルカラーがとても流行していたが、僕個人としては固執しすぎているようにも思う。ヘアカラーで大切にしたいのは、その人の肌のトーンだ。肌トーンが明るいのか暗いのか、目の色、眉の色に合わせて選ぶことが多い。もともとの地肌が明るい人はブリーチで明るくするか思い切って暗い色にすると似合う。一方で肌のトーンが暗めの人は、どのカラーが最も肌を明るく見せてくれるかを見極める必要がある。顧客にも、その人の肌トーンを最も美しく見せるカラーを提案している。
――日本と韓国でトレンドスタイルに差はある?
パク:韓国では、最近、全体的にボリュームを抑えたスタイルにポイントカラー、またはデザインが入ったスタイルを多く手掛けている。日本は韓国よりもブラウンカラーのバリエーションが豊富で、スリックやウェットなスタイルが多い印象だ。
―――愛用しているアイテムは?
パク:「ダシュ(DASHU)」“エアリーポリッシュオイル”(100mL、2612円※編集部調べ)は軽いテクスチャーでウェットスタイルによく使う。「カーリーシール(CURLYCHYLL)」“スタイル グラビティ ワックス”(100mL、3060円※編集部調べ)は、ナチュラルに仕上げたいときに。「エルネット(ELNETT)」“エルネット サテン <ローズフレグランス>”(207g、1540円※編集部調べ)は、キープ力があるハードスプレーで、1日に何回か髪型をチェンジする仕事現場でも重宝している。
PROFILE: ウォン・ジョンヨ/「ウォンジョンヨ(WONJUNGYO)」ブランドプロデューサー
――― 24年秋冬、韓国の「メイク」トレンドについての見解は?
ウォン・ジョンヨ(以下、ウォン):ベースメイクは長くツヤ肌ブームだったが、これからはツヤ過ぎないセミマットが流行りになるだろう。ハイライトやリップは、引き続きツヤ感のあるアイテムを。カラーは、あまり派手すぎないカラーが引き続き人気を集める。
――― 現在、韓国で特に人気が高まっているメイクの特長は?
ウォン:自然で軽いメイクがトレンドになっている。そのため、 彩度が高くラメ感が強いメイクよりも、自然な血色感を出すようなメイクが特長になっている。幼く見える童顔メイクへの関心も依然として高く、顔をできるだけ小さく短く見せるために、ハイライトとシェーディングで顔の輪郭を補正するメイクが注目を集めている。最近は、日韓の流行は似通っていて、国境を越えたトレンドの違いがほとんどなくなってきたように感じる。
――― 愛用のメイクアップアイテムは?日本でも購入できる?
ウォン:「ウォンジョンヨ」では、“ウォンジョンヨ トーンアップベース 02 ライムイエロー”(25g、1430円)“ウォンジョンヨ モイストリッププライマー”(1430円)“ウォンジョンヨ Wデイリームードアップパレット 04クライローズ”(2420円)を特に使っている。他にも、「スナイデル ビューティ(SNIDEL BEAUTY)」“スキン グロスキン グロウ ブラッシュ”(全6色、各3300円)、「シセイドウ(SHISEIDO)」“シンクロスキン セルフリフレッシング コンシーラー”(全4色、各4400円)、「RMK」“ピュア コンプレクション ブラッシュ”(全10色、各3630円)を愛用している。
PROFILE: カン・ハンナ/「ミラリ(MIRARI)」代表
―――24年秋冬、韓国の「スキンケア」トレンドは?
カン・ハンナ(以下、カン):韓国ではスキンケア市場で「スキニーマリズム(Skinimalism)」が新しいトレンドとなっている。これは、スキンケア(Skin-care)とミニマリズム(minimalism)を組み合わせた造語で、スキンケアから化粧までの過程で製品を 5つまでしか使わない、できるだけシンプルなもので自分の美を整えることを指す。もうひとつは、「スローエイジング(Slow Aging)」。アンチエイジングの概念とは異なり、年齢に合った自然体の自分を大事にしながら、ゆっくりと年を重ねるため丁寧に肌を管理するスキンケア方法を意味する。「スローエイジング(Slow Aging)」トレンドの影響で、様々なブランドから「抗酸化アンプル」や「毛穴美容液」が出ている。具体的には、「ディマル3(DEMAR3)」の“シグネチャーエストゥードプロテクター5.2 アンプル”(170mL、8468円※編集部調べ)、「ドクターディファレント(DR.DIFFERENT)」“シーキュー アンチオキシダント セラム”(15mL、5600円※編集部調べ)などだ。
――― 現在、韓国で注目されはじめている「美容成分」は?
カン:「ペプチド」など肌の弾力やシワケアに期待できる成分が注目を集めている。この流れは韓国だけではなく、イギリスのあるコスメ専門メディアでも2024年のスキンケアトレンドTOP5の1位に「ペプチド」が選ばれるほどグローバルな動きだ。「ペプチド」は人の肌に刺激を与えないやさしい成分でありながら、吸収率が高く、安全性が高いことも含め、「スローエイジング」の注目成分として開発が進んでいる。
日本のスキンケアトレンドの中心は主に「原料」があると思うが、韓国のスキンケ アトレンドは「原料」だけでなく、結果として「どんな肌に仕上がるのか」がいちばんホットな印象だ。韓国では、「毛穴」「鎮静」「トーンアップ」などのワードがトレンドの中心にある。
―――愛用しているスキンケアアイテムは?
カン:韓国でトレンドとなっている「スローエイジング」ケアを私も最も大事にしている。歳を重ねていくことには抵抗感がないものの、ゆっくりゆっくりと歳を重ねていくような健康的な肌を目指す。そのためには日常から自然由来のものを中心としたエイジングケアが大事になるので、「ミラリ オーガニック(MIRARI ORGANIC)」“コンセントレーティッドバランスローション”(120mL、4180円)、“グローイプランツセラム”(30mL、5830円)、“トリートメント モイスチャークリーム”(52mL、5060円)の3ステップをベースに日によって美容オイルやマスクパック、アイクリームを加える。「タリサカウム(TALITHA KOUM)」“HMバリアマルチバーム”(9g、9000円※編集部調べ)、「ミラリ(MIRARI)」“more calm down Facial Treatment Mask”(5枚入り、2750円)、「ソルファス(SULWHASOO)」“コンセントレート ジンセン リニューイング アイ クリーム”(20mL、12990円)を使っている。