絶好調アダストリアの強みと死角【小島健輔リポート】 - WWDJAPAN
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絶好調アダストリアの強みと死角【小島健輔リポート】

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ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。ファーストリテイリング、しまむらに次ぐ国内3位のアパレルチェーンであるアダストリアの勢いが続いている。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(NIKO AND...)」をはじめ多ブランドを展開する同社について、どこよりも詳しく分析する。

24年2月期は大幅な増収増益で過去最高の業績となり、付加価値戦略やOMO、海外拡大に加えて自前の衣料品から撤退するイトーヨーカ堂に商品供給するなど、多方面で勢いづくアダストリアの強みの本質と死角を探ってみた。

過去最高を記録した24年2月期連結業績

アダストリアの24年2月期は売上高が13.6%増の2755億9600万円と2期連続の2ケタ増で、コロナ前のピークだった18年2月期を23.7%上回り、「回復」の域を超えて新たな成長期に入ったことを見せつけた。営業利益も56.4%増の180億1500万円と、10年2月期の169億1000万円を超えて過去最高を更新。当期純利益も79.2%増の135億1300万円と、17年2月期の115億7500万円を超えて過去最高を更新した。

営業利益率こそファストな仕入れ型SPA体制だった06年2月期の20.3%には遠いものの、開発型SPA体制に転じて以降の16年2月期(8.0%)、17年2月期(7.3%)に続く6.6%を確保したことで付加価値志向開発型SPA体制の収益性の目処も付いた。

純資産も108億1800万円増加して715億8100万円と順調に積み上がり、純資産比率56.0%(+1.5ポイント)、自己資本比率54.8%(+1.5ポイント)と盤石で、ROE(自己資本利益率)も20.9%と7.6ポイント上昇して17年2月期の21.2%に迫った。業績の上方修正と増配(60円から85円)で株価も上昇し、決算発表翌日4月5日の終値(3720円)はコロナ下の安値(20年4月1日の1118円)の3.33倍に達した。

配当性向が前期比7.6ポイント減の28.5%でも純資産配当率は5.9%(前期は4.8%)とアクティビスト(物言う株主)がしまむらに突き付けた配当下限要求5.0%を超え、オーナーの福田家と会社関係者が株式の過半を所有してガバナンスも揺るぎないから、外部環境や外部株主の圧力に左右されることなく経営意思を貫ける。財務に余裕がなくオーナーシップも定まらないアパレルチェーンの経営が揺れ動く中、アダストリアは「ザラ(ZARA)」のインディテックスや「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングに通ずる安心感がある。

営業成績は絶好調、財務もガバナンスも盤石というアダストリアに課題や死角はないのだろうか。
 

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