主要ファッション企業の2023年度業績が出そろった。コロナが明けてファッション消費は上向いており、22年度と比べれば売上高、営業利益はおおむねプラスになっている。では、コロナ前の19年度と比較した場合はどうか。パンデミックの危機をバネにして大きく飛躍した企業もあれば、回復道半ばの企業もある。4年間の各社の業績推移を見てみよう。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月20日号からの抜粋です)
パンデミック下の構造改革に
一定の成果が出る
オンワードホールディングス(HD)、ワールド、三陽商会などのいわゆる総合アパレルは、コロナの少し前に店舗閉鎖や人員整理を含む大掛かりな構造改革に着手した。パンデミックの厳しい市況下で大ナタをふるい、その成果がコロナ明けに数字に出ている。構造改革によって売上高は減少しているが、利益をしっかり稼ぐ体質に変わりつつある。
象徴的な例はオンワードHDだ。19年から20年にかけて国内外で約1700店舗を閉める構造改革を断行し、OMOに舵を切った。店舗を減らしたため減収しているが、24年2月期の営業利益は11年ぶりに100億円を超えた。OMO業態「オンワード・クローゼットセレクト(OCS)」は全国137店舗に広げている。やや大きめの店舗で複数のブランドを取り扱い、同社の自社ECから商品の取り寄せもできる。EC売上高に占める自社ECの割合が9割だからこそ可能なOMOだ。
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