高島屋の2024年3〜8月期連結業績は、小売売上高に相当する総額営業収益が前年同期比13.2%増の5067億円、営業利益が同38.2%増の287億円、純利益が同27.5%増の190億円だった。各利益は同期間の過去最高を更新した。
国内百貨店の総額営業収益は前年同期比14.6%増の4244億円。ラグジュアリーブランドや時計・宝飾などの高額品が同33.9%増、衣料品も同9.8%と伸長した。訪日客向け売上高は620億円。8月は為替相場が円高に振れた影響でやや鈍化するも、上期(3〜8月)の実績としては、前年同期の268億円から約2.3倍に膨れ上がった。訪日客売上高の約6割を、中国人による購買が占めた。
25年2月期通期連結業績は、営業収益1兆350億円(前期比8.7%増)、営業利益550億円(同19.7%増)、純利益380億円(同20.2%増)の期初計画を据え置いた。達成すれば各利益とも過去最高益更新となる。
苦境の上海高島屋
「それなりの判断ありえる」
中国経済の低迷により、上海高島屋は苦戦が続いている。村田善郎社長は「中国の景況感は非常に見通しがよくない」とした上で、「本当に厳しい状況が訪れれば、(上海高島屋の営業について)“それなり”の判断もあり得る」とした。
上海高島屋の3〜8月期の営業収益(売上高に相当)は前年同期比19.7%減、営業損益は1億円の赤字。村田社長は「上海高島屋は将来を見据えた(中国戦略の)拠点であり、極力維持していきたい」と話すが、25年2月期通期でも12.6%の減収予想と、見通しは厳しい。
19年に撤退発表も翻して営業継続
過去に高島屋は一度、上海高島屋の閉店を発表(19年)した経緯がある。発表後に取引先や顧客からの存続を望む意見、家主からの条件面の支援などがあり、撤退を翻して営業継続を決めた。
ただ来店客の伸び悩みは依然課題として残り、国内を覆う不動産不況もプレッシャーをかける。中国では、高島屋以外の日系百貨店も苦戦。ピーク時に6店舗を営業していた三越伊勢丹も、近年は相次ぐ撤退により天津の1店舗を残すのみとなっている。