Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/08 16:27 UTC 版)
「プレニル化」の記事における「Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ」の解説
RabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼまたはゲラニルゲラニルトランスフェラーゼIIは、Rabタンパク質のC末端に2つのゲラニルゲラニル基を転移する。Rabタンパク質のC末端は長さも配列も様々で、超可変領域と言われる。このためRabタンパク質はCaaXボックスのような、酵素が認識できるコンセンサス配列を持たない。その代わりRabタンパク質には保存領域の多いRabエスコートタンパク質が結合していて、Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼはこの部分を認識する。Rabタンパク質がプレニル化されて脂質のアンカーが付けられると、Rabタンパク質は水に溶けなくなり、細胞膜上に留められる。 ゲラニルゲラニルピロリン酸とファルネシルピロリン酸のイソプレノイド鎖はメバロン酸経路によって作られたメバロン酸が由来である。5炭素の前駆体を組み合わせることで、ゲラニルピロリン酸(10炭素)、ファルネシルピロリン酸(15炭素)、ゲラニルゲラニルピロリン酸(20炭素)が作られる。2つのファルネシルピロリン酸からはコレステロールの前駆体であるスクアレンが作られることがある。これはメバロン酸経路の阻害剤であるスタチンによってコレステロールやイソプレノイドの生合成が止まることを意味する。 メバロン酸経路では、前駆体の中に最初からイソプレノイドの合成に必要なピロリン酸基が含まれている。ファルネソールなどのイソプレノイドにピロリン酸が付加される酵素機構は明らかではないが、ファルネソールがスタチンによって起こる病気に効くことから、プレニル化にはアルコールが関与すると考えられている。 プレニル化を受けるRasタンパク質はがんの進行に大きな役割を果たす。このことは、プレニル化を引き起こす酵素の阻害剤が腫瘍の成長に影響を与えられる可能性を示唆する。 またトリパノソーマやマラリアなどの感染を止めるためにもファルネシルトランスフェラーゼの阻害剤が使われる。このような寄生虫はゲラニルゲラニルトランスフェラーゼIを欠いているためにヒトよりもファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤の作用を受けやすいため、感染が抑えられる。さらにファルネシルトランスフェラーゼはマウスのハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群を抑える効果があったことも報告されている。 表 話 編 歴 タンパク質の一次構造と翻訳後修飾全般 タンパク質生合成 ペプチド結合 タンパク質分解 ラセミ化 N末端 アセチル化 ホルミル化 ミリストイル化 ピログルタミン酸 メチル化 糖化反応 C末端 アミド化 GPIアンカー ユビキチン化 SUMO化 リシン メチル化 アセチル化 アシル化 ヒドロキシル化 ユビキチン化 SUMO化 デスモシン ADPリボース化 脱アミノ酸化的脱アミノ システイン ジスルフィド結合 プレニル化 パルミトイル化 セリン/トレオニン リン酸化 グリコシル化 チロシン リン酸化 チロシン硫酸化 ポルフィリン環結合 リボフラビン結合 アスパラギン 脱アミド グリコシル化 アスパラギン酸 スクシンイミド形成 リン酸化 グルタミン アミノ基転移 グルタミン酸 カルボキシル化 ポリグルタミル化 ポリグリシル化 アルギニン シトルリン化 メチル化 プロリン ヒドロキシル化 ←アミノ酸 二次構造→
※この「Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ」の解説は、「プレニル化」の解説の一部です。
「Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ」を含む「プレニル化」の記事については、「プレニル化」の概要を参照ください。
- Rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼのページへのリンク