三陽商会がかつて展開していた紳士服ブランド「ベイカー・ストリート(BAKER STREET)」が2025年春夏に復活する。2024年12月にバーバリー・ジャパンとのライセンス契約が終了する「ザ・スコッチハウス(THE SCOTCH HOUSE)」の後継ブランドとして展開する。
若年層の取り込みが主眼
「ベイカー・ストリート」はかつて三陽商会の子会社であるサンヨーベイカーが1975年から2001年まで、同社の清算後は三陽商会本体が03年まで展開していた。ブレザーやオックスフォードシャツ、ポロシャツ、パンツなどのブリティッシュトラッドの定番品が強み。ロンドンの洒落者が集まるベイカーストリートの街から着想を得て、英国らしいオリジナルのタータンチェック柄や、ロンドンの夜明け前の空の色をイメージした深いブルーをブランドの顔として打ち出す。
一度は終了した「ベイカー・ストリート」を、なぜ復活させるのか。加藤郁郎・三陽商会副社長は「かつては25〜35歳を中心に高い支持を集めていたブランド。当社が得意とするブリティッシュテイストにもマッチしており、ポートフォリオ戦略の上でも(ブランドを復活させることは)合理的と判断した」と話す。「ザ・スコッチハウス」の支持層である50代以上の顧客を引き継ぎつつ、「ベイカー・ストリート」は30〜40代を取り込み、客層の若返りと裾野の拡大を狙う。
「ザ・スコッチハウス」の課題だった
価格の高止まりと顧客の高齢化
ライセンスブランドだった「ザ・スコッチハウス」では、縫製など取引先工場の選定、プロモーションに係るタレント・モデルの起用などに契約上の制約があり、「商品価格の高止まり、若い層へのアプローチに課題があった」と加藤副社長。自社ブランドの「ベイカー・ストリート」に切り替えれば、商品価格やプロモーション面を自社でコントロールできる。
「ベイカー・ストリート」の価格帯はシャツが1万4300〜2万9700円、パンツが1万8700〜3万3300円、ジャケットが3万9600〜7万1500円、アウターが4万6200〜9万3500円。若年層獲得を意識し、「ザ・スコッチハウス」と比べて価格レンジを下方に拡大した。特に、シャツやカットソーなどの中・軽衣料品は「ザ・スコッチハウス」よりも3割程度価格を下げた。キャッチーなロゴTシャツは1万1000〜1万3000円と値ごろに設定し、チェック柄の帽子や手袋などの雑貨とともにエントリー商品として打ち出す。そのほかにも新客獲得施策として、著名人を起用した若々しいスタイリング提案やデジタルメディアを活用したプロモーションを展開する。
「ポール・スチュアート」と合算で
売上高100億円規模を目指す
現在「ザ・スコッチハウス」は百貨店を中心に全国71店舗を展開している。これらを「ベイカー・ストリート」の新店舗として改装し、店舗数は概ね維持していく方針。内装はベイカー・ストリート駅をイメージしたストーングレーや木目調を用い、クリーンでモダンな空間を作る。
三陽商会は、安定した収益基盤を作るべく、「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ」(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)、「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON」「マッキントッシュ フィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」「ポール・スチュアート(PAUL STUART)」「エポカ/エポカ ウォモ(EPOCA /EPOCA UOMO)など基幹7ブランドを、それぞれ売上高100億円規模に拡大させることを掲げている。「ベイカー・ストリート」はブランド単体として3年以内に売上高30億円、「ポール・スチュアート」との合算で100億円を目指す。