ZOZOの株価が高騰している。2月1日13時の株価は16.9%高の3430円となり、18年10月以来、約2年3カ月ぶりに時価総額が1兆円を突破した。1月29日に発表した2020年4〜12月期では商品取扱高(GMV)が前年同期比19.8%増、売上高が同18.1%増の1084億円、営業利益が同74.3%増の337億円、経常利益が同76.3%増の338億円、純利益がほぼ倍増の237億円で、4〜12月期ではGMVと営業利益が過去最高を更新した。同日には3月に「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」でコスメ市場への本格参入とハイブランドを70以上集積した新カテゴリのローンチなどを発表しており、投資家からの評価が集まったようだ。
ハイブランドを集積した新カテゴリでは「クロエ(CHLOE)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「カラー ビーコン(KOLOR BEACON)」「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」「モンブラン(MONTBLANC)」「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」「タカヒロミヤシタザソロイスト(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」「トム ブラウン(THOM BROWNE)」をラインナップする。ZOZOはかつて高級ブランドやデザイナーズブランドを集積した「ゾゾヴィラ(ZOZOVILLA)」を運営していたものの、2014年11月にクローズしていた。澤田宏太郎社長兼CEOは「ハイブランドを集積した新売り場は、われわれにとっては悲願。外資系のブランドの開拓がなかなか進まなかったが、会員にZ世代が多いことが評価されている。モール初出店のブランドもある」という。
4〜12月期では、売上総利益率(対GMV)が同1.1ポイント改善の34.2%、営業利益率(同)は3.6ポイントも改善し、11.2%になった。GMVの増加に加え、地道な改善効果で物流効率が向上したほか、広告費の抑制効果が出た。20年12月末の年間購入者数は913万人で、初めて900万人を突破した。
その一方で、平均商品単価は4301円(前年同期は4501円)、平均出荷単価(AOV)は8516(同8973円)といずれも低下しており、下落に歯止めがかかっていない。コスメ製品やハイブランド売り場の開設予定の3月には6年ぶりとなる大型のアプリリニューアルも計画しており、課題になっていたパーソナライズなども進め、単価の引き上げに本腰を入れる考え。
SMBC日興証券の金森都シニアアナリストは「成長鈍化が鈍化した際にアパレルとコーディネート推奨できる商材の拡充とその推奨販売が必要と考えており、そのような戦略が示されたことは好印象。既存商品では口コミが多いサイトの利便性が強い点や平行輸入品の値段が勝るなどの懸念点もあるが、(開発メンバーは)女性が事業を牽引しており、利便性での差別化を期待」とコメント。なお目標株価は2500円で、昨年8月5日に付けた水準に据え置いている。