「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」は1994年に誕生し、今年で30周年。丸山敬太デザイナーは動植物で飾ったテキスタイルや、和洋中の要素を融合したデザインで、“晴れの日に着る洋服”を作ってきた。しかし多幸感溢れる表現の陰では、幾度の困難も克服してきた。酸いも甘いも知りながら、それでもなお「楽しいことを生み出したい」とする彼の人生譚とは。
出会った当初はクリエイターの“卵”だった友人も、すでに売れっ子になっていた。そんな彼らが僕のデビューショーのために集まり、演出やスタイリング、ヘアメイクを手掛け、果てにはドリカムのメンバーまでモデルとして出演してくれるという。うれしかった。衣装制作の仕事で、ある程度の貯金があった僕は、一念発起してショーに全てを懸けることにした。
1994年4月20日、原宿のキーウエストクラブ。インディゴブルーのランウエイに次々と「ケイタマルヤマ」のルックが現れる。赤いチェックのパッチワークガウン、エンジェルをあしらったキルティングスカート、翼のような襟のチャイナ風ジャケット──僕らしさを詰め込んだショーは大成功で、終わった後は達成感のあまりみんなで泣いた。ここからジェットコースターのような毎日が始まるとも知らずに。
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