「オダカ」に生まれ変わった「マラミュート」 日本のニット技術を更新し世界を目指す - WWDJAPAN
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「オダカ」に生まれ変わった「マラミュート」 日本のニット技術を更新し世界を目指す

PROFILE:小高真理/「オダカ」デザイナー

(おだか・まり)埼玉県生まれ。 2011年文化ファッション大学院大学卒業。ニットデザイナーとして経験を積んだ後、14-15年秋冬シーズンに「マラミュート」をスタートする。17年に「東京都新人デザイナー大賞」を、21年に「東京ファッションアワード」を受賞。23年にブランド名を「マラミュート」から「オダカ」に変更した PHOTO:AYA YAMAMOTO

小高真理デザイナーによるファッションブランド「マラミュート(MALAMUTE)」が2023年、「オダカ(ODAKHA)」にブランド名を変更した。小高デザイナーは「マラミュート」時代から日本製のニットを強みにユニークなアイテムを生み出しており、今後は自身の名を冠したことでより“メード・イン・ジャパン”を打ち出したいという思いがあった。今年10周年を迎えるブランドのこれまでと今後の展望を、デザイナーの小高に聞いた。

ーーブランド名を「オダカ」に変更した理由は?

小高真理「オダカ」デザイナー(以下、小髙):21年に「東京ファッションアワード」を受賞し、パリで展示会を開く機会を得て、海外のバイヤーにコレクションを見てもらえるようになりました。そこで日本のニット技術に興味を持ってもらえたのですが、ちょうど同時期に取引先の工場2軒が廃業したんです。それを機に “日本のニットブランド”としてちゃんと打ち出していくことが大切だと思いました。「マラミュート」という名前は犬種の名前でとても気に入っていましたが、日本のブランドということが分かりづらい。スタッフとも話し合いを重ね、自分の苗字に変更することを決心しました。

ーー“ODAKHA”の名前に“H”が入るのはなぜ?

小高:フランス語で“洋服を着る”という意味を持つ“habiller(アビエ)”という言葉があるのですが、「H」はフランス語では発音されない言葉。色の“Khaki(カーキ)”のように、“H”を忍ばせたかったんです。

ーーネームタグにも使用されているネオングリーンが印象的だ。新たなブランドカラーにこの色を選んだ理由は?

小高:このネオングリーンは、ビートルズ(The Beatles)のレコードレーベルであるアップル・レコード(Apple Records)の青りんごの色にヒントを得ています。「マラミュート」の1シーズン目のインスピレーション源がビートルズの楽曲「She's a Woman」だったこともあり、どこかに「マラミュート」らしさを残したかったんです。

日本のニットは誇るべき職人技

ーー改めて、日本のニットの魅力とは?

小高:受け継がれている職人技であること。ブランドを始める前にニットのOEM会社で働いていた時代に、プライドを持ってニット作りに励まれている現場を目の当たりにしたことで、職人への尊敬の念が募りました。ホールガーメントで有名な島精機製作所は工場やニッターと密に連携をとりながら、技術をどんどん向上していく姿もとても素晴らしくて。これまでもそういった日本のニット技術を駆使したユニークな編み地に挑戦してきました。

ーーこれまでの「マラミュート」と「オダカ」の違いは?

小高:「マラミュート」で代表的だったニットと布帛をミックスしたアイテムは継続しつつ、「オダカ」ではさらに日本の伝統的な職人技術を加えることでよりユニークなものを作っていきたいです。例えば、最近はホールガーメントのニットに有松絞りの加工を施してもらうなど、技術を掛け合わせることにチャレンジしています。これは「マラミュート」時代にもやりたかったことで、「オダカ」ではもっと日本の技術にフォーカスしていきます。

“いつかはパリでショーを発表したい”

ーー「オダカ」のお披露目で開催された写真展も印象的だった。

小高:写真家の小見山峻さんと過去にビジュアル撮影でご一緒したことがあり、また何かお取り組みができないか模索していました。23-24年秋冬はアメリカ人の芸術家であるサイ・トゥオンブリー(Cy Twombly)の赤い花の絵が着想源になっていて、紫や黒、青などさまざまな色を重ねて赤を表現しているのが面白い。それを小見山さんに話したところ、「赤といえば、エネルギーや血、始まりのイメージがある」と対話を重ね、2人のモデルを起用して「マラミュート」から「オダカ」に生まれ変わるさまをイメージしています。鏡を使いながら、時空が歪んでいるようなビジュアルも撮ってもらいました。

ーー24年に10年周年を迎える。これまでで印象に強く残っている出来事は?

小高:19年に京都造形芸術大学(現京都芸術大学)の外苑キャンパスで開催した20年春夏のショーは、雨の中で行ったこともあり思い出深いですね。音楽もオリジナルで制作してもらったり、空間デザイナーの吉添裕人さんによるオブジェを配置したりと、15分間のショーのために、本当に多くの方々がアイデアを出してくれました。ブランドのストーリーを伝えるためにできることはたくさんあると実感しました。コロナ禍の21年にも「東京ファッションアワード」の凱旋イベントで22-23年秋冬のショーを開催しましたが、感染対策で人数制限があり、大事なお客さまを呼べなくて不完全燃焼だったんです。またいいタイミングで「オダカ」としてショーを発表したいですね。

ーー今後はより海外ビジネスを強化していくのか?

小高:これまで同様、日本のお客さまとのコミュニケーションも大切にしていきながら、パリでの展示会も継続していきたいです。海外のバイヤーと話す中で新たな気付きがあり、自分の考え方が広がるような感覚がありました。日本ではショーピースのように捉えられていたドレスが、オケージョンアイテムとして買い付けてもらえることも新鮮でした。いつかはパリでショーを発表することを目標にしています。

“ニットの限界を超えて、技術を更新する”

ーー今後の目標は?

小高:ジャパンメードの強みを伝えていけるブランドにすることです。独りよがりではなく、関わってくれる作り手の方々と一緒に協力して、みんなが健全にビジネスを継続できるように。購入してくれるお客さまには、その部分を認知してもらえるような発信をしていきたいですね。

——これからやってみたいことは?

小高:ニットの限界を超えて、技術を更新していくこと。今、ホールガーメントの機械でどこまで装飾を加えられるのかチャレンジしています。プログラマーとあれこれ試行錯誤しながら作り上げていくことがとても楽しいんです。いろいろな作り手の方々と一緒に取り組みながら、ユニークなアイテムを作っていきたいです。

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