ライセンスビジネスが再び脚光を浴びるわけ【小島健輔リポート】 - WWDJAPAN
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連載 小島健輔リポート

ライセンスビジネスが再び脚光を浴びるわけ【小島健輔リポート】

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 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。伊藤忠商事による有名な海外ブランドの新規ライセンス事業の発表が相次いでいる。1990年代末以降、海外ブランドの直接上陸によって、ライセンス事業は下火になったと思われていたが、様相が変わってきた。いったいなぜなのか。

 「フォーエバー21(FOREVER 21)」「エディ・バウアー(EDDIE BAUER)」「LLビーン(L.L.BEAN)」と伊藤忠商事は立て続けに海外ブランドのマスターライセンスを獲得し、国内アパレル事業者とのサブライセンス・ネットワークを広げている。1997年の「ディオール(DIOR)」、98年の「アディダス(ADIDAS)」から2015年の「バーバリー(BURBERRY)」まで、ブランド本家の直販戦略でライセンスが打ち切られる“事件”が相次ぎ、百貨店の凋落もあってライセンスブランドの時代は終わったとさえ、ささやかれたはずなのに、なぜ今ライセンスブランドなのだろうか。

ライセンスビジネスを拡大する伊藤忠商事

 もとより独占輸入権・マスターライセンス権を持つブランドは「フィラ(FILA)」「ヘッド(HEAD)」「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)など、国内商標権を所有するブランドは「コンバース(CONVERSE)」「レスポートサック(LESPORTSAC)」「アウトドアプロダクツ(OUTDOOR PRODUCTS)」など多数に及び、「ポール・スミス(PAUL SMITH)」には資本参加するなどライセンス事業に積極的な伊藤忠商事だが、今年に入って4月には米スポーツブランド「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の総代理店ドームの株式の過半を取得、5月には「リーボック(REEBOK)」の日本国内販売権とライセンス権を獲得、8月には英「バブアー(BARBOUR)」の独占輸入販売権、米「エディ・バウアー」の国内販売権とマスターライセンス権を取得、9月には「フォーエバー21」の国内販売権及びマスターライセンス権を取得、12月には米「L.L.ビーン」のマスターライセンス権および卸販売権を取得と、矢継ぎ早にライセンスブランドを拡大している。

 アパレル・服飾のライセンスブランド市場は今世紀に入って縮小が続いており、00年に2兆円近くあったのが近年は1兆円ほどに半減していると推計されるが、その間の百貨店の衰退が背景にある。百貨店売上総額は00年から21年で半減し(50.1%)、衣料品売り上げは3分の1を割り込んだ(32.9%)のだから、致し方あるまい。伊藤忠商事が近年拡大しているのは駅ビル・ファッションビル、ショッピングモールやECで展開するブランドであり、市場の拡大が見込めるからこそブランドを広げているのだ。

 ライセンスビジネスの主流はもはやアパレルや服飾雑貨などのファッションではなくキャラクター&エンタメ分野で、市場規模はファッションの2.5倍以上ある(世界市場では4倍近い)。伊藤忠商事はこの分野でも商品化権の獲得を進めており、メタバース市場を見据えて20年4月にはVチューバープロダクション大手のエニカラー社(22年6月東証グロース市場に新規上場)に出資している。

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