「H&M」は、2025年までにバージンダウンの使用を廃止する。代わりに、ポスト・コンシューマー材(消費者が使用した後の製品を原料としたリサイクル素材)などに置き換えを進めていく。
同社は、「今回の決断は、使用する全素材をリサイクルまたは環境に配慮した形で調達したものに置き換えていくという当社のサステナビリティ戦略の一環だ。現在すでに約9割のダウンおよびフェザーにおいて、ポストコンシューマー材への置き換えが完了している」とコメント。年内には具体的な数値を調査予定だという。
動物愛護団体PETAなどが要求
背景には、動物愛護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)のほか、俳優のホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)らも同社に対してダウンの使用廃止を要求していたことがある。PETAは声明で、世界各地のH&M店舗で行った数々のデモの成果が実を結んだことや株主決議に際して同団体の要求を支持する15万通を超える手紙を受け取ったことなどについて触れた。
PETAの上級副会長ジェイソン・ベイカー(Jason Baker)は、「H&Mのこの決断は、アヒルやガチョウにとって大きな勝利だ。PETAはこの前向きな一歩を称賛し、他の小売業者にも同様に、残酷な羽毛産業から利益を得ることをやめるようと強く促している」とコメントした。
「H&M」は21年にはPETAと協業し、動物由来の素材を使用しないビーガン・コレクション“コーイグジスト・ストーリー・コレクション(Co-Exist Story Collection)”を発表している。このコレクションでは、ダウンの代わりに野生の花から作られたセルロース素材“フラワーダウン(FLWRDWN)”やブドウの皮を原料とした人工レザーを活用して製作するなど、動物由来素材に依存しない選択肢を模索している。