ユニクロ、生産部門のキーマンが語る都市型工場の勝算 「将来は欧米の都市にも工場を」 - WWDJAPAN
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ユニクロ、生産部門のキーマンが語る都市型工場の勝算 「将来は欧米の都市にも工場を」

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 「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングが、東京都23区内に自社工場を持っていると聞いたら驚く人は多いだろう。東京・有明にある同社本部からすぐの、東雲(しののめ)のニット工場がそれだ。「ユニクロ」の商品といえば、取引先企業の中国や東南アジアの工場で大規模生産されているものがほとんど。日本国内の、それも都内に自前で工場を持つとなるとコストがかさみ、低価格高品質というブランドイメージとはどうにも折り合わないように感じる。それでもファストリは工場を持つことを決め、4月から稼働させている。その狙いを、同工場の社長であり「ユニクロ」の生産分野のキーマンである宇津野智哉氏に聞いた。

――島精機製作所と合弁で立ち上げていた和歌山のニット工場、イノベーションファクトリーを今春東雲に移転し、出資比率も以前とは逆転させた(現在はファストリ51%、島精機49%)。その目的は。

宇津野智哉イノベーションファクトリー社長(以下、宇津野):目的は大きく2つだ。東雲工場はファストリの開発拠点である有明本部と至近距離にある。移転したことで、開発部門と生産部門とが本当の意味で一体となってモノ作りが進められるようになった。また、生産工場の株式の51%をファストリが持つのは初めての試み。子会社化することで、生産面のノウハウを自分たちの中に蓄積するというのが2つ目の目的だ。

――人件費や家賃の高い都内の工場で生産して、採算は取れるのか。

宇津野:生産効率を海外工場よりも高めることで、東京で作っても成り立つと考えているし、それが大前提だ。(編み機運用の)マニュアル面で生産性を極大化させ、自動化できる部分はフルで自動化し、なるべく人には頼らない。東雲工場は24時間の稼働も可能だ。その分の設備投資はかかるが、稼働率を高めることで製品1枚あたりの生産コストを下げていく。現状は稼働直後なのでまだ採算は取れていない。

――東雲工場は“3Dニット”の生産において、海外工場に生産ノウハウや技術を伝えていく“マザー工場”と位置づけられている。“マザー工場”の役割とは。

宇津野:東雲工場で客のほしいものを最速で商品化していく。そのために有明本部5階にある(ニット製品のアトリエの)ニットイノベーションセンター(以下、KIC)と東雲工場とが連動する。KICと東雲工場には同じ編み機や設備を入れているので、スピーディーな商品化が可能だ。できあがった商品を近隣店舗で販売してみて、本当に客の求めているものに近しいと分かれば、海外の大規模な取引先工場で量産に取り掛かる。そのように、最初に商品化する場所という意味で東雲は“マザー工場”だ。日本国内で不足した商品のQR(クイックレスポンス、追加生産)も東雲工場は担うし、オーダーメイド対応も視野に入れている。

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