アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。本明さんによると、ナイキジャパンで大きな組織改革があり、アトモス時代の本明さんたちと世界のスニーカーブームを盛り上げてきた縁の下の力持ちたちが、会社を去ることになったという。今のこの荒ぶるスニーカー業界の状況を、2年前に誰が想像できただろう。「商売は未来予測」とは本明さんの口癖だが、今回はストリートの少し先の未来を予測する。キーワードは、“ギャル男とラッパー”!?(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月10日号からの抜粋です)
本明秀文(以下、本明):知り合いに「ナイキ(NIKE)」のアウトレットの写真を見せてもらった。そこには、大量の“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1、以下AJ1)”が棚にきれいに陳列されていて、ある意味壮観だった。アウトレットでは、定価約2万7000円のおよそ半額で手に入るらしい。だけど、中国人インバウンド客が根こそぎ買っていくのは、そんなお得な“AJ1”ではなく、もっと安価な2000〜3000円のスニーカーだとか。そんな状況を見ていると、しばらく「ナイキ」は復活しないかもと思ってしまう。
――“AJ1”は昨年、定価が約1万円値上がりして、急に人気が落ちました。もう元の値段には戻らないでしょうが……。最近は季節柄、「ヴァンズ(VANS)」が売れていませんか?
本明:「ヴァンズ」は減収が続いている。親会社がVFコーポレーション(VFC)である以上、うまくいかないと思うよ。組織が悪いから。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ」と、傘下ブランドがまるっきりダメ。さらに「シュプリーム(SUPREME)」も売却のうわさが出ている。これまでは、「ザ・ノース・フェイス」「ティンバーランド」「ヴァンズ」を「シュプリーム」とコラボさせて、VFCの株価を上げていたけど、連発しすぎで飽きられてしまった。だからVFCにとって、もう「シュプリーム」は利用価値がない。昨年は1兆円以上売り上げて、1千数百億円も赤字なんだから目も当てられない。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。